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2006年 07月 04日 SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG Report



Canon EOS 30D / Tamron SP AF28-75mm F2.8 XR Di
ISO100, Av -1.3EV, F8.0, 1/3sec., WB:Manual


昨日のエントリ、Xylocopal's Photolog : 2006/07/03 "小さな花"に書いたように、上のレンズを買いました。
SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG、50mmマクロレンズです。
オークションで中古をゲットしました。

代わりに、Canon EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMを購入以来、あまり使っていなかったTAMRON SP AF 17-35mm F2.8-4 Diをオークションに出しました。
良い値段で売れたので、50mmマクロの分を差っ引いても差益が少しばかり残りました。
レンズは「天下の回りもの」でありますね。^^

このシグマ50mmマクロの落札金額はインパチでした。
相場からすれば高値端だったのですが、ブツは非常に程度の良いものでした。
中古カメラ店のランキングでいえば、AA。
使用痕跡が見あたらない美品、というレベルでした。
長く生きていればいいこともあるようです。

すでに、TAMRON SP AF90mm F2.8 Di Macroという評価が定まったマクロレンズを持っているのに、どうして今さら50mmマクロなんぞを買うのか?と問われれば、病気だから、としか答えようがありません。
90mmマクロは良いレンズですが、APS-Cサイズイメージセンサーのカメラで使うと、35mm換算144mmの望遠マクロになってしまいます。
望遠マクロになったところで困ることはあまりなく、便利なことの方が多いのですが、ときにはもう少し画角の広いマクロ写真が撮りたいことがあります。

APS-Cデジタル一眼レフ+90mmマクロで撮ると、狭画角のため、非常にピンポイントなマクロ写真になります。
被写体そのものしか写り込まず、背景に色々なものを入れたいというときには、使いづらいのですね。
そういうときには、Canon EF35mm F2を使えばいいのですが、EF35mm/F2は寄れる広角レンズといっても、1/4倍までのレンズですし、マクロ専用レンズではないため、近接描写能力は劣ります。
理想からいえば、35mmマクロが欲しかったのですが、そういうレンズは存在しません。
1/2倍マクロが撮れるハーフマクロ的レンズ、Carl Zeiss Flektogon 35mm F2.8を持っていますが、M42マウントアダプター経由では自動絞りも効かないMFレンズです。
三脚付きならともかく、手持ちではしんどいです。
そこで、SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DGの登板ということになりました。





Canon EOS 30D / Sigma Macro 50mm F2.8 EX DG
ISO100, Av -1.3EV, F2.8, 1/20sec., WB:Manual


ファーストインプレッションとしては、とにかくカリッと写る明快なレンズ、という印象でした。
解像感、コントラストともに高く、今まで使ったことがあるレンズの中では、Zeiss-Opton T Tessar 45mm F2.8に似ているように思います。
どこまでも澄み切った、中間調を忘れてきたかのようなハイコントラスト、アンシャープマスク不要の切り立ったエッジ、こうしたオプトンテッサーの描写を彷彿とさせる、非常に個性的なレンズです。
解像力原理主義者にとっては理想のレンズといえるかもしれません。

このレンズ、絞り開放から非常にシャープです。
普通、絞り開放は甘くなるレンズが多いのですが、このレンズは例外的に先鋭です。
コントラストもほとんど落ちません。絞り開放は完全に実用範囲内です。
上の作例の中央部分をピクセル等倍で切り出したのが下の画像です。
ピントは、MFで、"Kodak"の銘板上のシャッタースピードリングの文字に合わせてあります。
"25"のあたりです。
絞り開放のF2.8で撮ったものから、F8.0で撮ったものまでを並べてみました。








シャッタースピードリングの文字を見る限り、開放でもF8でもあまり変わりません。
シャープネスという観点からいえば、このレンズ、あまり絞る必要はないですね。
純粋に、ボケの量とシャッター速度を考えて絞りを決めれば良さそうです。

普通のレンズはもう少し絞り開放は甘くなります。
同じ50mmのCanon EF50mm F1.4 USMの絞り開放から、F2.8までのサンプルを上げておきます。
開放F値が1.4と明るいレンズですから、同列に比較はできませんが、大方のレンズでは、下の例のように、開放は甘くなり、コントラストが落ちるのが普通です。







Canon EF50mm/F1.4 USMの開放は、大甘の上、ハロがバンバン、色収差バンバンのトンデモ画像ですが、決して駄目レンズ、クソレンズというわけではありません。
F2.8まで絞れば、シグマ50mm/F2.8と同等の解像力はありますし、何よりこのレンズでしか撮れない被写体があります。
Xylocopal's Photolog 2006/05/20 "大野えり Jazz Vocal Live"は、EF50mm/F1.4 USMがなければ、かなり撮りづらかっただろうと思います。

EF50mm/F1.4 USMは、最短撮影距離が45cmという寄れないレンズです。
こうしたレンズは、無限遠で最もレンズ性能が発揮できるように設計されています。
近接描写能力は言わぬが花、というレンズです。
このサンプルは、そうした寄れないレンズを使って近接撮影したものですから、元より比較に無理はあります。


名玉の誉れ高い、タムロン90mmマクロとも比較してみました。
下の写真は、それぞれのレンズで撮ったものです。
下2枚は、800万画素のオリジナル画像を縮小しただけのものです。
90mmマクロは画角差を考慮して、少し後ろから撮っています。

AFの影響を避けるため、MFでフォーカシングしています。
お前の目の精度はどうなんだ?とは聞かないように。
一応、マグニファイヤー覗いています。
シャッタースピードリングの10-25のあたりにピントを合わせています。






両者とも絞り開放ですが、なかなかシャープです。
シグマ50mm/F2.8の方が、ややシャッキリしています。
タムロン90mm/F2.8の方が柔らかい感じです。
上の写真の中央部分をピクセル等倍で切り出したのが下の画像です。
絞りをF2.8~F5.6まで変えて撮っています。










F2.8では、シグマの方がよりシャープです。
しかし、左端の"5"の文字のまわりに色収差が出ています。
タムロンの方は色収差はなく、トーンは落ち着いています。
F4まで絞ると、シグマの色収差はかなり軽減されます。
まぁ、ピクセル等倍に拡大しているから分かるのであって、一般的な使い方で気になることはないと思いますが。

恒例の歪曲収差チェックもしてみました。
他のレンズの歪曲収差チェックは、Xylocopal's Photolog 2006/05/14 タルタルテストにあります。





ごく軽い樽型歪曲収差です。
この程度ならまったくOKです。

SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DGは、たいへんコストパフォーマンスに優れた、シャープネスに優れたレンズです。
新品でも実売2万円台中頃ですから、買って損をすることはまずないと思います。
解像力のあるシャープなレンズが一本欲しかったら、これを買っておけば間違いないのではないかと思います。
by xylocopal2 | 2006-07-04 23:17 | Hardware
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