マルチコーティングが美しいこのレンズ、Macro-Revuenon 35mm F2.8といい、M42マウントの広角レンズです。 販売元は西ドイツのRevue。 Revueとは、"Xylocopal's Photolog 2006/10/13 小型軽量M42母艦 Revueflex SD1"に詳しく書きましたが、ドイツのカタログ通販会社"Quelle"のカメラ部門のブランドです。 いわゆるバイヤーズブランドで、自社開発~自社生産を行わず、各国のメーカーで生産されたカメラやレンズに"Revue"ブランドを付け、OEM販売することを主体としてきました。 OEM元となったメーカーは、旧共産圏から日本、韓国まで幅広く、Pentacon Praktica、KMZ Zenit、Konica、Chinonなど多岐にわたっています。 そんなことから、このレンズも某メーカーのOEMということになるのですが、どの某か?はなかなか謎です。 何しろ、フルネームで検索しても手がかりになるようなものがさっぱりヒットしません。 よほど生産数が少ないレアレンズだったのでしょうか。 Revuenon銘のレンズは、富岡光学製のものが多いのですが、これはどうも違うようです。 Revuenon Specialという韓国製35mm/F2.8のレンズもありますが、鏡胴の形が違います。 第一、このレンズ、鏡胴に"Made in W.Germany"と記されているとおり、明らかな西ドイツ製です。 西ドイツで、Revuenonを作っていたレンズメーカーには"Enna"があります。 フレクトゴン、トポゴン、ディスタゴンなどという怪獣系ネーミングの広角レンズが多い中、リサゴン(Lithagon)という可愛らしい名前の広角レンズを作っていたミュンヘンのメーカーです。 以前から、名前に惹かれ、リサゴンは一本欲しいと思っていました。 Enna製レンズの中で、似たようなスペック、外形のものを調べてみたところ、怪しいものがいくつも見つかりました。 たとえば、これ。 "Enna München Macro-Revuenon 28mm F3.5" "Photo #1" "Photo #2" 製造元のEnna銘が入っていますが、名前は"Macro-Revuenon"で同じ。 ダブルネームレンズですね。 焦点距離、開放F値、絞り枚数、最短撮影距離、すべて違いますが、鏡胴外観はほぼ同じです。 大きく幅広なヘリコイドリング、Auto=Manualの切換レバー、被写界深度指標、無限遠infの表記、52mmフィルター径などの特徴から察するに、同じシリーズのレンズと考えて良さそうです。 このシリーズ、Enna Ennalyt、Macro-Ennalyt銘で作られているようです。 焦点距離は、24mm、28mm、35mmがあるようです。 よく見かけるのは、28mm/F3.5のエンナリート。 35mm/F2.8のものは、この個体以外に見たことがありません。 このレンズの製造年代ですが、鏡胴デザインや仕上から察するに、1970年代末~1980年代だと思います。 現代的なマルチコーティングが施されていますし、かなりコストダウンを狙った造りになっています。 鏡胴にはプラスチック部品が多用され、距離指標やレンズ銘は彫込ではなく印刷です。 持ってみると、非常に軽く、わずか152gしかありません。 1960年代に作られた"縞々ゼブラのフレクトゴン"は232gあります。 このレンズ、西側陣営のものとしては最終世代のM42マウントレンズに属すると考えていいでしょう。 最終世代M42マウント一眼レフ、"Revueflex SD1"でペアで使うと似合いそうです。 このレンズがレアである理由が分かりました。 M42マウントが寿命を全うしようとしていた時期のレンズなのですね。 ※コシナ製M42マウントカメラ/レンズは最新世代M42モデルであって、最終世代M42モデルではないと考えています。 出自はさておき、レンズとしての能力ですが、名前のとおり、接写能力は優秀です。 最短撮影距離は26cm。 現代のレンズからすれば特にどうということはなく、フレクトゴンの18.8cmに比べてもインパクトのない数字ですが、やはり寄れるというのは便利です。 寄ったときの描写は破綻が少なく、マクロ域に考慮をはらった設計のように思えます。 Canon EOS 30D / Macro Revuenon 35mm F2.8 at F5.6 最短撮影距離で撮ったもの。 写っている花はプリムラマラコイデス。直径15mmほどの花です。 シャープネスはまずまず。 ボケは、この距離にしては綺麗な方です。 発色、コントラストは良いですね。 Canon EOS 30D / Macro Revuenon 35mm F2.8 at F5.6 逆光撮影です。 しっかりとしたマルチコーティングが施されているおかげで、さすがに問題はないですね。 逆光でもコントラストは落ちず優秀な部類です。 絞りの形が六角形なのは仕方がないとして、少々残存収差が目立ちます。 Canon EOS 30D / Macro Revuenon 35mm F2.8 at F5.6 2mほどの位置からの撮影。 特にコメントすることはありません。 まずまず良いのではないでしょうか。 Canon EOS 30D / Macro Revuenon 35mm F2.8 at F5.6 特にコメントすることはありません。 まずまず良いのではないでしょうか。 だんだん、評価が無責任になります。^^ 普通に良く写る普通のレンズということでOKでしょうか。
by xylocopal2
| 2007-04-10 22:58
| Hardware
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