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2008年 05月 19日 とってもテキトーなパチモンエーゲ海作成法




名古屋市昭和区阿由知通にて
 Canon EOS 30D
 Canon EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM with PL Filter
 Adobe Camera Raw 4.4.1


エーゲ海はサントリーニ島までロケに行ってきました。

‥‥
‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥

嘘です。ごめんなさい。
詳細は下記参照のこと。



----------
以下、2008/05/19 23:59 加筆


パチモンエーゲ海製造法 Part.1 撮影篇

空の青さ/黒さが異様な上のような写真、何か特別なレタッチをしているのではないか?と訝る方が多いです。
世の中には、銀塩ポジ写真の流れをくむ、「ノーレタッチ原理主義」という方々がいます。
一方で、銀塩モノクロプリントの流れをくむ、「写真は覆い焼/焼き込みしてナンボ主義」の方もいます。
私は断然後者です。
ドキュメンタリ志向のジャーナリスティックな写真であれば、レタッチ御法度ということも理解できますが、私が撮る写真の多くは、あくまでも「表現のための写真」であって、報道写真/証拠写真/鑑識写真ではありません。
私は、「レタッチを制限する者は表現の自由を制限する者である」、と考えています。

ノーレタッチ原理主義者の精神的基盤となっている言葉に、「写真とは真を写すもの」というものがあります。
これ、幻想にしかすぎません。
写真は必ずしも真実を写さないし、真実は写真に写るとは限りません。
コミュニケーション論~マスコミュニケーション論を専攻し、報道の現場に10年以上いた私が言うのだから、半分ぐらいは信じてもらってもいいのではないかと。

こうした妄言を信じ込んでいるのは日本人および、日本の影響を受けた漢字文化圏だけではないか?と思います。
写真の可能性というものは、単にドキュメントの分野にとどまらず、広くビジュアルアーツ全体に及んでいます。
「真実を写すもの=写真」という考え方は、そうした写真の可能性を限定してしまいます。
おそらく、「寫眞/写真」という訳語がまずかったのでしょうね。
"Photo=光"+"Graph=画"の直訳で、「光画」とでもしておけば、こうした無用の混乱は避けられたであろうと思います。


偉そうなことを書きましたが、上の写真、実は空に関してはほとんど何もレタッチを施してありません。
青空のようなグラデーションが豊富で微妙な被写体に対してレタッチをかけると、"マッハバンドと呼ばれる縞模様"が出ることがあります。
マッハバンドを突き詰めていくと、"ソラリゼーション"になります。
何をどのようにレタッチしようと、表現者の自由ですから、マッハバンドばんばん写真も当然ありだと思います。
しかし、一般的な写真の場合、マッハバンドはあまり品の良いものではありません。
そうしたことから、空に対してレタッチをかけることは、特にレタッチ初心者のうちはお勧めしません。

ならば、いかにしたら、この濃藍色の空は撮れるのか?
答えは非常にシンプルです。
PL(偏光)フィルターを付け、順光の空を、-1.0EVで撮る。
これだけです。

順光というのは、背中に太陽を背負った状態をいいます。
太陽が出ていなければ無意味です。
薄曇りやドン曇りの場合、いかなPLフィルターといえど、空にコントラストは付きません。

-1.0EVというのはあくまでも目安で、具体的にいうと、標準露出マイナス一段。
ISO100であれば、F8、1/500sec.。
あるいは、F11、1/250sec.などになります。
PLフィルターの露出倍数は1~1.5段ありますから、実際には1EV明るくしないと真っ黒な写真になります。
PLなしのISO100設定は、PL付ISO200設定と同じであると考えてください。

したがって、PLフィルターを付けてのマニュアル露出パラメータは、
ISO200、F8、1/500sec.
この設定であれば、たとえサルであっても真っ暗な空が撮れます。




上の設定で撮ったRAW画像です。
普段、滅多にRAWで撮らない私がRAW撮影しているのは、ひとえに輝度差が大きすぎるためです。
右下の大きなダクトが西日を受けて銀色に輝いている一方、白い壁面はハーフシャドウでかなり暗いですから。
RAW撮影であれば、ある程度露光量が調整できる上、白飛び軽減が使えますから、0.5EV程度は稼げるかな?というせこい発想です。
とまれ、PLフィルターを使い、-1EVアンダーで撮れば、撮りっぱなしでも、これぐらい空が黒く落ちます。
意味のありそうなEXIFパラメータを抜粋しておきます。
ファイル名:IMG_4916.CR2
種類:CRW RAW
サイズ:6.87 MB
画素のビットの深さ:8,8,8
機種:Canon EOS 30D
露出時間:1/500秒
レンズF値:F8.0
露出制御モード:マニュアル設定
ISO感度:200
オリジナル撮影日時:2008:05:06 16:12:29
露光補正量:EV-1.3
自動露出測光モード:平均測光
レンズの焦点距離:12.00(mm)
色空間情報:sRGB
画像幅:3504
画像高さ:2336
カスタム画像処理:通常処理
撮影モード:マニュアル
ホワイトバランスモード:マニュアル
シーン撮影タイプ:標準

天頂付近が特に黒くなっているのは、撮影時刻が16時すぎだからです。
PLフィルターの効果は、光源に対して90度の位置が最大となりますから、夕方の太陽であれば、ほぼ天頂付近に黒い帯を作ることが出来るわけです。
16時といえど、夏至に近い今の天候であれば、正午頃の明るさと0.5EVも違いません。

上の写真の場合、白い壁が主要被写体となっていますから、AEで撮ると不必要にアンダーな写真になります。
空を黒く落とさないノーマルトーン撮影であれば、+1.0EVほどの露出補正をしたくなるところですが、ノーマルトーン撮影ではありませんから、プラスマイナス0EVとなります。
もちろん、マニュアル露出であれば、露出補正という概念はありませんから、PLフィルターを付けた上、機械的に、ISO200、F8、1/500sec.とやればOKです。
ゴチャゴチャ考えるより、パラメータを丸暗記してマニュアル露出で撮った方が手っ取り早いです。

-1.0EVで撮った写真の多くは、空のトーンは良くても、地面/建物が暗く落ちすぎるということがおこります。
この暗すぎる地面/建物は、フォトレタッチにより救済します。
この写真の場合、建物もそれほど暗く落ちておらず、このまま使えるとは思います。
強いて言えば、エアコン室外機の左肩が夕陽にギラリと光った感じがほしいぐらいでしょうか。
そこで、空のトーンはそのまま残し、地面/建物のみを明るくするという処理を行うことにします。
その具体的方法を以下に説明します。


