現在のブツ撮りシステムです。 PCとディスプレイの間にライトボックス/ミニスタジオ/撮影ブースなどと呼ばれるものを置いています。 このライトボックス、LOAS DCA-070 というもので、3255円(税込送料込)でした。 "同等のもの"が1万円前後することを考えると恐ろしく安価です。 2年ほど使っていますが、安かろう悪かろうの印象はなく、使用頻度が高い割には壊れもせず、充分な機能を果たしています。 このミニスタジオ、普段は畳んで収納してあり、ブツ撮りの時だけ、この位置に設置しています。 上のセットで撮った作例です。 ブツ撮りの場合、レンズの焦点距離はできるだけ望遠側が良いです。 APS-Cデジタル一眼レフの場合、50mm以上、できれば100mmあたりがいいでしょう。 あまり広角側で撮ると、パースペクティブ(遠近感)が付きすぎて被写体の形が歪みます。 ブツ撮りの場合、いかに面光源を得るかがキーポイントになります。 金属部分が多い被写体に、ライトをディフューズせず、そのまま当てると、光源が点として写り込み、見た目が非常に悪くなります。 そのため、ライトの前にパラフィン紙を何枚か重ねて光を拡散するという方法が昔から行われてきました。 また、一方向から強い光を当てると影が強く出てしまい、あまり品の良い写真になりません。 一方、四方八方から光を当てると影が柔らかくなり、印象が格段に良くなります。 そのため、多灯照明による撮影が行われるのです。 この両方を一度に実現するための装置がライトボックス、ミニスタジオなどと呼ばれる商品です。 ライトボックスがあると光がよく回った写真が簡単に撮れますから、ブツ撮りの頻度が多い方は購入されることをお勧めします。 照明プランニングですが、うちの場合、キーライト(全体の明るさを決める基本的なライト)は、Zランプをトップライトで当てています。 Zライトの中身は、100W相当の3波長形昼光色"電球型蛍光灯"で、色温度は6500Kです。 うちの場合、照明用ライトはすべて色温度は6500Kで統一してあります。 6500Kというのは、かなり青く見える蛍光灯ですが、日陰の色温度と同じで、日中撮影で外光が漏れても青く写らないため非常に使いやすいです。 4000Kぐらいの白色蛍光灯でホワイトバランスをとると、外光が漏れた部分が青い反射として写るため非常に目障りです。 その点、6500Kの蛍光灯でホワイトバランスをとると、外光も白色に写るため違和感がありません。 また、ディスプレイの色温度も6500Kに合わせてあるので、ディスプレイに視点を移した際にも違和感がありません。 このライトボックス、前面がフルオープンのため、作業性は良いのですが、正面まで光が回らない欠点があります。"前面も白布で覆ったタイプのライトボックス"を使えばいいのですが、俯瞰方向が撮りにくいなど撮影アングルが限定され作業性が悪くなります。そのため、左のような補助ライトを使っています。 これは、フレキシブルアームに取り付けられたライトで、かなり自由に位置を変更できます。中には60W相当の電球型蛍光灯が入っています。色温度はもちろん6500Kです。 このサブライト、あくまでも前面の押さえとして当てるライトのため、あまり明るいと、せっかくのライトボックスで作った光を殺してしまいます。そこで、コピー紙、ティッシュなどをライトの前に張り、減光&ディフューズさせています。 基本的にはキーライト、サブライトで照明を作っていますが、部分的にシャドウを起こしたい場合は、白色ボール紙で作ったミニレフ板を使っています。 手前に敷いたレフは被写体の写り込み用です。このレフを入れることにより、2台のカメラのレンズが白く反射し、ガラスの存在を写すことができます。 左のレフはカメラ軍艦部の押さえ用です。一応ライトボックス側面から反射光を拾っていますが、もう少し強くしたいとき、こうしたミニレフを画角にぎりぎり入らない位置に置くと有効です。 なお、レンズフードは必須です。これだけ光源に近いと、ヤワなフードではフレアが出ます。 私がブツ撮りでよく使うのは、Tamron SP AF28-75mm/F2.8ですが、このレンズをAPS-Cのデジタル一眼レフで使う場合、付属フードでは長さが不足します。付属フードはフルサイズ用ですから、APS-Cの場合、どうしても余分な光が入り込みやすくなります。 特に縦位置ではフレアが出やすいため、汎用ラバーフードを使っています。 これでも危ない場合は黒ケント紙を画角ぎりぎりにかざしてハレ切りしています。 ホワイトバランスは被写体の位置に白紙を置き、これを撮影することで設定しています。ブツ撮りの場合、オートホワイトバランスより、こうしたワンショットホワイトバランスの方が色再現が良好です。 白紙は普通の白ボール紙です。厳密には測色的にニュートラルなものを使うべきだとは思いますが、今まで使ってきた経験からいえば、これで充分です。ただし、いかにも蛍光染料が入ったような眩しい白さの紙、黄変したような古い紙は使わない方がいいです。