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2006年 12月 17日 CHINON CS-4 レストア完了




Xylocopal's Photolog 2006/11/23 最軽量M42マウント一眼レフ CHINON CS-4で書いた銀塩MF一眼レフ、チノンCS-4です。
前に書いたように、経年劣化のため、モルトがボロボロになっていました。
コレクション用ではなく、実用カメラとして買ったので、ボロボロのモルトでは何かと具合が悪く、モルトを交換することにしました。

モルトというのは、モルトプレーンの略称で、遮光や衝撃吸収のために使われるスポンジの類です。
材質はウレタン樹脂で、1960~1980年代のカメラで多用されました。
モルトには、製造後ある程度の年数を経ると、空気中の水分により、加水分解をおこす欠点があります。
ウレタン樹脂の分子間に水分が入ることにより、分子の鎖が切れ、ボロボロになってしまうのです。
保存条件にもよりますが、製造後20年も経ったようなカメラでは、モルトが劣化しているものの方が多いと思います。






上は、Revueflex SD1の裏蓋に貼ってあるモルトです。
綺麗なものです。何も問題ありません。
CHINON CS-4の兄弟機ですから、同じ時代に同じ工場で製造されたカメラのはずですが、モルトの劣化はほとんど見られません。
よほど、保管条件が良かったのか、あるいはすでに交換済みなのかもしれません。






一方、こちらは、CHINON CS-4の裏蓋です。
モルトは原形を留めないほどボロボロに崩れています。
水分を含んでグジュグジュになっており、触れると際限なく細かい破片がボロボロと崩れてくるので、たちが悪いです。
細片がフィルムの上に落ちたら、デジタル一眼レフのLPFのゴミと同じで、確実に写真に写り込みます。
LPFのゴミよりサイズが大きいので、レタッチで誤魔化すのは場所によっては無理です。
このカメラ、遮光はOKだったのですが、あまりにも崩れ方が激しいので、モルトを新しいものに交換することにしました。

用意したものは、1.5mm角に切りそろえられたモルト、接着用の両面テープです。
Googleで"モルト交換"で検索すれば、けっこうな数のモルト販売ページが見つかります。
私は、Yahoo!オークションで買いました。1000円なり。
あらかじめ、細切りになったモルト、両面テープを買ったので、作業は楽でした。






まず、古いモルトを剥がします。
溶剤としては、エタノールなどが良いらしいですが、手元になかったので、デジタル一眼レフLPF湿式クリーニングに使っているHCLレンズクリーナーを使いました。
このレンズクリーナー、オリンパスEE-3310が主剤になっており、グズグズになったモルトがきれいに溶けます。
綿棒にクリーナーを含ませて、ゴシゴシこすっていけば、それほど面倒なくあらかたのモルトが取れます。
残ったモルトは、先細綿棒や爪楊枝で取り除きます。
完璧にツルツルにする必要はありません。
勝手に崩れ落ちてこない状態であればだいじょうぶです。






次に両面テープを、裏蓋の溝にあわせて貼っていきます。
爪楊枝、ピンセットがあると楽です。
両面テープの幅は1.5mm。
こんな幅が狭いものを自分で切り出すのは骨ですが、細切りに加工されたものが売られているので使わない手はないです。
両面テープではなく、接着剤でもいいとは思うのですが、次回剥がすときの苦労を考えると、両面テープにしておいた方がいいかなあと思います。






1.5mmの細切りモルトを溝にあわせて貼っていきます。
使っているのは、ウレタン樹脂の普通のモルト。
二度とモルト交換なんかやりたくない、という場合は、黒い毛糸を使うといいらしいです。
ただし、毛糸は収縮性が少ないので、うまく貼らないと、遮光性に問題が出ることがあると聞きます。






同じ作業を、上の赤矢印の部分で行います。
写っていない部分も同様に、行います。
ただし、黄色矢印の部分は、カウンター自動復帰バネがあるので、モルトを貼らないようにします。

ボディ側の溝は、あまりきれいに掃除しませんでした。
どのみち、モルトを押し込んでしまうので、大丈夫だろうと。
幅の狭い溝なので、両面テープを貼りにくいんですね。
両面テープを貼らず、ダイレクトにモルトを突っ込んだところ、残っていた残骸の接着力で充分モルトが固定されました。
あまり真似しない方がいいと思います。^^






ミラー受けのモルトは交換しませんでした。
目視でも、触れてみても、まだしばらく大丈夫そうだったので。
この部分のモルトがボロボロになると手に負えません。
崩れた破片がフォーカシングスクリーンに付きますから、ファインダーを覗いたときにゲッソリします。
ファインダー視野が黒いゴミだらけ、というときはミラー受けモルトの劣化を疑った方がいいです。
Xylocopal's Photolog 2006/04/26 ジャンクな銀塩MF一眼レフ RICOH XR500で書いたRICOH XR500がそうしたミラー受けになっていました。

