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2008年 03月 27日 7年目のNanao FlexScan L565
2002年3月に購入した液晶ディスプレイ、"Nanao FlexScan L565"の累積使用時間が1万時間を超えました。
6年間で10013時間ですから、1668時間/year。
4.57時間/day。
連日の酷使に耐え、よくぞ頑張ってくれたものだと思います。

ナナオの製品というのは、表示品質が良いだけでなく、非常にタフですね。フォトグラファー、イラストレーター、デザイナー、ADの皆さんが好んで使うのもよく分かります。プロが使う道具というのは、いついかなるときも確実に動作する、が第一条件ですから。

"Xylocopal's Weblog 2005/05/10 写真用ディスプレイ調整"にも書いたとおり、私はナナオ教信者です。FlexScan L565の前は、"FlexScan E57T"というトリニトロン管のディスプレイを7年間使いたおしましたが、最後までノートラブルでした。

E57Tの前に使っていたダイヤモンドトロン管の某一流メーカー製ディスプレイは何故か非常に疲れるディスプレイでした。そのディスプレイを使っていた当時は原因不明の肩こりや腰痛に悩まされ、数日おきに近所のマッサージに通うほどでした。
それが、Nanao E57Tに変えたとたん、きれいさっぱり治ってしまったのですから、ナナオ教信徒にもなろうというものです。
長時間PCで作業する方は、ディスプレイ、キーボード、マウスなどの直接身体にかかわるマンマシンインターフェースに関しては多少無理をしても良いものを使った方がいいと思います。


FlexScan L565は、ナナオの17inch液晶ディスプレイとしては最初のモデルです。
輝度230cd/㎡、コントラスト比400:1、応答速度30msというスペックは現在の製品に比べるとかなり見劣りします。
それでも、日立製S-IPS(Super-In-Plain-Switching)方式液晶パネルは多階調高視野角で今なお美しいと思います。
購入時に量販店で他社製品とさんざん見比べましたが、FlexScan L565の多階調性は抜きん出ていました。

購入後は高視野角に驚かされました。
何しろ、どこから覗き込んでも、CRTディスプレイ並みに輝度変化がないのですから。
ノートPCなどでは、シャドウやハイライトが見え難いため、ディスプレイ傾斜角を変えることがよくありますが、FlexScan L565ではそういうことはまったくありません。
本当に液晶なのか?と思ったほどです。

そのFlexScan L565ですが、7年目を迎え、さすがに輝度が落ちてきました。
購入直後はまぶしいほどの明るさだったため、輝度を50%程度に落として使っていましたが、暗くなってくるたびに輝度を上げた結果、現在はいっぱいいっぱいの100%になっています。
これ以上暗くなったときは買い換え時だろうな、と思います。

FlexScan L565は階調表現には定評があるディスプレイですが、6年使った今はシャドウの階調表現が少し怪しくなってきました。
階調表現をチェックするには、グレースケールを表示させるのが手っ取り早いです。
下のグレースケールの全ての縞が分離して見えれば、とりあえず写真表示に問題のないディスプレイということができます。
階調表現に問題があるディスプレイの場合、1と2の間、32と33の間あたりの違いが分かりにくいです。



FlexScan L565は、このチャートでは一応すべての縞が分離して見えます。
ところが、コタツトップPCとして使っている"IBM ThinkPad G41"の液晶はまるで駄目です。
かなり輝度を落として使っているにもかかわらず、白が飽和しており、32と33の区別がつきません。
シャドウの分離も悪く、ディスプレイを傾けてやっとこさ1と2の区別ができるというレベルです。
正直なところ、ThinkPad G41ではレタッチ不可能です。
ThinkPad G41はビジネス向き大量導入用ノートPCですから、仕方がないといえば仕方がないのですが。

上のグレイスケールがすべて分離して見えれば、実用上困ることはないと思います。
縞が分離して見えない場合は、ディスプレイの明るさを調整した方がいいです。
調整方法ですが、白が分離していない場合は、明るすぎるわけですから輝度を落としてください。
黒が分離していない場合は、明るさが不足していますから輝度を上げてください。
それでも分離して見えない場合は、コントラストが高すぎる場合があります。
コントラスト調整ができるディスプレイであれば、少しコントラストを落とすといいかもしれません。
とはいえ、世の中には、どう調整しても縞が分離しないディスプレイもあります。
私のThinkPad G41のように。
本気で写真をやるつもりなら、ちゃんとしたディスプレイを買った方がいいと思います。
お奨めは、ナナオ教エバンジェリストの私のことですから、もちろん"Nanao FlexScan"シリーズになります。

もう少しクリティカルなレベルでハイエストライトとディープシャドウの階調表示チェックをするために、下のグレイスケールを作ってみました。
これはかなり意地悪なチャートで、上の1と2の間、32と33の間にもう一段縞を追加してあります。
すべてクリアに分離して見えるディスプレイは非常に優秀です。



FlexScan L565は、ハイエストライトは完全に分離して見えますが、ディープシャドウは辛うじて分離する、というレベルです。
明るさが不足してきた証拠ですね。
1と2が分離しなくなったら、いよいよ買換です。
ThinkPad G41にいたっては、1-3、33-35が一色に見えます。
よほど目を凝らさないと縞が分離して見えません。
ノートPCには、無類に明るいけれどハイコントラストすぎて階調表現は駄目、というものが多いような気がします。




コメント欄に使っている猫のシルエット画像を加工してみました。
これが綺麗に分離しないディスプレイの場合、写真用として使うのは辛いかもしれません。
ThinkPad G41では猫のディティールがほとんど分かりません。

ところで、今まであーだこーだ書いてきたことはすべてモノクロ写真の場合の話です。
色に関しての話が一切無いわけです。^^
色については、はまり出すときりがないので、Web用途メインであれば、sRGB設定でOKということにしています。
本当はきちんとキャリブレーションとって、カラーマネージメンを設定した方がよいのですが、写真を印刷するということがほとんどないので放置してあります。

FlexScan L565はあと1年内外で輝度レベル的に寿命を迎えることと思います。
後釜としてリプレースするディスプレイは21inchのUXGA(1600×1200pixels)のものがほしいなあと思います。
圧倒的に縦位置撮影が多い私にとって、今流行のワイドディスプレイは不要なんですね。
候補としては、"FlexScan L997"がファーストチョイスなんですが、いかにも高い。
"FlexScan S2100"でも充分かなあと思っています。
IPSパネルの良さは身をもって感じているだけに悩ましいところです。
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by xylocopal2 | 2008-03-27 00:16 | Hardware
2008年 03月 21日 近接撮影用ブースター Canon Extention Tube EF12 II
Canon EFマウント用のエクステンションチューブ、"Extention Tube EF12 II"を買いました。エクステンションチューブとは、中間リング、接写リングなどとも呼ばれるもので、ボディとレンズの間に挟んで使うリングです。

これは、レンズのヘリコイドを無理矢理繰り出した状態にするもので、レンズなどは入っていない単なるドンガラの筒です。これをかますことにより、遠方へのピントは出なくなりますが最短撮影距離は短くなります。結果として、被写体により近寄れ、被写体がより大きく写ります。

用途としてはマクロレンズ、クローズアップレンズなどとよく似ていますが、望遠レンズなどあらゆるレンズに取り付けて最短撮影距離を短くすることもできるあたりが多少異なります。

EF12IIは、以前紹介した"M42マウント用接写リング"のEFマウント版のようなものです。8つの電子接点が付いており、自動絞りはもちろん、AEは全モード対応、AFも精度的な保証はないものの使えるレンズが多いようです。
EF-SレンズをはじめCanon製純正レンズの多くに対応しており、サードパーティ製レンズでも使える場合が多いと思います。
より近接倍率の大きなEF25IIというエクステンションチューブもありますが、こちらは鏡胴が25mmと長いため、使えるレンズに制限が多いようです。

"TAMRON SP AF90mm F2.8 MACRO"という等倍マクロレンズを持っているにもかかわらず、エクステンションチューブを買ったのは、ひとえに面倒くさがりの不精者ゆえです。
たとえば、サクラの撮影に行くとしましょう。
私の場合、サクラ撮影のメインレンズは"Canon EF70-200mm F4L USM"になります。
これで、全体の80%を撮ります。
残りの20%を撮るのが、Tamron SP AF17-50mm F2.8 XR DiIIあたりになるでしょうか。

ただ、低い場所に咲いているサクラが運良く見つかればマクロも撮っておきたい。
マクロ撮影の比率が20%以上あるのなら、迷わず90mmマクロも持ち出しますが、数カット撮るために、わざわざマクロレンズを持ち出すのもなんだかな~と思います。
こうしたときに、エクステンションチューブは便利です。
何しろ、重量わずか66g。
90mmマクロが400g少々あるのに比べれば圧倒的な軽さです。
サイズ的にも小さいのでカメラバッグに転がしておけます。

おのれは400gのレンズも持てない虚弱体質なのか?などと言う輩は月のない夜は背後に気をつけた方が良いです。
私は、撮影時はできるだけ身軽でいたい、重いカメラバッグなど持ちたくない、というタイプの撮影者なんですね。
カメラに付けたレンズの他に携行レンズは常に1本だけ、というのが昔からの撮影スタイルです。
その2本の組合せは、10-22mm+28-75mm、17-50mm+90mmなど千変万化ですが、基本的に携行レンズは2本で済ませたいと考えており、やむを得ないときだけ3本以上のレンズを持ち出すという超面倒くさがりなのですね。
良い写真を撮るには手間を惜しんではいけない、必要とあれば三脚でも脚立でも持っていけ、と書く一方で、本人の実態は実にイイカゲンなのです。^^

