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2008年 01月 13日 猫撮りストロボにサンヨー・エネループ!




今日のお題はニッケル水素充電池、"三洋エネループ"についてです。
こういうネタが出てくるということは、「きしろは写真が撮れずスランプで困っているのだ」と考えていただいて差し支えありません。

私程度のものが「良い写真」を論じること自体おこがましいのですが、自分が納得できる写真なんてものは、1ヶ月に2~3枚撮れれば良しとしたもので、それ以外は惰性で撮っているような部分があります。
比較的ジャンルにとらわれず、いろいろ撮っているつもりでも、このPhotologを始めて足かけ5年、ほぼ毎日の更新ともなると、「いいな!」と思う被写体や光の加減、撮影地なんてのはある程度固定化してきます。
撮影後1~2ヶ月経ってから見直して、残しても良いかな?と判断した写真は、"Anthology of Xylocopal's Photolog"に上げていますが、結局似たような写真ばかりが並ぶことになってしまいます。

いったい自分は何をしておるのか?と思うのはこういうときです。
写欲減退しますよね。
いや、写真は撮りたいんです。
むしろ、意欲満々です。ハィ。
でも撮れない。
撮ったとしても、「いつもと一緒だよ~ん」ということになりそうでシャッターが押せない。
もとより撮ること自体が好きな方ですから、日々駄写真を量産するのも楽しいのですが、それでもやっぱり撮れない。
シャッター押す前に、こんなことを考えているようでは良い写真なんか撮れるわけがありません。

こうしたスランプを解消するには、人が撮った素晴らしい写真を見て感性的刺激を受けるのが一番です。
しかし、怠惰の虫が脳に居座っているときにはそれも億劫です。
こうしたとき、ハードウェアに逃避するアマチュア写真家は多いようです。
新しいカメラやレンズを入手しエヘラエヘラと喜ぶ、新発売機種のカタログを見てタラタラとヨダレを垂らす、旧発売カメラ店にでかけ中古カメラウィルスを拾ってニタラニタラする、よく写るカメラを分解し復元困難にしてサメザメと泣く‥‥etc.

人によって、色々なパターンがあるようですが、私の場合は上記に加え、ブログにハードウェアに関する記事を書くのもその解消法のひとつになっているようです。
そんなわけで、読みたくはないでしょうけど、「サンヨーのニッケル水素充電池エネループは素晴らしい、特に猫撮りストロボとの相性は抜群だ!」というエントリをこれから書きます。
あ、そこ、帰らないように。
お代は要りません。^^






これまでに使ってきたニッケル水素充電池です。
"Nikon Coolpix900""Nikon Coolpix950""OLYMPUS E-10"などといったデジカメで使ってきました。
ここに写っているもの以外に5~6組持ってました。
写真には3種類写っていますが、すべて手前のサンヨー製1600mAhのもののOEMです。
2700mAhが主流の現在からすれば、1600mAhはいかにも小容量ですが、1999年頃は最もパワフルなニッケル水素充電池でした。

ニッケル水素充電池は、何回も繰り返し充電して使える経済的で環境に優しい電池です。
昔からあるニッカド充電池に比べるとはるかにパワーがあり、材料にカドミウムを含まず環境への影響が少ないことから、1990年頃からデジカメ用充電池として一気に普及が進みました。
しかしながら、なかなか気むずかしい充電池でもあり、運用が難しいのが欠点でした。
つまり、
  1. 自然放電が多く、長期間放置すると過放電で死亡する
  2. 継ぎ足し充電をするとメモリー効果が発生し、使用可能容量が減る
  3. 低温環境下で性能低下が大きい
特に、1.と2.は一般ユーザにとって、致命的に使いこなしが面倒くさい点となっていました。
従来型ニッケル水素充電池の自然放電量は非常に多く、充電後1年で容量0%になるといわれ、半年後でも50~70%残っていれば良い方でした。
そのため、長期間放置してあった場合には、いざ使おうとしたときに、まったく電池として用をなさないということが多くありました。
こうした放電特性から、販売時には未充電で売られており、買ってきたらまずチャージしないと使えない電池でもありました。