私はエプソンのプリンタ用紙に入っている白ボール紙を利用しています。写真プリント用紙そのものでもかまわないと思います。 カメラはUSBケーブルでPCと結び、撮影画像をPCのHDDに記録しています。左の写真の上側、DIGITALと記されたコネクターがUSBケーブルです。下のケーブルはリモートレリーズです。カメラに付属してきたUSBケーブルは1mほどの長さしかなく、取り回しが不便だったので、3mのものに換えています。 接続ソフトとして、カメラ(EOS30D)に付属してきた"EOS Utility"を使っていますが、撮影後すぐにPCのディスプレイで結果をみることができ、フォーカス、色、明るさなどの確認が迅速にでき非常に便利です。レフでシャドウを起こす場合にも、その微妙な加減がすぐに分かるので重宝です。カメラ背部の液晶ではなかなか分かりにくい結果が一発で分かります。 EOS Utilityが起動すると、デスクトップ上にこのようなダイアログボックスが現れ、撮影パラメータがカメラの液晶を見なくても分かります。現在は、マニュアル露出、ワンショットホワイトバランス、中央部重点平均測光、JPEG Large Fine、ISO100、F8、シャッタースピード0.3sec.、バッテリー満充電ですね。 これらのパラメータはカメラに触れることなく、PC上から変更することができます。左のスクリーンショットの場合はシャッタースピード変更モードです。下の←→の部分をクリックするとシャッタースピードが変わります。 この状態で、右下のカメラのアイコンをクリックすると撮影されます。リモートレリーズを持っていない場合でも、カメラに触れることなくレリーズできます。もちろん、カメラ側のレリーズボタンを押してもOKです。 ブツ撮り用雲台としては、3WAYタイプのものが使いやすいです。自由雲台の場合、水平出しがやりにくく苦労します。 左は私が使っている、マンフロット製ギア雲台"Manfrotto #410"です。同社のギア雲台の中では一番小さなものですが、ブツ撮り用雲台としては最高の使い心地です。 この雲台は三軸独立制御の3WAY雲台ですが、パン棒が無く、ノブを回して位置出しをするタイプのものです。ギアードヘッドの名前のとおり、三軸ともウォームギアで動かすようになっています。ノブを回してもソロリソロリとしか動かないため、非常に精密な位置合わせをすることができます。ノブ根本のツバ状の部分をひねればウォームギアがリリースされるため、一気に向きを変えることもできます。 ギア雲台というのは、原理上ロック機構がありません。手を離したところでロックがかかるようになっています。パン棒を締めていくうちに位置が微妙に変わるということがなく、ストレスなく位置決めできます。価格的には少々高いですが、ブツ撮り頻度の高い方にはお勧めの雲台です。 水準器とマグニファイヤーもあると便利です。 水準器はレベラーともいいますが、要するに水平出しを簡単にするための道具です。 マグニファイヤーはファインダー像を拡大して見るための接眼アクセサリです。 ブツ撮りの場合、私はAFを使いません。これぐらいの距離になると被写界深度が浅く、"コサイン誤差"が馬鹿になりません。そのため、フレーミングを決めてから、マット面でマニュアルフォーカシングをした方が確実だと思います。 マット面でのMFは、慣れてしまえばそれほど難しくないのですが、最初のうちはピントの山が分かりにくいかもしれません。そうしたときに、マグニファイヤーでファインダー像を拡大すると格段にフォーカシングしやすくなります。 私が使っているマグニファイヤーは、Nikon DG-2というものです。Canon EOS 30Dにニコン製マグニファイヤーが付くのか?と思われるでしょうが、まったく問題なく取り付けられます。その方法は、"Xylocopal's Photolog : ニコン製マグニファイヤーをキヤノンEOSで使う"に記してありますので参考にしてください。 もちろん、ライブビュー可能なカメラであれば、リモートライブビューを利用するのも良いと思います。 背景紙はA2判のクラフト用紙を使っています。A2判というのは、594mm×420mmですから、このライトボックスにぴったりなんですね。 これらの背景紙、東急ハンズで購入していますが、色やテクスチュアは様々なものがあり、1枚30円~100円と価格的にもリーズナブルです。写真道具店で背景紙を買うと2桁ぐらい価格が違うのでびっくりしますよ。 ここに書いた方法がベストなブツ撮りの方法だとは思っていません。 私はこうやっているよ、ということに過ぎません。 ライティングを含め、いろいろな方法があると思いますが、それぞれに工夫してみる参考になれば幸いです。
by xylocopal2
| 2008-02-24 20:47
| Hardware
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