とまれ、ここ一番グイッと寄りたいというときに、エクステンションチューブは心強いです。
いかなるレンズを持っていても必ず寄れる、というのはいいですね。
クローズアップレンズのように、フィルター径の違うものを何枚も持つ必要はないですし、交換作業も実に簡単です。
交換のたびにミラーボックスにホコリがはいるじゃないか、という神経質な人には向いていませんが、エクステンションチューブってのはけっこう使い物になるんです。

とはいえ、エクステンションチューブにも欠点はあります。
エクステンションチューブは、装着レンズの設計時に想定された最短撮影距離より短い距離で撮影を行うため、球面収差、像面湾曲など諸収差は増大すると思われます。
そうした収差を気にする場合は、素直にマクロレンズを使った方がよいと思います。
これらの収差は画像四隅で顕著に現れますが、画像中心部分だけならあまり分からないことが多いです。
F22~45まで絞って撮る微少部品のクローズアップ撮影などでは問題となっても、花などのマクロ撮影では、中心部さえ綺麗に結像していればあまり問題にならないような気がします。

また、エクステンションチューブには露出倍数の問題もあります。
一般に、レンズには近距離を撮るためにヘリコイドを繰り出していくと、次第に実効F値が暗くなっていくという性質があります。
全群繰り出しのレンズでは、撮影倍率1/2倍で2倍、等倍撮影で4倍の露出倍数がかかるといわれています。
つまり、近接撮影では露出補正が必要となるわけですが、現代のTTL露出計を備えた一眼レフであれば無問題です。
マクロレンズを使うときに、露出倍数を計算したことがある人は現代ではほとんどいないでしょう。
露出倍数を計算しなければならないのは、TTL露出計を持たない、4x5など大判カメラなどの場合です。

実際にどれぐらい拡大できるのか、見ていくことにしましょう。
一般に、エクステンションチューブは焦点距離が短いほど、つまり広角レンズほど倍率アップの度合いが大きく、望遠レンズでは小さくなります。
標準ズームの場合と望遠ズームのそれぞれTELE端で調べてみました。


タムロン17-50mm/F2.8でボケの花を撮ってみました。

ボケの花はサクラやウメとほぼ同サイズです。これを最短撮影距離の27cmから撮ったのがこの写真です。

タムロン17-50mm/F2.8は最大撮影倍率0.22倍とそれほどクローズアップが得意なレンズではありませんが、ノンアクセサリーでこの大きさまで撮れれば、一般的な用途ではあまり不満はないと思います。

エクステンションチューブEF12IIをかませて撮ってみました。実際には、もう一回りほど近接できますが、前玉前10mm程度とワーキングディスタンスが極端に小さくなり、照明が入らないので、このあたりで止めています。もちろん、フードを外さないとここまで寄れません。

倍率としては0.5倍ぐらいでしょうか、ハーフマクロ程度にはなっています。若干甘くなった印象ですが、被写界深度の浅さのためで、シャープネスは変わりません。周辺の収差も分かるほどには出ていません。

標準ズームで、いざとなればここまで寄れる、というのはありがたいです。ただし、被写界深度は極端に浅くなっているので、フォーカシングは非常に微妙になります。


望遠ズームのEF70-200mm/F4Lで最短距離の1.2mから撮ってみました。

このレンズ、70-200mmとしては寄れる方なのですが、もう一回り寄りたいと思うことはけっこうあります。そうしたときに、エクステンションチューブは有効です。

エクステンションチューブを挟んでみました。望遠レンズですから、拡大率はたいしたことはありませんが、250~300mmで撮ったぐらいにはなります。

気をつけて欲しいのは、エクステンションチューブでは最短撮影距離が短くなるだけで、焦点距離や画角が変わるわけではない、ということです。接近できない場所にある被写体に対してはまったく無力です。


エクステンションチューブを取り付けると、無限遠が出なくなり、レンズによっては1m先の被写体にもピントが来なくなったりします。
決して常時付けておけるアイテムではありません。
しかし、ここ一番、お手軽近接ブースターとして使うには非常に便利です。
マクロレンズを持っていても、利用価値はありますよ。
お値段も安いですし、おひとついかがですか?
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by xylocopal2 | 2008-03-21 19:09 | Hardware
2008年 02月 24日 ミニスタジオによるブツ撮り入門


現在のブツ撮りシステムです。
PCとディスプレイの間にライトボックス/ミニスタジオ/撮影ブースなどと呼ばれるものを置いています。
このライトボックス、LOAS DCA-070 というもので、3255円(税込送料込)でした。
"同等のもの"が1万円前後することを考えると恐ろしく安価です。
2年ほど使っていますが、安かろう悪かろうの印象はなく、使用頻度が高い割には壊れもせず、充分な機能を果たしています。
このミニスタジオ、普段は畳んで収納してあり、ブツ撮りの時だけ、この位置に設置しています。




上のセットで撮った作例です。
ブツ撮りの場合、レンズの焦点距離はできるだけ望遠側が良いです。
APS-Cデジタル一眼レフの場合、50mm以上、できれば100mmあたりがいいでしょう。
あまり広角側で撮ると、パースペクティブ(遠近感)が付きすぎて被写体の形が歪みます。

ブツ撮りの場合、いかに面光源を得るかがキーポイントになります。
金属部分が多い被写体に、ライトをディフューズせず、そのまま当てると、光源が点として写り込み、見た目が非常に悪くなります。
そのため、ライトの前にパラフィン紙を何枚か重ねて光を拡散するという方法が昔から行われてきました。
また、一方向から強い光を当てると影が強く出てしまい、あまり品の良い写真になりません。
一方、四方八方から光を当てると影が柔らかくなり、印象が格段に良くなります。
そのため、多灯照明による撮影が行われるのです。
この両方を一度に実現するための装置がライトボックス、ミニスタジオなどと呼ばれる商品です。
ライトボックスがあると光がよく回った写真が簡単に撮れますから、ブツ撮りの頻度が多い方は購入されることをお勧めします。

照明プランニングですが、うちの場合、キーライト(全体の明るさを決める基本的なライト)は、Zランプをトップライトで当てています。
Zライトの中身は、100W相当の3波長形昼光色"電球型蛍光灯"で、色温度は6500Kです。
うちの場合、照明用ライトはすべて色温度は6500Kで統一してあります。
6500Kというのは、かなり青く見える蛍光灯ですが、日陰の色温度と同じで、日中撮影で外光が漏れても青く写らないため非常に使いやすいです。
4000Kぐらいの白色蛍光灯でホワイトバランスをとると、外光が漏れた部分が青い反射として写るため非常に目障りです。
その点、6500Kの蛍光灯でホワイトバランスをとると、外光も白色に写るため違和感がありません。
また、ディスプレイの色温度も6500Kに合わせてあるので、ディスプレイに視点を移した際にも違和感がありません。


このライトボックス、前面がフルオープンのため、作業性は良いのですが、正面まで光が回らない欠点があります。"前面も白布で覆ったタイプのライトボックス"を使えばいいのですが、俯瞰方向が撮りにくいなど撮影アングルが限定され作業性が悪くなります。そのため、左のような補助ライトを使っています。

これは、フレキシブルアームに取り付けられたライトで、かなり自由に位置を変更できます。中には60W相当の電球型蛍光灯が入っています。色温度はもちろん6500Kです。

このサブライト、あくまでも前面の押さえとして当てるライトのため、あまり明るいと、せっかくのライトボックスで作った光を殺してしまいます。そこで、コピー紙、ティッシュなどをライトの前に張り、減光&ディフューズさせています。
基本的にはキーライト、サブライトで照明を作っていますが、部分的にシャドウを起こしたい場合は、白色ボール紙で作ったミニレフ板を使っています。

手前に敷いたレフは被写体の写り込み用です。このレフを入れることにより、2台のカメラのレンズが白く反射し、ガラスの存在を写すことができます。

左のレフはカメラ軍艦部の押さえ用です。一応ライトボックス側面から反射光を拾っていますが、もう少し強くしたいとき、こうしたミニレフを画角にぎりぎり入らない位置に置くと有効です。

なお、レンズフードは必須です。これだけ光源に近いと、ヤワなフードではフレアが出ます。
私がブツ撮りでよく使うのは、Tamron SP AF28-75mm/F2.8ですが、このレンズをAPS-Cのデジタル一眼レフで使う場合、付属フードでは長さが不足します。付属フードはフルサイズ用ですから、APS-Cの場合、どうしても余分な光が入り込みやすくなります。
特に縦位置ではフレアが出やすいため、汎用ラバーフードを使っています。
これでも危ない場合は黒ケント紙を画角ぎりぎりにかざしてハレ切りしています。

ホワイトバランスは被写体の位置に白紙を置き、これを撮影することで設定しています。ブツ撮りの場合、オートホワイトバランスより、こうしたワンショットホワイトバランスの方が色再現が良好です。

白紙は普通の白ボール紙です。厳密には測色的にニュートラルなものを使うべきだとは思いますが、今まで使ってきた経験からいえば、これで充分です。ただし、いかにも蛍光染料が入ったような眩しい白さの紙、黄変したような古い紙は使わない方がいいです。私はエプソンのプリンタ用紙に入っている白ボール紙を利用しています。写真プリント用紙そのものでもかまわないと思います。

カメラはUSBケーブルでPCと結び、撮影画像をPCのHDDに記録しています。左の写真の上側、DIGITALと記されたコネクターがUSBケーブルです。下のケーブルはリモートレリーズです。カメラに付属してきたUSBケーブルは1mほどの長さしかなく、取り回しが不便だったので、3mのものに換えています。