パチモンエーゲ海製造法 Part.2 レタッチ篇
以下、レタッチ篇です。
今回は、直感的に分かりやすいマスク操作による方法を解説しますが、もちろんレイヤー操作でも作成できます。
スクリーンショットは、Adobe Photoshop CS3のものですが、マスク機能/領域選択機能のあるフォトレタッチソフトであれば、同等の操作で実現可能と思います。
PhotoshopクローンのGIMPでも可能ですし、10年以上前のMicrografx Picture Publisherでも可能でした。
Picture Publisherでフォトレタッチを覚えた私が言うのだから、半分ぐらいは信じてもらっても‥‥、(以下自粛)
以下に書いた操作は、いわばフォトレタッチアプリケーションの基本中の基本ですから、これができないソフトウェアはモグリ、フォトレタッチソフトを標榜することすら厚かましいといわざるをえません。


ファイルを開いて最初に行うことは、モードを8bit/channelから16bit/channelに変更することです。
Photoshopであれば、[イメージ]-[モード]-[16bit]という操作になります。

「sRGB空間は8bit色深度だから、16bit色深度は無駄じゃないのか?お前は何~も分かっちゃいないタワケか?」と思われる方、まだまだ人生修行が足りません。スタティックな表示だけの問題を考えれば、たしかに8bit/channnelだけで充分なのですが、これからレタッチによりトーンをいらいまくる場合には話が違ってきます。

左図はある画像のヒストグラムを1chnnelだけ表示させたものです。
8bit/channelの場合、RGB各色の階調数は0-255の256階調です。
一方、16bit/channelの場合は、0-65535の65536階調です。六郷権三郎と覚えるといいです。

両者の違いは、レタッチをする際にはかなり効いてきます。
8bit/channel時にトーンジャンプによるマッハバンドが出てしまうような場合でも、16bit/channelであれば、ビットレートの豊富さゆえに、トーンジャンプが出ずに済む、ということが多々あります。
アナログデータをデジタル化する場合、ビットレートが高ければ高いほど、オリジナルに近いサンプリングができることを考えれば自明ですね。
Photoshop CS3には32bit/channelという凄まじいサンプリングレートのモードもありますが、話がややこしくなるだけなので今回は省略します。


画像を開いたら、明るくする部分を領域選択します。
この写真の場合、空はオリジナル濃度のまま残しますから、建物の壁面ですね。



Photoshopであれば、ツールボックスから「領域選択ツール」を選び、ポッチポッチとクリックしていけば選択されます。
領域選択はざっくり大雑把でOKです。後ほどベロンベロンにぼかしてしまいますから。

領域選択したら、マスクの様子を確認します。Photoshopであれば、ツールボックス下部のクイックマスクツール(日の丸)をクリックすれば、マスク表示/非表示がトグルで切り替えられます。
マスクを表示した状態です。
赤い部分は古来「ルビーオーバーレイ」と呼ばれるマスク部分です。
早い話がプラモデルのマスキングテープ。
この部分はマスクされているので、ラッカーペイントが塗られない、と理解すればOKです。
フォトレタッチソフトのマスクも、マスキングテープ同様、設定した部分には効果が及ばないようになっています。

ただ、このままではマスクエッジがシャープすぎるので、効果ON/OFFの境界がはっきり出てしまいます。そこで、電子マスクゆえのチカラワザ、「マスクのぼかし」を使います。領域選択した状態で右クリックし、ポップアップメニューから[境界をぼかす]を選択します。すると、下のダイアログボックスが現れます。



ぼかしの半径は250pixel。
これが、Photoshopで扱える最大ぼかし量です。半径を減らすと、デュレーションが下がり、ぼかし量がくっきりしてきます。これより多くのブロードなぼかしをかけたい場合には、マスクぼかしをダブル/トリプルでかけるなどの変則技が必要になりますが、実は目視では分からなかったりします。

マスク境界をぼかした後の画像です。
点線付近にぼやけたマスク境界があり、内側にのみ効果が及ぶようになっています。

などと御託を述べてもさっぱりワケワカだと思いますから、とっととマスクの様子を確認します。というわけで、ツールボックス下部の「日の丸」をクリックします。

赤い部分がマスクされた部分、つまり効果が及ばない部分です。スヌケの部分が効果が及ぶ部分。両者の間はグラデーションで漸次変化しています。

これを見れば、相当頭の温かい人でも直感的に何が起こっているのか分かるかと思います。電子マスクというものがいかに偉大なものか分かる瞬間ですね。

ところで、このまま非マスク部分だけを明るくすると非常にまずいことがおこります。右下の大きな排気ダクトが西日を受けて白飛びしているのですが、明るくすると、ますます白飛びし、辛うじて残っている階調が一網打尽で無くなってしまうのです。

ここだけは明るくしたくない、何が何でも明るくしたくない。
どうしたら良いのか?
答えは簡単です。
マスクを塗るのです。
水溶性マスクのようなものだと思えばOKです。

右下のダクトの上からマスクをペタペタと塗っているところです。塗り重ね可能です。塗れば塗るほど強固なマスクになります。

マスク塗りの方法は呆気ないほど簡単です。ツールボックスからブラシツールを選び、任意の太さ、形状、濃度でぬりぬり&ぺったんぺったんやるだけです。

とはいえ、あまり明らさまなのは品がないですから、硬さ0%、不透明度40%、流量30%ぐらいの筆で、何度も位置をずらしながら塗り重ねていくのがベターだと思います。

水溶性マスク(のようなもの)で、右下ダクトを塗った後の選択領域の様子です。何を意味するかは分かりますね?

あとは、マスクの内側だけを明るくするだけです。
[イメージ]-[色調補正]-[レベル補正]とクリックして、左上ののダイアログボックスを出します。
白端を左へドラッグすると、全体に明るくなります。

このままでも充分ですが、中間点をやや右にドラッグし、ガンマを下げると、コントラストが上がります。
まぁ、気持ちの問題です。^^

非マスク部分だけがわずかに明るくなりました。
この「わずかに」という部分が重要です。
レタッチ初心者は、何が何でも効果を出したいという気持ちが強くなりすぎて、ともすればオーバーイフェクトになりがちです。ここは心を大人にして、腹六分目ぐらいにした方が上品というものです。これ、マジな話ですよ。^^

下に、Before/Afterのサンプルを上げておきます。
はっきり分かるほどのレタッチは野暮というものです。
表現のためであれば、それも可ですが、私としては上手に人を騙すことの方が楽しかったりします。
あぁ、性格悪いなあ。^^

レタッチ前

レタッチ後

空の青さを深めるために、空の部分にのみ、わずかにRed成分を足しています。
青くするのにBlue成分を足すのはトーシロー。
通は、Red成分を足すのです。^^

以下、オマケです。
最後に仕上げとして、LOMO LC-A風のトンネルイフェクトを付けます。
といっても、回りを少しだけ焼き込むだけの話。
これも気持ちの問題です。好きにしてください。^^


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by xylocopal2 | 2008-05-19 23:59 | Software
2008年 04月 07日 ネガフィルムスキャン入門 改訂版

2009/04/26 追記
================
"Xylocopal's Photolog 2009/04/26 ネガフィルムスキャン入門 改訂版 2009"をUPしました。
上記改訂版2009の方が、より簡単に好結果を得ることができると思います。
以下は旧コンテンツです。