ニッケル水素充電池の運用管理で一番面倒だったのが、メモリー効果対策です。
メモリー効果とは、ニッカド電池やニッケル水素電池などを、容量を使い切らない、パワーが充分残っている状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、放電電圧が低下し、結果として容量が減少したように見える現象のことです。


メモリー効果を防ぐためには、常にバッテリーを完全に使い切ってから充電をすればいいのですが、実際にはなかなかできる話ではありません。不本意ながらも継ぎ足し充電をしてしまい、容量低下を引き起こすことはしょっちゅうありました。"OLYMPUS E-10"あたりは非常に大食らいなデジカメで、バッテリー1セットで20分も撮れない、ということがよくあり、つくづく嫌になったものです。

そこで、中途半端に使い終わったニッケル水素充電池は、左のような放電器を使ってディスチャージしていました。これはミニ四駆用のものですが、放電に要する時間は長く、ほぼ一晩かかります。時間がかかる上、あまり充放電を繰り返すと電池そのものの寿命を縮めることにもなり、あまり使いやすいものではありませんでした。

従来型ニッケル水素充電池では、こうした運用管理が非常に面倒で、結果として何個も潰してしまいました。公称500回の充電回数を全うさせたものはほとんどなかったように思います。第一、そんなにバッテリーコンシャスになっていると、落ち着いて撮影することができません。写真を撮る、というよりバッテリーの番人になったような気分で、本末転倒状態となっていました。

そうした中、世の中のデジカメ用バッテリーは、よりコンパクトで、メモリー効果が少なく、継ぎ足し充電可能なリチウムイオン充電池が主流となりました。
2003年にリチウムイオンバッテリー駆動の"Canon EOS 10D"を入手したときは、そのバッテリー運用の簡単さに感動したものでした。
何しろ、継ぎ足し充電しても容量低下はまるで感じられない上、普段はバッテリーのことなど忘れていられるほど長持ちしますからね。
カメラ用バッテリーというものはこうでなければ、と思います。
そんなわけで、いつしか私はニッケル水素充電池のことなど忘れてしまいました。


私がニッケル水素充電池のことを思い出したのは、"猫撮りストロボ SUNPAK PZ42X"を使い始めてからです。
このストロボは、単三乾電池4本を使うのですが、チビ猫を撮っていると、あっという間に電池が消耗してしまいます。
20本700円ぐらいのインドネシア産乾電池を使っていても出費は馬鹿にならないし、際限なく不燃ゴミが出るというのもいやでした。

そこで、思いついたのがニッケル水素充電池です。
そもそもストロボにニッケル水素充電池は使えるのか?ということですが、これはまったく無問題です。
単三乾電池の電圧は1.5V、一方ニッケル水素充電池の電圧は1.2Vですが、この違いはストロボではほとんど問題になりません。
むしろ、問題となるのは放電特性の方なのですが、実はニッケル水素充電池の方がストロボ向きの放電特性を持っているのですね。
"気の迷い エネループvsパナループ放電電圧試験""放電電圧特性グラフ"を見るとよく分かります。

アルカリ乾電池やマンガン乾電池が1.5Vを保つのは使い始めのわずかな時間だけで、すぐに1.1~1.0Vまで電圧が落ちてしまうのに対し、ニッケル水素充電池はかなり長い間1.2Vを保ちます。
トータルで見ると、ニッケル水素電池の方がむしろ高電圧です。
ですから、日常的にストロボを頻繁に使う方は、アルカリ乾電池やマンガン乾電池より、ニッケル水素充電池を使った方が理にかなっているといえます。
サンパックPZ42Xの使用説明書にも、「チャージ間隔が短くなり、発光回数が増えるため、ニッケル水素充電池の利用をお勧めします」と書いてあります。


そんなわけで、SUNPAK PZ42Xを使い始めてすぐにニッケル水素充電池に切り替えるつもりだったのですが、手持ちの1600mAhのものはすべて過放電のため死んでいました。ニッケル水素充電池というものは、過放電には本当に弱いです。過放電状態に陥ると、電池のダメージは深刻で、以前の容量に戻らないばかりか再充電不可能となる場合もあります。1年も放置してあったニッケル水素充電池は過放電のため死んでいる、と考えてほぼ間違いないです。