接続ソフトとして、カメラ(EOS30D)に付属してきた"EOS Utility"を使っていますが、撮影後すぐにPCのディスプレイで結果をみることができ、フォーカス、色、明るさなどの確認が迅速にでき非常に便利です。レフでシャドウを起こす場合にも、その微妙な加減がすぐに分かるので重宝です。カメラ背部の液晶ではなかなか分かりにくい結果が一発で分かります。
EOS Utilityが起動すると、デスクトップ上にこのようなダイアログボックスが現れ、撮影パラメータがカメラの液晶を見なくても分かります。現在は、マニュアル露出、ワンショットホワイトバランス、中央部重点平均測光、JPEG Large Fine、ISO100、F8、シャッタースピード0.3sec.、バッテリー満充電ですね。

これらのパラメータはカメラに触れることなく、PC上から変更することができます。左のスクリーンショットの場合はシャッタースピード変更モードです。下の←→の部分をクリックするとシャッタースピードが変わります。

この状態で、右下のカメラのアイコンをクリックすると撮影されます。リモートレリーズを持っていない場合でも、カメラに触れることなくレリーズできます。もちろん、カメラ側のレリーズボタンを押してもOKです。

ブツ撮り用雲台としては、3WAYタイプのものが使いやすいです。自由雲台の場合、水平出しがやりにくく苦労します。

左は私が使っている、マンフロット製ギア雲台"Manfrotto #410"です。同社のギア雲台の中では一番小さなものですが、ブツ撮り用雲台としては最高の使い心地です。

この雲台は三軸独立制御の3WAY雲台ですが、パン棒が無く、ノブを回して位置出しをするタイプのものです。ギアードヘッドの名前のとおり、三軸ともウォームギアで動かすようになっています。ノブを回してもソロリソロリとしか動かないため、非常に精密な位置合わせをすることができます。ノブ根本のツバ状の部分をひねればウォームギアがリリースされるため、一気に向きを変えることもできます。

ギア雲台というのは、原理上ロック機構がありません。手を離したところでロックがかかるようになっています。パン棒を締めていくうちに位置が微妙に変わるということがなく、ストレスなく位置決めできます。価格的には少々高いですが、ブツ撮り頻度の高い方にはお勧めの雲台です。
水準器とマグニファイヤーもあると便利です。
水準器はレベラーともいいますが、要するに水平出しを簡単にするための道具です。
マグニファイヤーはファインダー像を拡大して見るための接眼アクセサリです。

ブツ撮りの場合、私はAFを使いません。これぐらいの距離になると被写界深度が浅く、"コサイン誤差"が馬鹿になりません。そのため、フレーミングを決めてから、マット面でマニュアルフォーカシングをした方が確実だと思います。

マット面でのMFは、慣れてしまえばそれほど難しくないのですが、最初のうちはピントの山が分かりにくいかもしれません。そうしたときに、マグニファイヤーでファインダー像を拡大すると格段にフォーカシングしやすくなります。
私が使っているマグニファイヤーは、Nikon DG-2というものです。Canon EOS 30Dにニコン製マグニファイヤーが付くのか?と思われるでしょうが、まったく問題なく取り付けられます。その方法は、"Xylocopal's Photolog : ニコン製マグニファイヤーをキヤノンEOSで使う"に記してありますので参考にしてください。
もちろん、ライブビュー可能なカメラであれば、リモートライブビューを利用するのも良いと思います。

背景紙はA2判のクラフト用紙を使っています。A2判というのは、594mm×420mmですから、このライトボックスにぴったりなんですね。

これらの背景紙、東急ハンズで購入していますが、色やテクスチュアは様々なものがあり、1枚30円~100円と価格的にもリーズナブルです。写真道具店で背景紙を買うと2桁ぐらい価格が違うのでびっくりしますよ。

ここに書いた方法がベストなブツ撮りの方法だとは思っていません。
私はこうやっているよ、ということに過ぎません。
ライティングを含め、いろいろな方法があると思いますが、それぞれに工夫してみる参考になれば幸いです。
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by xylocopal2 | 2008-02-24 20:47 | Hardware
2008年 02月 20日 キヤノン製一眼レフ初号機 Canonflex


1959年に発売されたキヤノン製一眼レフ、"Canonflex"です。
ある方から譲り受け、現在私の手元にあります。
残念ながら、シャッターとミラーのリンケージが悪く、現状では写真が撮れるコンディションにありません。

このキャノンフレックス、キヤノン製一眼レフとしては最初の製品になります。
それまで、"Canon VI L"などレンジファインダーカメラを主力製品としていたキヤノンにとって初めての一眼レフであり、EOSシリーズをはじめ、すべてのキヤノン製一眼レフの御先祖様といえるカメラです。
それにもかかわらず、どうにもこうにも影の薄いカメラです。
報道用カメラとして一世を風靡した"Nikon F"と同期のカメラながら、まったくパッとしません。

Nikon FとCanonflex。
同じ1959年発売の一眼レフでありながら、どうしてこれほど扱いが違うのか。
Nikon Fが栄光の歴史を背負う一方で、Canonflexは歴史の闇の中に埋没しようとしています。
Nikon Fが1970年代まで製造が続けられ、通算生産台数86万台を数えたのに対し、Canonflexは発売後3ヶ月で製造中止となり、17000台が作られたにすぎません。

調べてみると、Canonflexは機構的に弱いカメラだったようです。
信頼性が重視される報道用カメラでは「頑丈であること」が最優先されるスペックでした。
いついかなる場所でも確実にシャッターが下りる、それがプロ用カメラです。
Nikon Fはその堅牢さゆえに成功し、Canonflexはそれだけの機械的頑丈さがなかったということでしょうね。

発売当時の新聞社写真部の評判を見ると、「Canonflexは弱い」「故障しやすい」という記述が目立ちます。
特にミラーが上がりっぱなしになり、降りてこないという故障は持病のようなもので、当初から頻発したようです。
私の手元にあるCanonflexもミラーが上がったままになることが非常に多いです。
レンジファインダーカメラでは充分経験を積んだキヤノンとはいえ、クイックリターンミラーなど一眼レフ独自の機構には泣かされたのだろうと思います。

今でこそ、一眼レフのキヤノンということになっていますが、当時キヤノンは一眼レフメーカーとしては後発もいいところでした。
Canonflexが発売された1959年5月、市場には、"TOPCON R""Miranda T""Asahi Pentax K"など8機種の一眼レフが先行販売されていました。
発売後3ヶ月で製造中止の憂き目にあったのは、後発ゆえの性急な開発があったのかなあと思います。
結局、Canonflexはプロ用分野ではNikon Fに水を空けられ、アマチュア用途ではPentaxに負け、さっぱり売れなかったようです。
「幻のカメラ」というほどではないにせよ、現在ではほとんど見かけないカメラとなってしまいました。

Canonflex 仕様一覧
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  フォーマット: 135判 24×36mm
  マウント: Canon Rマウント (外3爪バヨネット式/スピゴット式)
  シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン
  シャッタースピード: T/B, 1-1/1000sec.
  ファインダー: 着脱式ペンタプリズムアイレベル(スプリットプリズム)
  ファインダー倍率: 0.9×
  ファインダー視野率: 92%×94%
  露出計: 専用外付セレン光電池式
  測光レンジ: Low (EV4 - EV13)、High(EV10 - EV19) at ISO100
  シンクロ速度: FP、X(1/55sec.)
  外形寸法: 145×100×49mm
  重量: 750g
  発売年月: 1959年5月
  発売時価格: 59500円(R50mm/F1.8付)
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悲運の初号機、Canonflexですが、デザインは渋く重厚で、なかなか美しいと思います。
分厚い黒羊羹風塗装に覆われたペンタプリズム、そこに刻まれたブロック体の"CANON"ロゴ、現代から見てもグッドデザインです。
各部の工作精度、仕上げ精度も素晴らしいです。
戦後、わずか14年でこうした製品を送り出した日本の工業力はたいしたものだったのだな、と実感させられます。
工業技術の高さ以上に感じられるのは、熟練の職人技です。
非常に丁寧な仕上げで、Leica M3にも負けない作りの良さです。
これで、ちゃんと動けば言うことなしなのですが、悲しいかな、今のところ文鎮以外の用途を思いつきません。
写真を写せないカメラは悲しいです。




Canonflexの標準レンズ、SUPER-CANOMATIC R 50mm F1.8です。
SUPER-CANOMATICというのは、自動絞り機構のことで、これもレンジファインダーカメラにはなかった一眼レフ独自の機構です。
当時の販促用リーフレットを見ると、「高速動作の完全自動絞り」と誇らしげに記されています。
自動絞りはM42やエキザクタマウントのようにレリーズを押す力ではなく、レンズに内蔵されたバネの力によって瞬時に指定絞り値に絞られるようになっています。
このバネは、フィルム巻き上げ時にチャージされるようになっており、レンズマウントにはその伝達機構が装備されています。
絞り環は被写界深度確認用のためかダブルになっており、プリセット絞りとしても使えるようになっています。

光学系は、名レンズの誉れ高い"Serenar 50mm F1.8"を一眼レフのフランジバックに合わせて再設計したものといわれています。
セレナー50mm/F1.8は、ハロの少なさでズミクロン50mm/F2を凌駕し、圧倒的にヌケの良い描写で写真界を唸らせた名レンズです。
コンピュータなどない時代のことですから、何十人もの計算係がタイガー計算機をガラガラチーンと回し、営々と何ヶ月もかかって設計したのだと思います。