2005年10月29日に記した"ネガフィルムスキャン入門"ですが、3年近く経った現在、スキャナドライバのバージョンアップなどにより少々内容が古くなってしまいました。
改訂しないとまずいなあ、と思いながら放置を続けてきましたが、予想外に需要が多いようなので、改訂版を書きました。
本来は全面改訂版を書くべきなのですが、今回は変更点だけの改訂にとどめています。
何しろヘタレの根性なしですから、全面改定はあまりにもしんどいです。
どうか御容赦ください。^^

基本的な考え方/方法は前回と同じです。
ラチチュードの広いネガフィルムの良さを活かすため、できるだけ白飛び黒潰れの少ない多階調のスキャン画像の作成を目指しています。
ポジフィルムのことは考慮していませんから文句を付けないように。
また、価格の安いフラットベッドスキャナを前提に解説しています。
フィルム専用スキャナの作法は違うぞ、というようなクレームを付けないように。
まずは、以前のテキストを読んで全体の流れを把握してください。

 Xylocopal's Weblog : ネガフィルムスキャン入門 #1
  http://xylocopal.exblog.jp/2950773/

 Xylocopal's Weblog : ネガフィルムスキャン入門 #2
  http://xylocopal.exblog.jp/2961591/

 Xylocopal's Weblog : ネガフィルムスキャン入門 #3
  http://xylocopal.exblog.jp/2972669/


今回使用したスキャナは、EPSON GT-X750。
主走査4800dpiのフラットベッドスキャナです。
2001年発売のフィルム専用スキャナ"Nikon COOLSCAN IV ED"とほぼタメを張る実力を持っています。 [参考エントリ]
PC環境は、Window XP SP2 + Nanao FlexScan L565。
使用ソフトウェアは、EPSON SCAN Ver.3.24J、Adobe Photoshop CS3 Ver.10.0.1です。
バージョンにより、微妙にスクリーンショット画像の様子が違うと思いますが、まぁ大差はありません。


EPSON SCANを起動したところです。
プロフェッショナルモードで135判カラーネガフィルムをスキャンするという前提で話を進めます。

基本設定は左のとおりです。
48bitカラーというのは、Photoshopでいうところの16bit/Channelです。RGBと3チャンネルありますから、16bit×3=48bitということになります。

解像度は2400dpi。
135判フルサイズの画面をスキャンすると、だいたい800万画素ぐらいになります。

アンシャープマスク、粒状低減などのオプションは一切OFFです。
Digital ICEも使いません。
Digital ICEを使うと、スキャン速度が極端に遅くなり、ディティール先鋭度もかなり悪くなります。
Digital ICEというのは、デジタル一眼レフのポートレートモード、夜景モード、スポーツモードなどと同じような「お手軽モード」と考えて差し支えありません。男なら(女なら)、ここは思い切って硬派に行きましょう。

だいたい、Digital ICEなんか使わなくても、たいていのレタッチソフトには、コピースタンプツールという機能が付いています。これで、ポチポチごみを消していった方が早いです。イラチの私は断然コピースタンプツール派です。

コピースタンプツールで修正しきれないほどゴミが付いている場合はフィルム管理に問題があるか、スキャナのガラス面が汚れているかのどちらかです。フラットベッドスキャナのガラス面は定期的に無水エタノールなどで掃除した方がいいです。

EPSON SCANの環境設定です。
詳細は前回書いたとおりですが、新しいドライバで変更になった点もあるので、さらっと解説します。

まず、「常に自動露出を実行」のチェックボックスはクリアしてください。ここにチェックが入っていると、sRGB空間に収まらない階調(早い話がディープシャドウ&ハイエストライト)があっさり破棄されます。せっかく階調が豊富なネガフィルムを白飛び黒潰れにしてしまってはもったいないです。

ディスプレイガンマは、Windowsユーザなら2.2、Macintoshユーザなら1.8にします。
以前のドライバは、0.1刻みで、1.9とか2.1などの中間値が選択できました。1.5などガンマを低く設定すると硬調に、2.4などガンマを上げると軟調に設定できたのですが、現在のドライバは1.8/2.2の二択しかありません。


スキャンサンプルは前回同様左の写真です。
上の画像が無補正スキャンの元画像。
下の画像が補正スキャンの上、Photoshopでトーンを整えたレタッチ済み画像です。

この写真、実は20年近く前、1988年の撮影です。ネガフィルムは退色が多いといわれますが、電子的に処理することで、かなりのトーンが復活できます。本来フォトレタッチとはこうした画像処理技術のことを指していました。




以下、プレビューモードの操作法を解説していきます。
スキャン時のトーン調整はプレビューモードの全体表示で画像のトーンを見ながら行います。
サムネイル表示では画像が小さすぎてディティールがよく分かりません。
なお、スキャン実行はサムネイルモードで行います。
全体表示モードではスキャン実行できません。

プレビューモードのヒストグラム調整ダイアログボックスを開いたところです。まったく未調整のデフォルト値ですが、以前のEPSON SCANに比べると、デフォルトでもかなりマシな値を出すようになりました。この程度のヒストグラムであれば、そのままスキャンしても結構使い物になる画像が得られます。とはいえ、それを言っては身も蓋もないので次に進みます。

まず、ヒストグラムの黒端/白端をぎりぎりまで詰めます。
以前のテキストでは山裾に余裕を持って、ブロードな階調を確保する、と書いた部分ですが、現在のEPSON SCANではPhotoshopのレベル補正と同じ操作でOKです。なので、とりあえずは黒端/白端を詰めるという考え方になります。

ただし、EPSON SCANで補正した結果は実際のヒストグラムに完璧に反映されません。大雑把に反映されるだけです。そのため、白一杯まで使いたい場合は、左のように、少し山の内側まで食い込ませた方が結果がいいです。

黒も同様に山の内側に突っ込むと締まりが出ます。ただし、リニアに反映されるヒストグラム補正ではないため、ディープシャドウを捨てる危険もあります。銀塩写真はアンダーに弱く、シャドウのデータはできるだけ大切にしたいです。そのため、ここでは山裾ギリギリに設定しています。

大雑把にしかヒストグラム補正が反映されないというのはプレビューモードの欠点です。ここに現れるヒストグラムは、あくまでも読み取り画素数の少ないプレビューモードにおけるヒストグラムであり、本スキャンとは別物です。サンプリングされた画素だけでは実際の輝度分布が分からないのです。傾向をつかむためのヒストグラムと考えた方がいいかもしれません。

なお、ヒストグラム中央のグレー三角ですが、今回の写真では中庸濃度のネガのため使っていません。しかし、ネガ濃度によっては有効に使えます。特に極端に黒っぽい画像の場合は、グレー三角を左方向にドラッグすると、階調が出てきます。逆に極端に眠いトーンの場合はグレー三角を右方向にドラッグすると、メリハリが出てきます。
このあたりの使い方は、Photoshopのレベル補正と同じと考えていいです。
このエントリの最後に、ヒストグラム補正に関する操作一覧をまとめておきましたので参照してください。