ペンタプリズムを固定するのにモルトが使われているカメラもあります。
ペンタプリズムを押さえているモルトが劣化すると、プリズム腐蝕を引き起こすことがあります。
Xylocopal's Photolog 2006/08/27 輸出専用MF一眼レフ CHINON CM-5で書いた、CHINON CM-5がそうした状態になっていました。
ファインダーを覗くと、うっすらと黒っぽい2本の筋が見えました。
よく見ると、崩れたモルトのツブツブも見えました。
典型的なモルト劣化由来のプリズム腐蝕でした。
撮影に影響を与えない程度の軽微なものでしたが。

モルト交換により、CHINON CS-4は気遣いなしに使えるようになりました。
以前はフィルム装填して、裏蓋閉めるまでが大変でした。
相変わらず、巻き上げが若干渋いものの、決定的なものではありません。
なかなか愛着が持てるカメラなので、特製ストラップを作ってやりました。






M42マニア垂涎?のプラクチカストラップです。
こんな阿呆タレなストラップを付けて中古カメラ市に行くのが、目下の楽しみであります。
螺子穴原理主義万歳御意見無用夜露死苦などと刺繍すれば一層よろしいですね。

オフラインミーティング用のネタとして作りましたが、実用面もあります。
初めて会う人との待ち合わせ時の目印にいいです。
「ブルーのプラクチカストラップ下げていきます」といえば一発ですから。
相手がカメラに興味がない人の場合は、あまり有効ではありませんが。

これ、元は東独ペンタコン製のプラクチカストラップです。
ebayで落としたPraktica MTL5に付いてきたものですが、ベルトの端がホツレたり、金具が錆びたりしていたのでレストアしてみました。
廃物利用ってやつです。
先端は樹脂製スイベルフックにしてあるので、アイレットリングが付いているカメラであれば、即座に交換して使えます。
うちには、M42マウントのカメラボディが5台ありますから、とても実用的です。

樹脂モールドのコネクタが仰々しいのは、tamrac仕様のためです。
うちにあるストラップはすべてtamrac製のため、相互に交換して使えるよう、仕様を合わせました。
tamrac仕様にしなければ、もっとスッキリした形に収まります。






tamracのストラップは、ベルトの途中にバックル式コネクターがあり、カメラ側と肩側を簡単に分離できるのがウリです。
デジタル一眼レフと銀塩一眼レフ、二眼レフなど複数のカメラを持って撮影に行くときも、ストラップは1本で済むので便利です。
ストラップって、意外にバッグの中で嵩張りますから。

コネクターの仕様さえ合わせておけば、ストラップは相互に交換可能です。
EOS30Dに、プラクチカストラップというのはもちろん可能です。

ストラップで一番負荷がかかるのは、カメラとの接合部で、ここが擦り切れそうになってきたら、交換時期です。
tamracのストラップの場合、カメラとの接合部だけ新しいものに交換すればいいので、この点実に合理的です。
接合部は幅10mmのナイロンベルトで、コンパクトカメラのストラップによくあるものです。
コンパクトカメラのストラップは、ジャンク市などで3本300円とかで売っていますから、tamrac式ストラップは安上がりです。
もちろん、東急ハンズやホームセンターでも10mm幅ナイロンベルトは安く買えますが。

上の写真の中に、OP/TECH USAのストラップが見えますが、tamracと共用するときは改造が必要になります。
バックル自体は同じ規格なのですが、方向が違うのです。
tamracストラップのコネクターは、肩側が両方ともオスですが、OP/TECH USAはオスとメスの両方が付いていることがあります。
簡単に書くと、下のようなイメージでしょうか。

 tamrac <=====~~~=====>
 OP/TECH USA <=====~~~=====<

そのため、OP/TECH USAのストラップをtamracのコネクターで使うときは、コネクターの付け直しが必要になります。
手っ取り早いのは、tamrac製の重量軽減ストラップを買うことです。
私の場合は、単なる勘違いでこういうことになりました。






樹脂モールドコネクターです。
材質は、ポリアセタールなどのエンジニアリングプラスチックで、意外と丈夫です。
東急ハンズやホームセンターで売られています。
特に高価なものではなく、1個30円とか50円とか、バックルやスイベルフックは少し高くて150~200円ぐらい。
こうしたコネクターをうまく使うと、廃物利用のオリジナルストラップが作れます。
世界にひとつのユニークなストラップ、面白いですよ。
by xylocopal2 | 2006-12-17 23:59 | Hardware
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