このレンズ、ボディに付いてきたものではありません。
当初付いてきたものは、絞りが激しく固着していたため、自動絞り動作の確認のため某所で入手した代替品です。
けっこう綺麗なレンズですが、たったの1500円。
人気がないとはいえ、Rマウントのレンズは安いです。
FDマウントのカメラであれば、プリセット絞りのレンズとして使えるはずなので、いつの日か、このレンズで写真を撮ってみたいと思います。




レンズマウントは、Canon Rマウントと呼ばれるブリーチロック式のものです。
ブリーチロック式とは、スピゴット式とも呼ばれますが、レンズ外周の締付リングでレンズを固定する方式のものです。
外爪がバヨネットマウントに見えますが、バヨネットとは異なり、レンズ本体は回りません。
Rマウントは、自動絞り機構などを変更しながら、FLマウント、FDマウント、New FDマウントへと進化していきました。
内径やフランジバックなど物理サイズはRマウントもFDマウントも同一ですが、自動絞り機構の互換性はないため、レンズとボディの種類によっては装着できるが使えない、という問題が発生します。
中には連動爪が干渉して、レンズやボディを傷つける組合せもあるようで、要注意です。


専用外付セレン光電池露出計です。
一眼レフなのに、TTLではなく外付セレン露出計というあたり、時代を感じさせます。一眼レフにTTL露出計が組み込まれるのは、4年後の"TOPCON RE Super"まで待たなければなりませんでした。

この露出計、簡単にスナップオンで付け外しができます。
上が取付前、下が取付後の様子です。

1959年に作られたこのセレン光電池、さすがに劣化しており、現在は信頼できる値を示しません。針が振れるだけマシといったところでしょうか。




専用露出計は、シャッタースピードダイヤルとギアで噛み合い連動するようになっています。
シャッタースピードダイヤルを1/125sec.にすると、露出計のダイヤルも1/125sec.を示します。
この時代、外付露出計でも、ライカメーターなどシャッタースピードダイヤルと連動できるものが流行っていたようです。

測光レンジは高低2段切換で、右側の円盤形ノブで切り替えます。
現在はオレンジ側、低照度モードです。
指針が示したオレンジ色のF値を読み取ります。
現在の照度は、1/125sec.のシャッタースピードでは、明らかにアンダーですね。
1/30sec.にしてもやっとこさ、F1.2~1.4ぐらいです。

ところで、このカメラ、軍艦部右側に巻き上げレバーが見あたりません。
どこにあるのか?というと、実はボトムカバーに巻き上げレバーが付いています。



底部のトリガー式巻き上げレバーです。
クランクは折り畳み可能となっています。
こうした底部巻き上げのカメラは、"Retina Reflex""Super Baldamatic I"など、1950年代にはけっこう多かったです。
キヤノンフレックスのトリガーレバーは軽い力で巻き上げられ、慣れれば速写も可能でした。
秒間3コマ可能、という記述も見受けられますが真偽のほどはよく分かりません。
しかしながら、ボトムトリガーレバーは三脚使用時に使いづらいということで、嫌うユーザは多かったようです。




ファインダーは交換式です。
ペンタプリズムアイレベルファインダーの他に、ウェストレベルファインダー、4倍マグニファイイングファインダーなどがあったそうです。
とはいえ、フォーカシングスクリーンは固定式で、システムカメラとして使うには中途半端な仕様といえました。
プリズムは50年前の製造にもかかわらず、固定にモルトなどを使っていないので腐蝕は皆無、若干黄色っぽいながら、今なおクリアな視界を保っています。




底部の巻き上げレバー以外は特に変わったところのないボディです。
シャッターは布幕横走りフォーカルプレーン。
50年近く前のカメラですが、シャッター幕はしっかりとしています。

しかし、速度はダメダメでした。
真面目に動いているような音を出しながら、満足に動作しません。
先幕と後幕のテンション調整をすればあるいは?とも思うのですが、こればっかりは開けてみないと分かりません。
良いカメラなのに、実に残念無念なことであります。
ボディ各部のカニメネジを見ていると、無性に開けたくなる衝動に駆られ、たいへん危険な状態です。^^


Canonflexはキヤノンが満を持して開発した一眼レフであったにもかかわらず、Nikon Fには到底敵うことができなかったカメラでした。
機構的な弱さの他、システム的な不備も敗因でした。
Nikon Fは、21mm~1000mmの交換レンズラインナップを持っていたのに対し、初期のCanonflexは、自動絞り対応レンズとしては、50mm/F1.8と100mm/F2があるだけ。
特に広角レンズがなかったことが決定的でした。
その他、フォーカシングスクリーン固定で用途に応じて交換できなかったこと、視野率100%ファインダーを持たなかったこと、ミラーアップ撮影ができなかったことなども不利な点でした。
同じく一眼レフとしては後発だったNikon Fに比べると、詰めがが甘かったと言わざるをえません。
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by xylocopal2 | 2008-02-20 16:35 | Hardware
2008年 02月 09日 Canon EF50mm F1.4 USM AF調整


"Canon EF50mm F1.4 USM"のAF調整をしました。
このレンズ、一応現行モデルですが、設計は古いレンズです。
発売されたのは15年前の1993年。
EFマウントレンズとしては第2世代ぐらいのレンズですが、描写傾向はMF時代の"New FD 50mm F1.4"にそっくりです。

私は、New FD 50mm F1.4を10年ぐらい使ったので、EF 50mm F1.4を初めて使ったときには大いに既視感がありました。
ボケの傾向、口径食の傾向、ハロの傾向、すべてが見たことがあるものでした。
両者のスペックは、外寸と重量以外は、6群7枚のエレメント構成、絞り枚数、最短撮影距離、最大撮影倍率など、すべて同じです。
おそらく、基本設計は1979年から変わっていないのでは?と思います。
絞り開放からカリカリにシャープという現代的な写りではなく、開放付近では収差が補正しきれずに残る、今となっては古典的な描写をするレンズだと思います。
そうしたEF50mm/F1.4USMの描写、私はけっこう好きなんですが。

このレンズ、APS-Cデジタル一眼レフで使うと、80mm相当の画角となるため、明るいポートレートレンズとして重宝します。
特に暗所で人間を撮る際には絶大な威力を発揮します。
開放はさすがにアマアマですが、F2あたりから実用になります。
F2の実写例は下にあります。

 Xylocopal's Photolog : 大野えり Jazz Vocal Live
  http://xylocopal2.exblog.jp/3928773/


EF50mm/F1.4 USMは、どちらかといえばソフトな描写が身上のレンズですから、80mmポートレートレンズとして使うのは理にかなった使い方だと思います。
135判85mmレンズの最短撮影距離は90cm前後のものが多いですが、このレンズは最短撮影距離45cmですから、80mm相当のレンズとしては近接できることになります。
つまり、猫を撮るには向いているということですね。
特に、室内で猫を撮るときは、開放F1.4の明るさはファインダーが見やすく、AF合焦率も上がり、非常に使いやすいです。
APS-Cデジタル一眼レフによる室内猫撮りには、F1.4~2.0あたりの50mmレンズが一番向いているんじゃないでしょうか。

ただ、こうした大口径レンズを近接状態で使うと色々問題も出てきます。
特に問題となるのは"球面収差"に起因する焦点移動です。
マクロレンズとして設計されていないレンズでは、近接時に球面収差が増大します。
球面収差が増えると、絞り変化による焦点移動が目立ってきます。
こうしたレンズでは、絞り開放でピントを合わせるのではなく、実絞りで合わせる必要があります。
常に絞り込んでフォーカシングを行えば、この問題は解決できますが、動き回る猫などを相手にする際にはなかなか面倒で現実的な方法ではありません。

この現象、AFレンズの場合、絞り開放ではジャストフォーカスなのに、絞っていくと後ピンになるという形で現れます。
"Canon EF50mm F1.2L USM"が発売されたとき、ネット上でこの問題をよく見かけました。
EF50mm/F1.4 USMも一応大口径レンズの仲間ですし、非球面レンズやフローティング機構を使ったレンズではないため、同様な現象が発生します。




上は、調整前のEF50mm/F1.4 USMの絞り開放で巻尺を斜めから撮影したもの。左は白枠で囲んだ中央部分の拡大です。設計の古い大口径レンズの絞り開放というのは、コントラストが低く眠い、大甘のボケボケ描写で、お世辞にも「絞り開放から問題なく使える」とはいえません。
撮影距離は50cmぐらい。最短撮影距離の45cmまであとわずかという距離からの撮影です。猫を撮るときには、これぐらい近接することが多いです。

この写真は、ワンショットAFで、30cm直下の目盛にAFロックして撮影しています。ボヤボヤ大ボケであっても、一応ピントはジャストです。絞り開放を常用するカメラマンにとっては、この個体は完璧なAF特性を持っていることになります。
同一条件で、F2.8に絞って撮った写真です。ピントの山は31cmあたりにあります。焦点移動ですね。

被写界深度は手前に浅く、奥に深い、ということになっていますが、AFロックした30.0cmはギリギリ被写界深度に入っているかどうか微妙で、はなはだ心もとありません。

私がこのレンズを使うのは、猫撮り近接撮影の場合が多く、よく使う絞り値は、F2.0、2.8、4.0あたりです。結果として後ピン写真を量産することになります。
近接時に絞ると後ピンになることは分かっていたので、今までは運用で回避していました。といっても、常に実絞りでフォーカシングしていたわけではありません。もっと低レベルな手段をとっていました。