ヒストグラム補正をすると、トーンカーブの形が歪みます。上の例では、黒潰れのトーンカーブになっています。シャドウデータの乏しい銀塩写真の場合、これは非常にまずいので、修正します。

トーンカーブの修正方法ですが、ヒストグラム補正の出力スライダを左右に動かします。この場合は、18から28へ、つまり右移動させると、0%の黒レベルの出力が可能になります。

なお、「出力表示」ボタンを押すと、予想される出力時のヒストグラムが表示されますが、これはあまりアテになりません。予想ヒストグラムで黒端/白端ともまだ切り詰められると思っても、実際には過剰補正となり、黒潰れ/白飛びする場合が多いので、トーンカーブの形で判断した方が無難だと思います。

なお、白側のトーンカーブも直したくなりますが、これはヘタにいじらない方が無難です。出力スライダの白端を右側に動かしたくなりますが、白飛びをすることが多いです。銀塩フィルムのハイエストライトというのはダラダラとヒストグラムの右端に伸びていくのが特徴ですが、これはプレビューウィンドウの大雑把なヒストグラムでは確認不可能です。

この調整で輝度レベルは調整できますが、色味は転んだままです。ネガフィルムのオレンジベースが補正しきれず、青緑色に転んだトーンになっている場合が多いと思います。その場合は下記の要領でヒストグラム、トーンカーブを補正します。

この方法は、サンプル写真のようなはっきりとした黒と白が存在する画像の場合に特に効果的です。
そのかわり、中間色ばかりではっきりとした黒や白がない画像の場合は補正しきれない場合もあります。
真っ赤なチューリップのクローズアップなど、極端に特定の色に偏った画像の場合もうまく補正できません。

方法は、左の図のように、RGB各色別にヒストグラムの黒端/白端を詰めるだけです。

上が補正前。
下が補正後のヒストグラムです。

画像にもよりますが、この操作で、ホワイトバランスはだいたい揃うことが多いです。
撮影時に、"グレースケールチャート"を写し込んでおけば、かなりの確率で元の色再現が期待できます。
別カットで撮影した場合も、補正量をメモしておくことで応用可能です。

ただし、使用フィルムと光源色温度がずれている場合は、単純な色カブリとはならず、補正しきれないこともあります。
デイライト用フィルムで、タングステン電球照明を撮った場合などですね。

こうした場合や、自然光とタングステン電球光のミックス光を撮った場合、色カブリがハイライト、中間調、シャドウとそれぞれに異なるねじれを生じていることがあります。ハイライトは赤に転んでいるのに、中間調はマゼンタ、シャドウはブルーに転ぶ、という面妖なカラーバランスになっていることは決して珍しいことではありません。

こうした場合の補正は、RGB各チャンネルの黒端、中間点、白端をそれぞれ個別に操作して行います。
面倒な補正になりますが、かなり精密に色バランスを操作できるので試してみる価値はあります。

RGB各色のヒストグラムを操作した場合、出力側のトーンカーブが変化します。
極端に1チャンネルだけ潰れているような場合は修正します。
出力スライダを使って、上のトーンカーブを下のトーンカーブに補正するわけです。
場合によっては、トーンカーブ補正をしない方が良いこともありますので、プレビュー画像を見ながら判断してください。

上の操作を行ってもまだ色カブリがある場合は、プレビューウィンドウのイメージ調整で軽く補正しておきます。
この写真の場合、ややグリーンに転んでいるので、補色であるマゼンタをプラス方向に足します。補正量はプレビューウィンドウ(全体表示)で目視確認します。
あくまでも、後ほど行うPhotoshopでのレタッチ量を軽減するためだけの処置ですから、軽い補正量で充分です。
この後、本スキャンを実行します。




本スキャンの後に、Photoshopによるレタッチでトーンを整えます。
ここは男らしく(女らしく)フルマニュアルで、といきたいところですが、あまりにも面倒なのでズボラをすることにします。
ここで紹介するズボラ法は、Photoshopによる究極の自動カラー補正であり、自動とはいいながら、かなり詳細に微調整ができる方法です。
この方法では白飛び/黒潰れの程度をリアルタイムで確認しながら、結果を精密にコントロールできます。
まず、スキャン画像を開き、[イメージ]-[色調補正]-[レベル補正]と選択し、レベル補正(ヒストグラム補正)ダイアログボックスを出します。

これは、フィルムの黒枠をトリミングツールで削除した後のヒストグラムですが、なかなか良い形になっています。黒端はまだ詰められる余裕がありますが、銀塩写真の場合、ぎりぎりまで詰めない方が安全です。この程度の間隙なら上等の部類だと思います。

白端は厳密に言えば白飛びしています。銀塩写真特有のだらだらと伸びるハイエストライトですね。すべてのハイエストライトを8bit/channelのsRGB空間に押し込むことは不可能なので、いずれ捨てることになります。捨てるにしても自分の判断で捨てたいです。とりあえず、この程度残してあれば、レタッチ用素材としては上々だと思います。

ヒストグラムの形は良くてもまだまだ妙な色になっていることは多いと思います。この妙な色とレベルを同時にレタッチするのが「自動カラー補正オプション」です。

レベル補正ダイアログボックスのオプションボタンを押して左のダイアログボックスを出します。まず「アルゴリズム」を選択します。アルゴリズムによって色味が変わりますが、一番気に入ったトーンを選択します。

「モノクロコントラストの強調」というのは、単純にヒストグラムの両端を切りそろえるだけのモードで色味は変わりません。良い色味でスキャンできていた場合は、このモードでメリハリのあるトーンが再現されるはずです。

「チャンネルごとのコントラストを強調」というのは、スキャン時に行ったRGB各チャンネルのヒストグラム両端を揃える作業を自動的に行うモードです。ヒストグラム両端を揃えた場合にも、このモードを選択することで、劇的にトーンが変わる場合があるので試してみる価値はあります。

このダイアログボックスで、試してみるべき組合せは以下の6つです。どの組合せを選んでも完璧なトーンにならないことが多いですが、一番違和感のないもの、一番気に入ったものを選べばOKです。
  • モノクロコントラストの強調+中間調のスナップOFF
  • モノクロコントラストの強調+中間調のスナップON
  • チャンネルごとのコントラストを強調+中間調のスナップOFF
  • チャンネルごとのコントラストを強調+中間調のスナップON
  • カラーの明るさと暗さの平均値による調整+中間調のスナップOFF
  • カラーの明るさと暗さの平均値による調整+中間調のスナップON

次に、白飛び黒潰れの量を調整します。コントロールするのは、ターゲットカラーとクリッピングの部分です。
シャドウのクリップ量は黒潰れの程度をコントロールします。
デフォルトは0.10%ですが、ここを0にすると、黒潰れはなくなります。
もちろん、スキャン時に潰れていなければ、の話ですが。