そこで、新しいニッケル水素充電池を買うことにしたのですが、2700mAhの従来型ニッケル水素電池は避けました。あまりにも運用管理が面倒なことを身をもって知っていましたから。私が買ったのは、2000mAhと容量は少なめながらも、新世代ニッケル水素充電池として評判を集めていたサンヨー・エネループでした。

エネループ(eneloop)は、三洋電機が2005年11月に発売開始した新世代ニッケル水素充電池です。従来型ニッケル水素充電池の欠点をほぼ克服しており、運用管理面ではるかに使いやすくなったという点で画期的です。


エネループの特徴をまとめると下記のようになります。
  • 自然放電が少なく、1年後にも85%のパワーを維持する
  • そのため、充電状態で売られており、購入後すぐに使うことができる
  • メモリー効果が起こりにくく、継ぎ足し充電が可能
  • 従来型ニッケル水素充電池の2倍、1000回の充放電が可能
  • 低温環境下でも性能低下が少ない
  • 1.2Vのニッケル水素充電池なので、従来型ニッケル水素充電池と置換可能
  • コンビニなどでも売られており入手性が良好

エネループが発売されたとき、一番話題となったのは、「充電状態で販売される」という点でした。
反復使用可能な充電池でありながら、アルカリ乾電池のように「買ってすぐに使える」電池でもあったのです。
これは、買ったら問答無用でまずチャージ、という従来型ニッケル水素電池の常識を覆すものでした。

従来型ニッケル水素充電池は、自然放電が多く、充電した状態で販売することや、充電しておいて非常時の電源として用いることは現実的ではありませんでした。
エネループはこの点を改良し、自然放電を極力少なくすることに成功し、半年間放置しても90%、1年放置しても85%のパワー残存率を持っています。
この残存率、従来型では半年後が75%、1年後が0%となっています。
これは、いつ使うか分からない、という利用形態の場合は非常に嬉しい特性です。
気がついたら死んでいた、という悲しい目に遭うことが少なくなりますから。

メモリー効果が少ないという点は、運用管理を格段に簡単にしました。
継ぎ足し充電OKですから、パワーがなくなってきたら充電する、という使い方で大丈夫です。
携帯電話のリチウムイオンバッテリーと同じ使い方ができます。
従来型ニッケル水素充電池のように、本当は交換したいのだけどメモリー効果が恐くて交換できない、その結果、ギリギリまで使ってパワーダウンしてしまい、シャッターチャンスを逃がす、ということがなくなりました。
このことは、電池を使う上で、心理的にものすごく楽です。
リチウムイオンバッテリーしか使ったことがない方にとっては、何を当たり前のことを!と思われるかもしれませんが、従来型ニッケル水素充電池というのは、それぐらい気むずかしい面倒くさいバッテリーだったのです。

4ヶ月あまりエネループを使ってみた感想は、とにかく気楽に使える、ということにつきます。
2700mAhの従来型ニッケル水素充電池に比べると、2000mAhのエネループは絶対容量が少ないため、連続稼働時間は負けます。
しかし、このことより、継ぎ足し充電自由自在という利点の方が大きいです。
特に、家猫を撮るためのストロボ用バッテリーとしては利点の方が多いです。

猫という動物は、きわめて気まぐれですから、いつシャッターチャンスが巡ってくるか予測できません。
うちのノリマキさんの場合、突然立ち上がって"阿波踊り"を始めたりしますからね。
そのため、常にストロボを付けたカメラを手の届く場所に用意してあります。

こうした使い方をする場合、エネループはストロボ用バッテリーとして最適です。
アルカリ乾電池なら買い置きをしておく必要がありますし、従来型ニッケル水素充電池なら、メモリー効果を気にしながら使わなければなりませんが、エネループなら常に充電済みの予備をスタンバイさせておくことができますから。
全国の猫撮りストロボユーザのみなさん、まぁ、だまされたと思って使ってみてください。
きっと、アルカリ乾電池を使うのは止めようと感じることでしょう。
by xylocopal2 | 2008-01-13 15:05 | Hardware
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