それは、ピントがほしい部分より若干手前にAFロックする、という方法です。左の写真のように目にフォーカスがほしいときは、矢印の部分、白黒模様の境目付近にAFロックすると、ちょうど目にピントが来るわけです。でも、とっさの時には対応しきれないんです。よく忘れてしまうんですね。人間ってそんなものです。^^

仕方がないので、キヤノンQRセンターにこのレンズを持ち込み、AF調整をしてもらうことにしました。近接時、よく使うF2.8付近でジャストフォーカスになるよう頼みました。どうやら、こうしたリクエストは多いらしく、担当者はひどく手慣れた調子でAF調整を受け付けてくれました。

調整に要した期間は1週間。費用は保証期間内のため無料でした。購入日未記入&店舗印入りの保証書を持っているとこういうときに役立ちます。
調整完了後の試写写真です。F2.8まで絞っていますが、フォーカスロックをした30.0cmにピントが来ています。これでもやや後ピンですが、被写界深度に入るかどうかギリギリということはありません。被写界深度は手前に1/3、奥に2/3といいますから、おそらくこれでジャストフォーカスなのでしょう。

AF調整を自分の使い方に合わせたおかげで、ずいぶん使いやすくなりました。やはり、「運用で回避する」などという姑息な方法をとるより楽です。ピンボケ発生率は確実に減りました。もっと早く調整に出しておけば良かったと思います。

調整後、開放でピントが来なくなったとか、1m以遠のピントが怪しくなったとか、そういうことはありません。
近接時に、今までより若干フォーカスの山を手前に寄せただけですから。
万人向けの調整とはいえませんが、室内猫撮りをする方にとっては参考になるかもしれません。
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by xylocopal2 | 2008-02-09 11:20 | Hardware
2008年 01月 13日 猫撮りストロボにサンヨー・エネループ!




今日のお題はニッケル水素充電池、"三洋エネループ"についてです。
こういうネタが出てくるということは、「きしろは写真が撮れずスランプで困っているのだ」と考えていただいて差し支えありません。

私程度のものが「良い写真」を論じること自体おこがましいのですが、自分が納得できる写真なんてものは、1ヶ月に2~3枚撮れれば良しとしたもので、それ以外は惰性で撮っているような部分があります。
比較的ジャンルにとらわれず、いろいろ撮っているつもりでも、このPhotologを始めて足かけ5年、ほぼ毎日の更新ともなると、「いいな!」と思う被写体や光の加減、撮影地なんてのはある程度固定化してきます。
撮影後1~2ヶ月経ってから見直して、残しても良いかな?と判断した写真は、"Anthology of Xylocopal's Photolog"に上げていますが、結局似たような写真ばかりが並ぶことになってしまいます。

いったい自分は何をしておるのか?と思うのはこういうときです。
写欲減退しますよね。
いや、写真は撮りたいんです。
むしろ、意欲満々です。ハィ。
でも撮れない。
撮ったとしても、「いつもと一緒だよ~ん」ということになりそうでシャッターが押せない。
もとより撮ること自体が好きな方ですから、日々駄写真を量産するのも楽しいのですが、それでもやっぱり撮れない。
シャッター押す前に、こんなことを考えているようでは良い写真なんか撮れるわけがありません。

こうしたスランプを解消するには、人が撮った素晴らしい写真を見て感性的刺激を受けるのが一番です。
しかし、怠惰の虫が脳に居座っているときにはそれも億劫です。
こうしたとき、ハードウェアに逃避するアマチュア写真家は多いようです。
新しいカメラやレンズを入手しエヘラエヘラと喜ぶ、新発売機種のカタログを見てタラタラとヨダレを垂らす、旧発売カメラ店にでかけ中古カメラウィルスを拾ってニタラニタラする、よく写るカメラを分解し復元困難にしてサメザメと泣く‥‥etc.

人によって、色々なパターンがあるようですが、私の場合は上記に加え、ブログにハードウェアに関する記事を書くのもその解消法のひとつになっているようです。
そんなわけで、読みたくはないでしょうけど、「サンヨーのニッケル水素充電池エネループは素晴らしい、特に猫撮りストロボとの相性は抜群だ!」というエントリをこれから書きます。
あ、そこ、帰らないように。
お代は要りません。^^






これまでに使ってきたニッケル水素充電池です。
"Nikon Coolpix900""Nikon Coolpix950""OLYMPUS E-10"などといったデジカメで使ってきました。
ここに写っているもの以外に5~6組持ってました。
写真には3種類写っていますが、すべて手前のサンヨー製1600mAhのもののOEMです。
2700mAhが主流の現在からすれば、1600mAhはいかにも小容量ですが、1999年頃は最もパワフルなニッケル水素充電池でした。

ニッケル水素充電池は、何回も繰り返し充電して使える経済的で環境に優しい電池です。
昔からあるニッカド充電池に比べるとはるかにパワーがあり、材料にカドミウムを含まず環境への影響が少ないことから、1990年頃からデジカメ用充電池として一気に普及が進みました。
しかしながら、なかなか気むずかしい充電池でもあり、運用が難しいのが欠点でした。
つまり、
  1. 自然放電が多く、長期間放置すると過放電で死亡する
  2. 継ぎ足し充電をするとメモリー効果が発生し、使用可能容量が減る
  3. 低温環境下で性能低下が大きい
特に、1.と2.は一般ユーザにとって、致命的に使いこなしが面倒くさい点となっていました。
従来型ニッケル水素充電池の自然放電量は非常に多く、充電後1年で容量0%になるといわれ、半年後でも50~70%残っていれば良い方でした。
そのため、長期間放置してあった場合には、いざ使おうとしたときに、まったく電池として用をなさないということが多くありました。
こうした放電特性から、販売時には未充電で売られており、買ってきたらまずチャージしないと使えない電池でもありました。

ニッケル水素充電池の運用管理で一番面倒だったのが、メモリー効果対策です。
メモリー効果とは、ニッカド電池やニッケル水素電池などを、容量を使い切らない、パワーが充分残っている状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、放電電圧が低下し、結果として容量が減少したように見える現象のことです。


メモリー効果を防ぐためには、常にバッテリーを完全に使い切ってから充電をすればいいのですが、実際にはなかなかできる話ではありません。不本意ながらも継ぎ足し充電をしてしまい、容量低下を引き起こすことはしょっちゅうありました。"OLYMPUS E-10"あたりは非常に大食らいなデジカメで、バッテリー1セットで20分も撮れない、ということがよくあり、つくづく嫌になったものです。

そこで、中途半端に使い終わったニッケル水素充電池は、左のような放電器を使ってディスチャージしていました。これはミニ四駆用のものですが、放電に要する時間は長く、ほぼ一晩かかります。時間がかかる上、あまり充放電を繰り返すと電池そのものの寿命を縮めることにもなり、あまり使いやすいものではありませんでした。

従来型ニッケル水素充電池では、こうした運用管理が非常に面倒で、結果として何個も潰してしまいました。公称500回の充電回数を全うさせたものはほとんどなかったように思います。第一、そんなにバッテリーコンシャスになっていると、落ち着いて撮影することができません。写真を撮る、というよりバッテリーの番人になったような気分で、本末転倒状態となっていました。

そうした中、世の中のデジカメ用バッテリーは、よりコンパクトで、メモリー効果が少なく、継ぎ足し充電可能なリチウムイオン充電池が主流となりました。
2003年にリチウムイオンバッテリー駆動の"Canon EOS 10D"を入手したときは、そのバッテリー運用の簡単さに感動したものでした。
何しろ、継ぎ足し充電しても容量低下はまるで感じられない上、普段はバッテリーのことなど忘れていられるほど長持ちしますからね。
カメラ用バッテリーというものはこうでなければ、と思います。
そんなわけで、いつしか私はニッケル水素充電池のことなど忘れてしまいました。


私がニッケル水素充電池のことを思い出したのは、"猫撮りストロボ SUNPAK PZ42X"を使い始めてからです。
このストロボは、単三乾電池4本を使うのですが、チビ猫を撮っていると、あっという間に電池が消耗してしまいます。
20本700円ぐらいのインドネシア産乾電池を使っていても出費は馬鹿にならないし、際限なく不燃ゴミが出るというのもいやでした。

そこで、思いついたのがニッケル水素充電池です。
そもそもストロボにニッケル水素充電池は使えるのか?ということですが、これはまったく無問題です。
単三乾電池の電圧は1.5V、一方ニッケル水素充電池の電圧は1.2Vですが、この違いはストロボではほとんど問題になりません。
むしろ、問題となるのは放電特性の方なのですが、実はニッケル水素充電池の方がストロボ向きの放電特性を持っているのですね。
"気の迷い エネループvsパナループ放電電圧試験""放電電圧特性グラフ"を見るとよく分かります。

アルカリ乾電池やマンガン乾電池が1.5Vを保つのは使い始めのわずかな時間だけで、すぐに1.1~1.0Vまで電圧が落ちてしまうのに対し、ニッケル水素充電池はかなり長い間1.2Vを保ちます。
トータルで見ると、ニッケル水素電池の方がむしろ高電圧です。
ですから、日常的にストロボを頻繁に使う方は、アルカリ乾電池やマンガン乾電池より、ニッケル水素充電池を使った方が理にかなっているといえます。
サンパックPZ42Xの使用説明書にも、「チャージ間隔が短くなり、発光回数が増えるため、ニッケル水素充電池の利用をお勧めします」と書いてあります。


そんなわけで、SUNPAK PZ42Xを使い始めてすぐにニッケル水素充電池に切り替えるつもりだったのですが、手持ちの1600mAhのものはすべて過放電のため死んでいました。ニッケル水素充電池というものは、過放電には本当に弱いです。過放電状態に陥ると、電池のダメージは深刻で、以前の容量に戻らないばかりか再充電不可能となる場合もあります。1年も放置してあったニッケル水素充電池は過放電のため死んでいる、と考えてほぼ間違いないです。