ハイライトのクリップ量は白飛びをコントロールします。
これもデフォルト値は0.10%です。
ここを0にすれば、白飛びはなくなります。
こちらもスキャン時に飛んでいなければの話です。

この両者は、破棄するシャドウデータの量、破棄するハイライトデータの量を決める部分です。
数値を大きくすれば破棄する量が増え、黒潰れ、白飛びが顕著になります。
数値を増やすということは、ヒストグラムの両端を切りつめていくということです。

シャドウデータ、ハイライトデータともに破棄することはできますが、追加することはできません。
無から有を生じさせることは不可能ということですね。
そのため、黒端/白端に多少余裕を持たせたスキャン画像を作るわけです。

シャドウ、ハイライト、いずれのクリップ量も数値を変えれば、リアルタイムで画像に反映されます。
0.05%などにすると、より低コントラストの白飛び/黒潰れの少ないトーンになります。
0.20%などとすると、コントラストが強調されたくっきりしたトーンになります。
この際、レベル補正ダイアログボックスのヒストグラムもリアルタイムで描き換えられます。
そのため、ヒストグラムの黒端、白端を監視しながら、クリップ量を可変することができ、非常に便利です。
写真にもよりますが、一般に多少白飛びさせた方が、コントラストのあるシャッキリした画像になることが多いですが、その量が精密にコントロールできるので滅法便利です。

「自動カラー補正オプション」適用後のヒストグラムです。
さほど黒潰れもしておらず、白飛びも少なく、まずまず理想に近いヒストグラムです。

ただ、色味として、まだ多少グリーンが強いので、カラーバランス補正で修正します。
グリーンが強い場合は単純に補色であるマゼンタをプラスすればOKです。



ここまで、「ちっとも補正した画像が出てこないじゃないか、なめとんのか、われ!」と思われた方も多いかと思います。^^
以下、一気に公開します。
並べてみないと、微妙なトーンの違いが分からないので、こういう回りくどいことをしています。
どうか御容赦ください。

何の補正も加えず、ただスキャンしただけの画像です。まぁ、何というか眠い画ですね。こうした画像を見て「このスキャナは安物だから駄目なんだ」と判断しないように。ちゃんと使えばまともなトーンが出てきます。

プレビュー画面でヒストグラムの両端を詰めた後の画です。多少シャッキリしてきました。

プレビュー画面でトーンカーブを修正し、黒潰れを回避した画です。あまり違いがよく分からないと思います。^^

プレビュー画面で、RGB各色のヒストグラムを調整した上、イメージ調整を行い、マゼンタをプラスした画です。

Photoshopで、自動カラー補正オプションを適用した後の画です。俄然シャキッとしてきました。

カラーバランス補正で、マゼンタをプラスした画です。コピースタンプツールでゴミもポチポチ直します。これで大雑把なレタッチは終了です。あとは煮るなり焼くなり好きに補正すればOKです。

黒猫の胴体シャドウが潰れていますが、これは撮影時にアンダーだったためです。もう半絞り開ければ良かったですね。
デジタルなら、これぐらいのシャドウは楽勝で起こせるのですが、銀塩の場合は起こしてもディティールは出てきません。

いくらカラーネガのラチチュードが広いといっても、あくまでもハイライト側の話であり、シャドウは本当に潰れやすいです。銀塩ネガのアンダーはレタッチでは救えません。



最後に、EPSON SCANのヒストグラム調整の修正パラメータ一覧をまとめておきます。

Aは黒端。
左に動かすと、階調は豊かになりますが眠くなります。
右に動かすと、コントラストは強くなりますが、破棄されるシャドウデータが増え、黒潰れします。

Bは中間点。
ガンマを操作する部分です。
左に動かすと、眠たいけれど明るく淡い画面になります。
右に動かすと、コントラストが強く濃い画面になります。

Cは白端。
左に動かすと、破棄されるハイライトデータが増え、白飛びしますがメリハリの付いた明るいトーンになります。
右に動かすと、眠たいけれど、ハイライトの階調が豊富に残ります。

Dは黒浮のトーンカーブ。
眠たいですが、シャドウの階調は豊富です。
ハイキー写真にする際は、こうしたトーンカーブにします。

Eは適正トーンカーブ。

Fは黒潰れのトーンカーブ。
コントラストは出ますが、シャドウデータは失われます。

EPSON SCANのヒストグラム/トーンカーブ調整のまとめと書きましたが、要はフォトレタッチの基礎のまとめですね。

なお、グレーバランス調整で、スポイトを使って無彩色と思われるポイントをクリックする方法もありますが、銀塩粒子があるために、なかなか一発で良いトーンにはなりません。
サンプリングポイントを5×5pixelsにしても成功率はあまり高くありません。
スポイト系の一発レタッチツールというのは便利そうですが、実用になるシーンは少ないですね。
とはいえ、手間のかかることではありませんから、ものは試しでスポイトを使ってみるのはいいと思います。
当たれば大儲けです。^^


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by xylocopal2 | 2008-04-07 15:37 | Software
2008年 03月 06日 とってもテキトーな体感露出入門
「体感露出」という言葉があります。
露出計を使わずに、「だいたいこんなもんだな~」と露出を決めることですね。
私がネガフィルム写真を撮るとき、屋外であれば、ほとんどの場合、体感露出優先モードで撮っています。
そもそも露出計を見るのが面倒くさいということがありますし、私が使う銀塩カメラは古いものが多く、露出計が付いてなかったり、付いていても劣化のため信頼できないものが多いということもあります。
体感露出とは、

 「五感以外の第六感プラス体内の特殊器官を鍛えて会得する一子相伝の秘術である」

ということはまったくなく、ネガフィルムのラチチュードの広さに深く寄りかかった単に大雑把な露出のことをいいます。
特に難しいものではなく、普通の暗記能力を持った人であれば誰でも身につけることができます。
体感露出会得法については、私がゴチャゴチャ書くより、私の師匠である中村陸雄氏が書かれた素晴らしいテキストがありますので、ぜひ読んでみてください。

 "とても適当なスナップショット講座 <露出編>"
  http://fantastic-camera.com/snap_01.htm

真面目に読むのが阿呆らしくなるほどふざけたテキストですが、書いてあることは至極まっとうです。
このとおりに実践すれば、露出計なしでスナップショットが撮れることを保証します。
弟子の私が言うのだから、本当だよ。

屋外のみとした場合、体感露出で覚えるべき露出はそう多くはありません。
ISO100の場合、最低限以下の5パターンでOKです。

 ------------------------------------------
  晴天順光: F5.6、1/500sec.
  晴天日陰: F5.6、1/125sec.
  日向日陰混在: F5.6、1/250sec.
  曇天: F5.6、1/125sec.
  少し暗い曇天: F4、1/125sec.
 ------------------------------------------

逆光の場合は、1~1.5段オーバーにします。
晴天時に、F5.6、1/250sec.ぐらいです。
ISO400の場合は2段アンダーで撮ればOKです。
晴天順光でF5.6、1/2000sec.ですね。
これで充分まともな階調の写真が撮れます。
入射光式露出計を操作した経験がある方なら分かると思いますが、同一条件下の露出というものは、そうそうブレるものではなく、大体一定なんですね。
反射光式露出計のように被写体の色や反射率による露出補正は不要です。

以下、実例を説明していくことにします。
作例はすべて、Kodak T-Max100というISO100モノクロフィルムで撮ったものです。
過去にUPしたものも何点か混じっています。


晴天順光の被写体です。
セオリーどおり、

 ISO100、F5.6、1/500sec.

で撮っています。
パンフォーカス狙いなら、

 ISO100、F8、1/250sec.
 ISO100、F11、1/125sec.

などの設定も可です。
もっと背景をぼかしたい、ということであれば、

 ISO100、F4、1/1000sec.

でもOKです。


晴天日陰の被写体です。
種も仕掛けもなく、

 ISO100、F5.6、1/125sec.

で撮っています。
もちろん、
 
 ISO100、F4、1/250sec.

でもOKです。


以下2つは応用例です。
左は、晴天やや逆光気味の板壁ですが、まずは順光と考えて、相場どおりこう設定します。

 ISO100、F5.6、1/500sec.

ただ、半逆光であるのとシャドウも少し出したかったため、シャッタースピードを1段遅くすることにしました。
つまり、以下のような設定です。

 ISO100、F5.6、1/250sec.

デジタルの場合は白飛び必至の露出ですが、銀塩ネガは露出オーバーに強く、1段ぐらいは屁のカッパです。むしろ、相場どおり、1/500sec.で撮るとシャドウが潰れます。銀塩ネガのシャドウというのは潰れてしまうと救済しようがないので、迷ったらオーバー気味で撮るのが鉄則です。

デジタルの場合は、オーバーに弱くアンダーに強いですから、少しアンダー目に撮るのが鉄則ですが、銀塩の場合はその反対になるわけです。


晴天下のサンルームです。天井付近には燦々と陽光が降り注ぎ、壁は白くかなり明るい室内です。しかし、主被写体は黒いセーターの女性。日向と日陰の混在ですから、セオリーどおり露出を設定するなら、以下のようになります。

 ISO100、F5.6、1/250sec.

ただ、この写真の場合、主被写体が黒っぽいのと、日向はディティールがしっかり分からなくてもいいということから、もう一段絞りを開けます。

 ISO100、F4、1/250sec.

このままで大丈夫だと思いますが、黒セーターと髪のディティールが欲しいこと、迷ったらオーバー目ということから、さらに1段オーバーのものも撮っておきました。

 ISO100、F4、1/125sec.

段階露出とかブラケット露出とかいうやつですね。結果的には、この一番明るい組合せが良い雰囲気で写っていました。迷ったら段階露出、これは結果がすぐに見られない銀塩写真では役に立つ技術です。


体感露出一覧は理屈なしの丸暗記でいいです。
暗記に自信がない方には、露出表の持参をお勧めします。
フィルムの箱に記されている程度のもので充分です。

もう少し、高級な露出表が欲しい、という方には"セノガイドC"というものがあります。
セノガイドCは、そもそもは計算尺のようなものでしたが、現在は携帯電話用シミュレーターがあります。

 "セノガイドCの模擬"
  http://www.geocities.jp/leitz_house/hosei/senoguide-c.html


携帯電話に"セノガイドCシミュレーター"を仕込んでみたところです。
セノガイドCの実物は、"こんな形"をしています。下がオリジナル、上が再現版です。3層構造になったダイヤルをくるくる回すことで適正露出を求めるようになっています。

左の写真では、F5.6+1/500sec.、F8+1/250sec.などの露出を示しています。
もちろん、正午頃の晴天、ISO100フィルムの適正露出ですね。
体感露出というのはセノガイドCのごく一部を丸暗記しているにすぎません。

セノガイドCを操作していると、夏至と冬至の正午頃でさえ、1EVほどの違いしかないなど、いろいろ面白いことが分かります。このシミュレーターを作った作者の方には深く感謝する次第です。


セノガイドCの使い方は原理的には簡単です。
以下のパラメータを設定すると、自動的に絞りとシャッタースピードの組合せが表示されます。

 -------------------------------------------------------
  1.フィルムISO感度設定
  2.天気設定(快晴、晴、薄日、薄曇、暗曇、夜景&人工照明etc.)
  3.シーズン設定(春夏秋冬、1月~12月etc.)
  4.時刻設定&被写体(雪原、海辺、ポートレート、ピクニック、室内、夜景etc.)設定
 -------------------------------------------------------

携帯電話用シミュレーターは画面が小さく操作しにくいため、慣れないうちは"PC用シミュレーター"を使った方が理解が早いと思います。
ユーザーインターフェースは一部携帯電話版と異なりますが、だいたい似ています。
PC版はマウスクリックでくるくるダイヤルを回すことができるので、かなり実物に近い操作感です。
携帯用は、いちいち"2"を押さないと、ISO、シーズン、シーンの切換ができないので若干操作が煩雑になります。
操作方法はオリジナル版セノガイドとほぼ同じ。
オリジナル版操作マニュアルは、"ここ"にあります。
PC用は左上の"ISO"を押すと、携帯用は十字キー上でヘルプが出ます。
基本的にはヘルプを見れば操作方法が分かるようになっています。
以下、操作の実例です。


3月の晴天午後2時、ISO100フィルムを使って、人物入り近景を撮る場合の設定です。
まず、フィルム感度をISO100に合わせます。
携帯版、PC版ともにデフォルトはISO100/晴天です。
セノガイドCシミュレーターを起動すれば自動的にISO100/晴天に設定されます。

次に、時刻を被写体アイコンに合わせます。
非常に大時代的なアイコンのため、現代人から見ると判じ物のようですが、見慣れると結構分かりやすいアイコンです。各アイコンの"対照表""ここ"にあります。

左は午前10時or午後2時に戸外近景を撮る場合です。
赤矢印の位置にダイヤルを合わせます。
設定後、左側の露出表示部を見ると、F8、1/250sec.、あるいはF5.6、1/500sec.などと露出の組合せが表示されます。
これが、ISO100フィルムの3月午後2時晴天の露出です。

実際に、今日(3/6)の14時に入射光式露出計で測定した結果です。
影を見れば分かるとおり、天候は晴れ。
ISO100、F5.6半、1/500sec.となっています。
F5.6とデジタル表示されていますが、サブスケールが半分振っていますので、半絞りプラスでF6.8ぐらいです。

セノガイドが出した露出値は0.5EVオーバーですが、まぁ許容範囲内でしょう。
この0.5EVが気になる人は体感露出に向いていません。^^
セノガイドCを正午に設定すると、ぴったりこの値になります。
30年ほど前の腐ったようなCdSセル露出計よりは、セノガイドCの方がよほど正しい値を出します。