そこで、新しいニッケル水素充電池を買うことにしたのですが、2700mAhの従来型ニッケル水素電池は避けました。あまりにも運用管理が面倒なことを身をもって知っていましたから。私が買ったのは、2000mAhと容量は少なめながらも、新世代ニッケル水素充電池として評判を集めていたサンヨー・エネループでした。

エネループ(eneloop)は、三洋電機が2005年11月に発売開始した新世代ニッケル水素充電池です。従来型ニッケル水素充電池の欠点をほぼ克服しており、運用管理面ではるかに使いやすくなったという点で画期的です。


エネループの特徴をまとめると下記のようになります。
  • 自然放電が少なく、1年後にも85%のパワーを維持する
  • そのため、充電状態で売られており、購入後すぐに使うことができる
  • メモリー効果が起こりにくく、継ぎ足し充電が可能
  • 従来型ニッケル水素充電池の2倍、1000回の充放電が可能
  • 低温環境下でも性能低下が少ない
  • 1.2Vのニッケル水素充電池なので、従来型ニッケル水素充電池と置換可能
  • コンビニなどでも売られており入手性が良好

エネループが発売されたとき、一番話題となったのは、「充電状態で販売される」という点でした。
反復使用可能な充電池でありながら、アルカリ乾電池のように「買ってすぐに使える」電池でもあったのです。
これは、買ったら問答無用でまずチャージ、という従来型ニッケル水素電池の常識を覆すものでした。

従来型ニッケル水素充電池は、自然放電が多く、充電した状態で販売することや、充電しておいて非常時の電源として用いることは現実的ではありませんでした。
エネループはこの点を改良し、自然放電を極力少なくすることに成功し、半年間放置しても90%、1年放置しても85%のパワー残存率を持っています。
この残存率、従来型では半年後が75%、1年後が0%となっています。
これは、いつ使うか分からない、という利用形態の場合は非常に嬉しい特性です。
気がついたら死んでいた、という悲しい目に遭うことが少なくなりますから。

メモリー効果が少ないという点は、運用管理を格段に簡単にしました。
継ぎ足し充電OKですから、パワーがなくなってきたら充電する、という使い方で大丈夫です。
携帯電話のリチウムイオンバッテリーと同じ使い方ができます。
従来型ニッケル水素充電池のように、本当は交換したいのだけどメモリー効果が恐くて交換できない、その結果、ギリギリまで使ってパワーダウンしてしまい、シャッターチャンスを逃がす、ということがなくなりました。
このことは、電池を使う上で、心理的にものすごく楽です。
リチウムイオンバッテリーしか使ったことがない方にとっては、何を当たり前のことを!と思われるかもしれませんが、従来型ニッケル水素充電池というのは、それぐらい気むずかしい面倒くさいバッテリーだったのです。

4ヶ月あまりエネループを使ってみた感想は、とにかく気楽に使える、ということにつきます。
2700mAhの従来型ニッケル水素充電池に比べると、2000mAhのエネループは絶対容量が少ないため、連続稼働時間は負けます。
しかし、このことより、継ぎ足し充電自由自在という利点の方が大きいです。
特に、家猫を撮るためのストロボ用バッテリーとしては利点の方が多いです。

猫という動物は、きわめて気まぐれですから、いつシャッターチャンスが巡ってくるか予測できません。
うちのノリマキさんの場合、突然立ち上がって"阿波踊り"を始めたりしますからね。
そのため、常にストロボを付けたカメラを手の届く場所に用意してあります。

こうした使い方をする場合、エネループはストロボ用バッテリーとして最適です。
アルカリ乾電池なら買い置きをしておく必要がありますし、従来型ニッケル水素充電池なら、メモリー効果を気にしながら使わなければなりませんが、エネループなら常に充電済みの予備をスタンバイさせておくことができますから。
全国の猫撮りストロボユーザのみなさん、まぁ、だまされたと思って使ってみてください。
きっと、アルカリ乾電池を使うのは止めようと感じることでしょう。
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by xylocopal2 | 2008-01-13 15:05 | Hardware
2008年 01月 04日 我が青春のアリフレックス16ST




西ドイツ製16mmムービーカメラ、Arriflex 16STです。
アマチュア用というよりは、ニュース、記録映画、短編映画などのプロ用カメラです。
映像プロダクションを営む義父から借り出してきました。
製造メーカーは"Arnold and Richter Cine Technik"
1952年に最初のモデルが作られました。
Xylocopal's Photolog 2005/10/25 "Arriflex IIc with Angenieux 25-250mm F3.5"で紹介した35mmフィルム用アリフレックスのスケールダウンモデルで、16mmムービーカメラの代名詞となるぐらい世界中で使われたカメラです。

このカメラ、とにかく頑丈で故障知らずがウリでした。
プロが使う道具というのは、まず故障しないことが最優先で重視されます。
描写性能、多機能性より信頼性の方が現場では大切なんですね。
いついかなる場所でも必ず回る、仕事で使うカメラはこうでなくては怖くて使えません。

商業写真の現場では話が違うかもしれませんが、ことムービーカメラとなると、信頼性重視の考え方は今なお主流だと思います。
映画撮影現場には多くの出演者やスタッフが働いていますから、カメラトラブルで撮影が中断すると、多くの人に迷惑をかけ、多額の人件費が無駄になります。
映画撮影の予算というのは、人件費の比重が非常に高い世界ですから、御機嫌をうかがいながら回すようなカメラでは話にならないのです。

16mmカメラは35mmムービーカメラほど多くのスタッフを必要としませんが、機動性がある分、極限的シーンで使われることが多いです。
アリフレックス16STは、辺境ロケで特に重用されました。
NHKの初代シルクロード(1980~1984)でも主力機材として使われたようです。


Arriflex 16STはアルミダイキャスト製のずっしり重いカメラですが、もともとは手持ち撮影用カメラとして開発されたようで、サイズ自体は大変コンパクトなカメラです。全体のサイズは中判スチールカメラの大きなものとそれほど変わりません。とはいえ、左の写真のように、長尺マガジンと蛇腹フードを付け、三脚に乗せると、いっぱし本編映画撮影用カメラのような雰囲気にもなります。

このカメラ、私にとっては思い出深いカメラです。1980年、大学卒業後に入社した映像制作会社の主力カメラがこれでした。会社には35mmムービーカメラやビデオカメラもありましたが、圧倒的にたくさんあったのがアリフレックスの16mmカメラでした。全部で10台程度のArriflex 16STがあったと記憶しています。当時は、ようやくTVニュース取材が16mmフィルムからビデオに切り替わりつつあった時代で、このカメラはまだまだTV局報道部などで盛んに使われていました。

個人的に思い出深いのは、PR映画、記録映画などの制作です。企業、官公庁の映像メディアが完全にビデオ化するのは1990年代のことで、1980年代は16mmフィルム制作がけっこうたくさんありました。「ダムのできるまで」、「下水処理場のできるまで」、「遺跡発掘調査」‥‥、こんな記録映画をアリフレックス16STで撮っていました。

その一方、「七宝焼」、「伊勢型紙」、「八丁味噌」など、地元の伝統産業紹介映画もよく作りました。私はこうした仕事が好きでした。
このカメラを見ていると、飛騨高山の民家の黒光りする囲炉裏端で、一位一刀彫りの紹介映画を作っていた若い頃の記憶が鮮やかによみがえります。

私は、脚本&演出担当のディレクターであり、カメラは回さないはずだったのですが、まったく回さなかったわけでもありません。
リハーサルがきかないイベント撮影などで、どうしても2台カメラがほしいとき、しかも、予算の都合でカメラマンをもう一人出すことはできないとき、そうしたとき、カメラ機材だけ余分に持って行き、現場で私がカメラを回すということがあったのです。

もちろん、重要なシーンではなく、会場のロング撮影などに限定されます。
フィルム装填やシャッター開角度調整など事前準備は担当カメラマンがやってくれます。
絞り値も事前に担当カメラマンから聞いておきます。
私がやることは、フレーミングを決めて、レリーズを押すだけ。
つまり、リモコンよりは少しマシ程度のカメラマンでした。
とはいえ、ディレクターとしては予算上撮れないはずのカットが撮れて嬉しいし、もとよりカメラは好きだったので、セカンドカメラは楽しくて仕方がありませんでした。


アリフレックス16STの外観を特徴づけるターレット式レンズです。ズームレンズが実用的でなかった時代、素早く焦点距離を変えて撮影するには、複数のレンズをターレットに取り付け、ガッチャンガッチャン回すこの方法が一般的でした。"装甲騎兵ボトムズのアレといえば分かる人もいるかもしれません。

アリフレックス16STマウントのレンズには西ドイツ・シュナイダー製やカール・ツァイス製のものがありました。このカメラは義父のものですが、レンズは3本とも西独Schneider Kreuznach製が付いています。その内訳は下記のとおり。

 Arriflex Cine Xenon 16mm/F2
 Arriflex Cine Xenon 25mm/F1.4
 Arriflex Cine Xenon 50mm/F2

広角から望遠まで、と書きたいところですが、実は標準から望遠までです。16mmカメラの標準レンズ画角(対角45度)というのは15mmぐらいなんですね。ですから、この3本のレンズの守備範囲は、135判スチールカメラ換算で50mm、75mm、150mmぐらいになります。