室内など人工照明の場合は、ISO感度を晴マークの上の"N"指標に合わせます。
また、時刻ではなく"N"指標を被写体アイコンに合わせます。
左は比較的明るいデパートの売場などの例です。
結果は、ISO100、F2.8、1/30sec.などとなっています。

人工照明については、多少精度が怪しくなります。
セノガイドCがよく使われた昭和20~30年代と現代では、室内照明や街の明るさの基準が違いますから、どうしても誤差は出ます。参考程度と思っておいた方が無難です。


体感露出とは、ネガフィルムの広いラチチュードに深く依存した露出設定方法だと書きました。
では、ダイナミックレンジの狭いデジタル一眼レフと体感露出の相性はどうか?というと、実はこれが結構使い物になります。
特に、カメラの露出計が測光ミスをするような高コントラストの被写体が混じったフレーミングの場合、体感露出の方が好結果をもたらすことが時としてあります。

左の写真は、"Xylocopal's Photolog 2008/01/06 川のほとりで"ですが、デジタル一眼レフEOS30Dを体感露出優先モードで撮っています。

暗い川面と白く光る橋のコントラストが強すぎて、中央部重点平均測光でも露出がバラツキ気味だったので、「えーい面倒じゃ!」とISO100、F8、1/250sec.で撮ったところ、ばっちり露出がはまりました。
EOS30Dは実効感度がISO100に極めて近いためか、ほどよい程度に白飛びを許した至極まっとうな露出が得られています。

現代のデジタル一眼レフは優秀なTTL露出計を備えているため、体感露出の出番などほとんどなさそうに思えます。体感露出などという前時代の遺物を使わなくても、瞬時に測光できるシステムになっていますから。

しかし、それでも、露出の相場を知っていることは悪いことではありません。
露出計なんぞなくても写真は撮れる、これを理解すると写真に対する考え方が変わってきます。
たまには、露出計なしで写真を撮ってみるのも楽しいものですよ。^^


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by xylocopal2 | 2008-03-06 16:55 | Software
2007年 11月 25日 爆速フォトビュワー DPEx




珍しく、ソフトウェアについて語ってみることにします。
「語る」なんてガラじゃないって?
まぁ、たまには良いではないですか。^^
お題は、爆速画像ビュワー"DPEx"についてです。
DPExについては、すでに"Xylocopal's Weblog 2005/01/15 最強フォトブラウザ DPEx"として紹介しているのですが、あまりにも素晴らしいソフトなので、サンプル画像をリニューアルして二回り目をいくことにします。

DPExってのは、2週間の試用期間付、税込3675円のWindows用シェアウェアです。
はっきり申し上げて安いです。
断じて、Adobe Photoshopのような暴利の製品ではありません。
未経験の方は、ぜひお試しされることをお勧めします。
作者から、リベートをいただいているとか、そういうことは一切ありません。
新バージョンがなかなか出ないので、作者のケツ叩きのために、こういうものを書くだけです。

画像ビュワーというのは、フォトブラウザとも呼ばれ、まぁ簡単にいえば、写真を見るためのソフトです。
写真なんぞ、Explorerで充分見られるじゃないか、とお考えの方はお帰りいただいて結構です。
Explorerでは表示/操作がかったるくてやってられない、詳細情報を見るためには別アプリを立てなければならず死ぬほど面倒くさい、そういう方はぜひ読んでください。
デジカメ付属のソフトやフリーソフトの使い勝手に不満がある方もぜひ読んでください。
損はしないと思いますよ。たぶん。

DPExは、思いきり簡単に言えば、大量の写真を素早く閲覧し、OK/NGの判断を下し、その場でコピー/移動/削除を行い、Exifをチェックするためのソフトです。
今さら言うまでもなく、Exifデータとは、 "Exchangeable image file format"の略で、写真に埋め込まれた、デジカメの機種、撮影日時、絞り、シャッタースピード、ホワイトバランス、ISO感度などの情報のことです。
Exifを見れば、いつ、どのカメラで、どのように撮ったかが一目瞭然で分かります。
特に初心者のうちは、撮影技術向上のために欠かせないデータとなります。

  "スクリーンショット例 GIF画像 1037x741pixels"


DPExの最も優れた点は、その爆速性です。
撮ってきた写真をとにかく早く見たい、というときに抜群の威力を発揮します。
大量の写真をストレスのない早さでチェックするためのツール、それがDPExです。

サクサクキビキビ動くことを第一目的にして作った、と作者の"吉本龍司さん"は語っていますが、たしかに掛け値なしに速いです。
フォトブラウザには多くの製品がありますが、処理速度に関しては、DPExがダントツだと思います。
これより閲覧速度が速いソフトを私は知りません。

DPExの場合、サムネイルから全画面表示までに要する時間は、ほとんど瞬時です。
JPEGであろうが、RAWであろうが一瞬で表示されます。
JPEG表示の速いビュワーはありますが、RAWまで速いというものはあまりないと思います。
Canon謹製DPPのように、モザイクからモタクサ~と表示されるのとは、快適さにおいて雲泥の違いです。
サムネイルファイルを作らないフォトブラウザとしては、おそらく最速の部類じゃないでしょうか。

サムネイル展開速度は、50~60枚程度の画像を格納するフォルダであれば、ほぼ瞬時に表示します。
ただし、サムネイル展開速度は、ファイルサイズ、フォルダ内ファイル数、CPUクロック数/HDD速度/メモリ量に依存しますから、いくらDPExが速いといっても、数百枚を超える膨大なファイルがあるフォルダ内をロースペックPCで閲覧した場合には遅くなります。
これは仕方がないところでしょうね。


DPExは画像展開が早い上、GUIを経由しない直感的ユーザインターフェースを備えている点も個人的評価が高いです。
全画面表示の際、主な操作はすべてキー操作だけで済ますことができます。
たとえば、こんな感じです。

 右矢印キー[→] = 次の写真
 左矢印キー[←] = 前の写真
 上矢印キー[↑] = 時計回りに90度回転
 下矢印キー[↓] = 反時計回りに90度回転

 [DEL]キー = 画像削除
 [ESC]キー = サムネイル一覧画面に戻る
 [F4]キー = 白飛び判定(白飛び部分をブリンクする)

ユーザインターフェースは直感的で、往年のDOSアプリの操作体系に準拠しています。
初心者にも分かりやすいけれど慣れても操作速度が上がらないのがGUIです。
一方、とっつきは悪いけれど、慣れれば慣れるほど操作速度が上がるのが、CUIやキーボードショートカットです。
こうした操作を覚えると、シングルクリックで画像を選び、ダブルクリックで全画面表示にし、×ボタンで画像を閉じ、次の画像を選択する、などということは、かったるくてやってられなくなります。
右矢印キーを押していくだけで、瞬時に画像が切り替わっていきますからね。
大量に撮影した写真をチェックする際、これほどサクサク快適に閲覧できる操作系はないと思います。

縦位置情報を付加できるカメラで撮った縦位置写真は自動的に縦位置表示されます。
縦位置情報を付加しない旧型カメラで撮った写真は矢印キーで回転できます。
縦位置変換の速度は、CPUパワーがないPCの場合、一呼吸置く感じがありますが、Dual CoreクラスのCPUであれば一瞬で縦位置変換されます。

DPExは、ファイル操作も楽です。
昔の画像ビュワーは、本当に画像を見るだけで、ファイル操作ができないものが多かったですが、DPExは画像を見ながら、簡単にコピーや移動、削除ができます。
一括コピー、一括移動、一括削除もできるので、大量の写真を撮ってきたときなど、写真の整理やNG抜きに威力を発揮します。
その他、主な機能は、ほぼマニュアルレス、ヘルプレスで使えます。
機能的な面で迷ったときも、たいていは右クリックのコンテキストメニューに載っています。
いちいちマニュアルやヘルプを参照しなくても直感的に使えるのは、良いソフトの必須条件ですね。

全画面表示の際の画質もなかなか優れています。
画像ビュワーの中には、100%表示、50%表示、25%表示などのときには綺麗な表示ができるのに、27%表示とか33%表示など半端な拡大率の際にはジャギーが出て画質判定が難しいものがときどきあります。
その点、DPExは優秀ですよ。
800万画素(3504×2336pixels)の写真を、17inchディスプレイの1280×1048pixelsのフル画面表示にした場合、36%の表示率になりますが、気になるようなジャギーはまず出ません。
フォーカスに関しては、サムネイルからフル画面表示に切り替えた瞬間に、OKかNGかの判定が付きます。
等倍閲覧にする必要などまったく感じません。


DPExはフォトブラウザ、EXIFリーダとして知られていますが、その真価は、Photoshopなどのフォトレタッチソフト/現像アプリのランチャーとして使ったときに発揮されます。

DPExでは、画像を選択し右クリックするとコンテキストメニューがポップアップし、起動させるアプリが選べます。
左のスクリーンショットでは、Photoshop CS3になっていますが、Photoshop Elementsだろうが、Photoshop Lightroomだろうが何でも登録できます。
この状態で、Photoshop CS3をクリックすると、CS3が選択画像を開きながら起動します。
すでにCS3が起動済みであれば、瞬時に選択画像をCS3に取り込みます。

DPExのアプリランチャー機能に慣れると、処理する写真を探す/見る~現像/レタッチする、という一連の動作がシームレスに行われるので実に快適です。
動作のトロいExplorerやAdobe Bridgeなど二度と使うものか、という気分になります。
画像閲覧~現像/レタッチという連携ワザは日常的に多用するものですから、快適であるほど精神衛生上よろしいですね。


右クリックコンテキストメニューに起動アプリを登録する方法は以下のとおりです。

DPExを起動し、[オプション]-[ツール]とクリックします。
すると、左図のダイアログボックスが開きますので、ターゲットアプリを[追加」するだけでOKです。
PhotoshopとLightroom、PaintShop Proなど複数のアプリを登録することも可能です。
その際は、コンテキストメニューから起動させるアプリを選択することができます。

[Photoshop自動連係を有効にする]というチェックボックスは、Photoshop専用のもので、ここにチェックを入れておけば、自動的にPhotoshopがコンテキストメニューに登録されます。
この自動連係、旧バージョンのPhotoshopではまったく問題なく動作していたのですが、CS3にバージョンアップしたとたん、うまく動かなくなりました。
何故か、起動直後にPhotoshopが死んでしまうのです。
原因は、DPExがPhotoshop CS3に未対応である、という点にあると思われます。

DPExは大変優秀なソフトなのですが、惜しむらくは、先に書いたように最近更新が滞っています。
最終安定版のDPEx ver.1.51のリリースは、2004年10月です。
昨年、β版の1.60が出ましたが、いつまで経ってもβ版のままです。
ですから、新しいソフトとの相性は出たとこ勝負の部分があります。
今年初夏発売のPhotoshop CS3なんて、DPExにとっては見たことも聞いたこともないアプリでしょうね。きっと。
しかたがないので、c:\program files\adobe\photoshop cs3\photoshop.exeとパスを直接指定の上、追加しています。
この設定で、まったく問題なく使えるようになりました。めでたしめでたし。


DPExの機能の中で特筆すべきものはEXIFチェック機能です。
Exifを見るためのソフトウェアは、デジカメ付属のものなど、何種類もありますが、それらの中でもDPExは圧倒的に高機能です。
EXIF閲覧フリーウェアの定番、"Exif Reader"の上位バージョンに位置するのがDPExといえば、お分かりいただけるでしょうか。

DPExのExifに表示されるデータは極めて詳細です。
撮影日時、絞り、シャッタースピード、ISO感度などが表示されるのは当然として、撮影モード(P、Av、Tv、M etc.)、露出補正量、ホワイトバランス、ストロボ発光ON/OFF、測光モードまで表示されます。
全画面表示の際にも、ステータスバーに最低限のExif情報が表示されますから、画像確認とExif確認が同時にできます。
単純なExifデータであれば、サムネイル一覧に戻らなくても、全画面表示状態で確認できます。





デジカメメーカーによりExifの内容は違いがありますが、Canon EOSシリーズの場合、純正レンズであれば、EF50mm/F1.4 USMなどとレンズ名も表示されます。
ボディナンバーまで表示されてしまうのは、ネット上にオリジナル画像をUPする際には困ったところでもありますが。
サードパーティメーカー製レンズの場合でも焦点距離は表示されますから、28-75mmとなっていれば、タムロンA09(28-75mm/F2.8)を使ったことが分かります。
ズームレンズの場合、どの焦点距離域で撮ったかまで分かるのは実に重宝です。
ここは28mmで撮った、あっちは75mmで撮った、などということが一目瞭然です。

DPExが世に出たのは、"Canon EOS D30"の発売と同じ頃だったと記憶していますから、2000年前後のことだったかと思います。
それから7年、ドッグイヤーのPC/デジカメの世界では時代遅れになってもおかしくない年月にもかかわらず、今なお、DPExを凌駕するビュワーは出ていないような気がします。
最終更新から3年が経った今、新しいバージョンを望んでいるのは私だけではないと思います。
幸いにして、Canon EOSシリーズのRAWファイル、*.CR2ファイルは3年前のDPExで閲覧可能ですが、DPExが知らない新機種のRAWファイルでは読めないものもあるかもしれません。
新バージョンDPExのリリースが渇望されてなりません。


 "DPEx 公式ウェブサイト"
  http://www.rysys.co.jp/dpex/

 "Vector Library - DPEx"
  http://www.vector.co.jp/vpack/browse/pickup/pw5/pw005297.html

 "Vector 新着ソフトレビュー - DPEx"
  http://www.vector.co.jp/magazine/softnews/020629/n0206291.html

 "窓の杜 - DPEx 作者紹介 吉本龍司さん"
  http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/08/08/whocreate20.html
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by xylocopal2 | 2007-11-25 00:01 | Software


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