広角側がまるで足らないと思われるかもしれませんが、実際にはCarl Zeiss Distagon 8mm、10mmといったあたりが広角レンズとして使われていました。8mmなら24mm相当、10mmなら30mm相当ですから、たしかに広角レンズのパースペクティブを持っていました。

私の時代は、ターレット式レンズの時代は終わり、ズームレンズの時代になっていました。単焦点レンズとして使ったのは、上記広角レンズ8mm、10mmだけでした。ズームレンズはフランス製のアンジェニュー10倍ズームがアリフレックス16STの標準レンズでした。




P.Angenieux Paris Angenieux-Zoom Type 10-12B 12-120mm/F2.2です。
135判換算35-350mmぐらいになります。
いかに撮像面積の狭い16mmカメラといえど、この時代にズーム比10倍というのはたいしたものだったと思います。
アンジェニューのズームレンズはアリフレックスにとってはデフォルトともいうべきレンズで、仕事で一番使ったレンズは、ダントツでアンジェニューでした。
Carl Zeiss Distagonもときどき使いましたが、作品の90%はこのズームレンズで撮影していたような記憶があります。

そんなわけで、私にとって"Angenieux"という名前から連想するのはスチール写真用レンズではなく、映画用ズームレンズの方です。
このレンズ、鏡胴に彫り込まれた"P.Angenieux Paris"の文字が映画の国・フランスをしのばせ、なかなか良い雰囲気です。
アンジェニューの創設者にして設計者、ピエール・アンジェニューは、映画産業に貢献した功績多大ということから、1989年、アカデミー賞のゴードン・E・ソーヤー賞を受賞しています。
オスカーを受賞したレンズ設計者は、P.アンジェニューの他、イギリスのG・H・クークぐらいしか知りません。




横から見たアリフレックス16STです。
このカメラ、機構的には一眼レフであり、レンズから入った光は回転ミラーを通してフィルム面とファインダーに分光されるようになっています。
カメラが回っていない状態でファインダーを覗くと、少し黄ばんだ普通の一眼レフ同様の視野が広がりますが、回った状態で覗くと、まったく別世界が広がります。
どう違うのかというと、凄まじいフリッカーだらけの世界が広がるのです。

16mm映画は1秒に24コマがスタンダードなコマ数です。
そのため、1秒間に24回、回転ミラーが分光を行います。
その結果、ファインダー内では1秒に24回のフリッカーとなって見えるというわけです。
これ、ものすごく見づらいですよ。

日中屋外であれば、F11程度には絞っていますから、とにかく視野は真っ暗です。
その上にフリッカー、というわけで、慣れていないと何が写っているのかさえ分かりません。
もちろん、フォーカスなんてほとんど分かりません。
16mm映画は通常スクリーンに拡大投射して上映されますから、フォーカスはシビアです。
ムービーカメラマンってのはすごいものだな、と思うのはこういうときです。


カメラ左側、フィルム室開閉レバーの下に、シャッターレリーズボタンがあります。カメラをホールドしたときに、ちょうど左手人差し指が当たる位置にあり、人間光学的に使いやすいカメラです。このレリーズボタン、1回押せばロックがかかるようになっています。ロック解除は前方にあるレバーで行います。


フィルム室開閉レバーをひねると、フィルム室カバーが外れます。
このカバー、ファインダーと一体となっています。



フィルム室です。
16mmフィルム100feetが入るようになっています。
100feetというフィルム長は、一般的な24コマ/sec.で回した場合、166.7秒、つまり3分弱撮影できる長さです。
あまり長い時間とはいえず、どのタイミングでフィルムチェンジをするべきか悩むのは、銀塩時代のスチールカメラマンと同じです。
そのため、長尺マガジンが用意されており、長回しをする際には、あらかじめ400feetマガジンなどを装着して撮影しました。

フィルム装填は暗室装填が原則です。
16mmフィルムはカートリッジなどに入っているわけではなく、スプールに巻いてあるだけの剥き出し状態ですから、明るい場所で装填すると確実にカブります。
そのため、暗室がない場所でフィルムチェンジを行う際には"ダークバッグ"が必須になります。
カメラマンはダークバッグにカメラとフィルムと両手を入れ、まったく手探りだけで、フィルムゲートにフィルムを通します。
フィルムゲートにきちんとフィルムが入っていないと、カメラを回したときに噛んだりするので、熟練の技術が必要になります。
もちろん、私はようやりません。^^


Arriflex 16STの後ろ姿です。
カメラ右下には円筒状のフィルム駆動モーターが付いています。この円筒部分を回すと回転数が変わります。普通は24コマ/sec.ですが、スローモーションの場合は倍速、つまり48コマ/sec.で回したりします。

モーターは簡単に交換でき、メンテナンスなどの他、より精度の高いモーターや高回転数のモーターなどに変更することも可能です。電源は8~9Vの外部積層バッテリーを使います。

このカメラ、実はサイレントカメラではありません。モーターが回ると「ガラガラガラ‥‥」と猛烈な音を発します。音声収録を同時にしていると、必ずこの音が録音されてしまいます。

2002年、小泉総理訪朝のニュースの中で、久しぶりにこの音を聞きました。小泉総理と金正日が何か話し始めるたびにガラガラガラという音が聞こえたのです。その音を聞いたとき、「かの国では報道用ムービーカメラがまだ現役なんだなあ」と思いました。

そんなわけで、インタビューものやセリフのある映画の場合には、"Arriflex 16BL""Arriflex 16SR"などのサイレントカメラを使う必要がありました。

16mmムービーカメラでサウンド収録をするには大きく分けて2つの方法があります。ひとつは磁性体を塗布したフィルムを使い、直接サウンド収録する方法。これはニュース取材などのリバーサルフィルムでよく用いられた方法です。運用は簡単でしたが音質はあまりよくなく、何よりもフィルムを切って編集するとサウンドトラックも分断され、オリジナルサウンドテープが残らない欠点がありました。

もうひとつは、サウンドは1/4inch幅のオープンリールテープレコーダーで別途収録するという方法。
アリフレックスはこちらの方法です。
映像と音声を完全に分けて収録するため、音質に優れ、オリジナル収録テープが手元に残る利点があります。
予算やスケジュールに余裕があるドキュメンタリー映画やPR映画、劇映画ではこちらの方法が主流です。

映像と音声を別々に収録する方法では、その同期が問題となります。
リップシンクロがとれていないと、つまりセリフと唇の動きが同期していないと非常に不自然な映像になりますから。
そのため、収録時には"カチンコ"が使われました。
カメラとテープレコーダーが回ると同時にカチンコの拍子木部分をカチンと鳴らし、これをスタートマークにして、編集時に音声と映像の同期を取るのです。

カチンコを打つのは助監督の役目である場合が多いのですが、必ず1コマだけ拍子木が当たっている技術を要求されます。
もっさりカチンコを打つと、2~3コマにわたり拍子木が当たった絵が撮れてしまい、スタートマークの意味をなさなくなりますから。
正確に1コマ分のカチンコを打つ技術の習得が助監督としての最初の試練となります。

モーターの上のメーターはフィルムゲージ、つまり何フィート回ったかを示すメーターです。このメーター、カメラマン本人よりディレクターの方が見やすい位置に付いています。イベント取材などで、これから肝心なセレモニーがあるのに、残フィルム数が30feetぐらいになっているのを見つけると冷汗がたらたら出たりしたものです。

フィルムゲージの上の円形メーターはフィルム速度メーターです。
1秒あたりのコマ数を表示します。16mm映画の標準的なコマ数は24コマ/sec.ですから、"24"のところに赤線が引いてあります。ここが50コマ/sec.などになっているとスローモーション撮影になり、16コマ/sec.などになっていると、コマ落とし撮影(大昔の活動写真のようなせわしない動き)になります。スローモーションといっても、倍速程度ではあまりスローになった感じはしませんが。

モーター回転数は簡単に変えることができるため、移動中などに勝手に変わることも多かったです。そのため、いちいち露出計で測らないカメラマンでも、このメーターだけは頻繁にチェックしていました。


Arriflex 16STは、私が20~30代を共に過ごしたカメラです。
直接操作する機会はほとんどなかったものの、仕事でロケに行くときは、いつもそばにありました。
春の安曇野、夏の伊勢志摩の離島、秋の信州秘湯、冬の南アルプス‥‥、
重機うごめく地下トンネルの底、建設中の原子力発電所の炉心、寒風吹きすさぶ空撮ヘリのシート‥‥、
ロケの際には、いつもアリフレックスがありました。
このカメラを担いで、山登り、峠越えをしたことも何回もあります。

そうした中で思ったのは、つくづく丈夫なカメラだな、ということに尽きます。
私の経験上、現場でトラブルに遭遇したことは皆無です。
いつも必ず回ってくれました。
ディレクターとして、これほど心強いカメラはありませんでした。

アリフレックス16ST‥‥、
私にとって、一番心に残るムービーカメラです。




[蛇足]
こうしたエントリを書くと、「きしろは元プロ写真家だったのか?」と誤解される人がときどきいますが、全然そんなことはありません。
私の本職は、演出/ディレクターと呼ばれるジャンルで、脚本を書いたり、現場でディレクションをしたり、映像を編集したりすることでした。
画角や撮影ポジションを指示することはあっても、断じてカメラマンなどではありませんでした。
ムービーカメラマンというのは1秒間24回のフリッカーの嵐の中で確実にフォーカスを合わせ、露出を決め、シャッターチャンスをものにする大変な職業だと思います。

加えて、時間軸が存在する映像作品と、一瞬を記録に残す写真では、同じ光学的記録であっても質的にかなり違いがあります。
映像作品では、複数のカットを編集することが必須で、どのような順番でカットを繋ぐか?が表現上の要であるのに対し、スチール写真は1枚だけでも存在しえます。
組写真という表現方法もありますが、映像作品の絶対的時間軸とは少し違います。
組写真がランダムアクセスメディアだとすれば、時間軸を強制できる映像作品はシークェンシャルアクセスのメディアです。

さらに、映像作品の多くは、サウンド(音楽、ナレーション、セリフ)が付随し、それらを効果的に使うことで、映像の力をさらに強化することが可能です。
それに対し、スチール写真はあくまでも平面画像だけの勝負です。
どっぷり映像の世界に浸っていた私にとって、スチール写真の世界はまったく別世界といってもよいものです。

このPhotologにUPしているような写真と、仕事で撮っていた映像作品とでは、内容的な質も根本的に異なります。
仕事で撮っていた映像は、ほとんどが「誰かに何かを説明し納得してもらうためのもの」であって、分かりやすいことが最優先条件でした。
「説明のための写真」と「表現のための写真」とでは丸っきりベクトルが違います。
お金をもらうための仕事では、散文的な映像にならざるをえない場合が多いですが、給料やギャラが関係ないパーソナルな写真であれば、何をどのように撮ろうと自由です。
ですから、こうした写真の世界において、私はあくまでもズブシロ、アマチュアなのです。
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by xylocopal2 | 2008-01-04 14:47 | Hardware
2007年 12月 20日 究極のLPFクリーニング綿棒 1本10円!


大掃除シーズン到来ですね。
デジタル一眼レフユーザの皆さん、LPFの掃除はどうしていますか?
LPFというのは今さら言うまでもなく、ローパスフィルター(Low Pass Filter)の略で、CCDやCMOSなどイメージセンサーの前に付いているフィルターのことです。
ここにゴミが付くと、撮影画像に黒いシミとして写り込むのでやっかいです。

上の写真は晴天順光の青空を撮ったものですが、F32と絞りまくった上、あり得ないほどコントラストを高めているので、何だか凄まじいことになっています。
LPFのゴミは、絞れば絞るほどシャープな点像を結ぶのですね。
普通の状態でここまでゴミが目立つことはまずないと思いますが、レンズ交換の際や、ズームレンズの伸縮の際などにミラーボックスにゴミが入ることは、デジタル一眼レフの構造上避けることができません。
新品の場合は、シャッターやミラーなど可動部品から出るメカニカルダストも無視できません。

LPFのゴミが目立ち始めたら、掃除をするしか解決方法がありません。
ゴミ取り機能の付いたデジタル一眼レフもありますが、オリンパスの製品を除き、あまり確実な効果はないようです。
では、いかにして、LPFの掃除をするか?
一番安心確実な方法は、メーカーのサービスセンターに持ち込み、その道のプロに掃除してもらうことです。
最近は即日清掃可能らしいですし、キヤノンの場合は無料ですから、これが最良の方法であることは明らかです。

しかし、世の中には、わざわざサービスセンターまで持ち込むのが面倒くさい、思い立ったらすぐ掃除をしたい、エ~イ!面倒だ!自分でやってしまえ!というイラチな人がいるのも事実です。
"イラチ"とは上方の言葉で、気が短く待つことができない人のことをさします。
かくいう私もイラチの一人。
Canon名古屋QRセンターまで地下鉄で10分かからない距離に住んでいながら、先代のEOS10Dの頃から、自前クリーニングばかりです。
現在使っているEOS30Dの場合、1回もサービスセンターに持ち込んだことがありません。
そんなわけで、これまでにも何回かLPFクリーニングに関するエントリを書いてきました。

 "Xylocopal's Photolog 2005/10/20 LPF湿式クリーニング完了"
  http://xylocopal2.exblog.jp/2922171/

 "Xylocopal's Photolog 2006/04/24 EOS30Dイメージセンサーのゴミ掃除"
  http://xylocopal2.exblog.jp/3824641/

 "Xylocopal's Photolog 2007/06/05 イメージセンサー 自前クリーニング 番外編"
  http://xylocopal2.exblog.jp/6246494/



今回も、LPFが上の写真のようになってきたので、掃除をすることにしました。使った道具は左のとおり。ほとんどが、近所のドラッグストアで調達したものばかりです。

右奥は無水エタノールを小出しするためのハンドラップ。有機溶剤などを定量抽出するための道具です。あれば便利というだけで、なくてもかまいません。小皿などで代用できます。

左奥は無水エタノール。ドラッグストアで売られているアルコールの中では最も純度が高く、エタノール含有度99.5%以上、水分をほとんど含まないため速乾性が高いのが特徴です。500mlで1000円ほどしますが、LPF清掃にはこれが一番向いています。

無水エタノールより少し安い、ただのエタノールというものもありますが、エタノール含有度は95%と純度がやや低いです。もっと安い消毒用エタノールというものもありますが、純度は80%前後で、蒸留水で希釈されています。そのため、乾燥しにくく、揮発痕が残りやすいのでLPF清掃には不向きです。さらに安い燃料用アルコールというものもありますが、これは論外でしょう。

手前に並べたのが今回の秘密兵器、特大医療用綿棒です。
20本入りで207円でしたから、1本あたりの単価は約10円。非常に安価です。
これによく似たものが、"HCL(堀内カラー)"から、"ローパスフィルター用デジタル綿棒"として売られています。
かねてより使ってみたかったのですが、20本入り1000円前後と、なかなか高価で買えずにいました。
こんなもの、絶対にそんな値段じゃないよな、もっと安いはずだ、と思うと買えないんですね。
根がケチなもので。^^
この手のもののハシリとして、"センサースワブ"というものがありますが、お値段、何と12本入り8190円!
いくら米国製といえど、もう法外暴利としか言いようがありません。




そんなおり、近所のドラッグストア"スギヤマ薬局"で見つけたのがこの医療用特大綿棒です。
"川本産業株式会社"の"医療用綿棒(紙軸)Lサイズ20本入り"というもので、全長15cmほど、先端に直径8mmほどの綿球が付いています。
風邪を引いたときなど、ヨーチンを付けて喉の奥に塗るなどのために使うものと思われます。
センサークリーニングに使うにはコットンオイルが脱脂されている必要がありますが、脱脂綿というぐらいですから、未脱脂ということはないと思われます。
一応、医療用と記されていますが、あくまでも一般家庭用であって、医療施設専用ではなさそうです。
医療施設専用であれば、"もっと巨大な綿棒"があるようですが、実物を見ていないので、LPFクリーニングに使えるかどうかは不明です。
あまりフワフワなものだと、毛羽立ちが多すぎてセンサークリーニングには不向きです。

この綿棒、見た目の印象は、HCLのものと変わりがなさそうです。
お値段は前述のとおり、20本入り207円。
安いです。極めてリーズナブルです。^^
"楽天市場"も同じ価格で売られていました。


普通の綿棒とサイズを比べてみました。かなり大きいことが分かります。これなら、拭きムラを最小限にして、一気にLPFを拭けそうです。

綿球はかなり固く締まっており、毛羽立ちが少なく、余分な繊維屑が出にくいように見受けられます。"LPF自前クリーニング 綿球編"で、もっと固く締まった綿球があればいいのに、と書きましたが、これこそは理想の綿球に近いです。


実際に使うには、少々固く締まりすぎており、LPFを傷つけそうなため、指先でモニュモニュと揉みほぐして使いました。素手で揉むと皮脂が付くため、レンズクリーニングペーパーを介して揉みほぐしたのは言うまでもありません。毛羽立ちの少なそうな素材であれば何でも綿球を揉むのに使えると思います。

使い心地はなかなか快適です。
よく揉んでおけば、隅の方にも綿球が入ります。
今まで使ったことがあるクリーナーの中では最高の操作感です。
丸箸にシルボン紙/クリーニングペーパーの場合、隔靴掻痒の感が免れませんが、これは痒いところに手が届くダイレクトな操作感があります。
究極のLPFクリーニング用綿棒といってもいいのではないでしょうか。

作業自体はあっけないです。
APS-C程度のイメージセンサーサイズであれば、3回も横に動かせば掃除完了です。
念入りにゴシゴシ拭いても好結果が得られないどころか、むしろ悪影響の方が多いですから、できるだけアッサリ淡泊に拭くのがコツです。
何回も拭く場合は、安いものですから、どんどん交換していきましょう。
1回拭いたら面を変える、2度拭きはしない、ということですね。
普通、1~2回拭けばOKになるはずです。
この医療用特大綿棒+無水エタノールで拭いたLPFで撮った結果が下の画像です。




左下の方に2つばかり拭き残しが見えますが、これぐらいは許容範囲です。
これを深く追求すると無限ループに陥ることが多く非常に危険です。
ゴミを取ろうとして逆にゴミが付く、拭きムラが増える、いつまでたっても綺麗にならない、拭きすぎてLPFにキズを付けてしまう、などろくな結果になりません。
経験者が言うのだから本当ですよ。^^

LPFクリーニングのコツは、「深追いしない」、「無欲無我の境地で臨む」、「細心にしてアッサリと」です。
F32まで絞ってこれぐらいしか写らないのであれば、F11あたりならほぼゴミなしであろう、横位置にしても縦位置にしても空が写り込む位置ではない、などと自分を納得させることが肝要です。
実際、この程度であれば99%影響なしですし、もし写り込んだとしても単純なドットですから、Photoshopのコピースタンプツールで簡単に修復可能です。
とにかく、「LPF清掃は諦めが肝心」ということに尽きます。


目立つ位置に1点だけ拭き残しを見つけた場合は、先細綿棒が便利です。これは普通サイズの綿棒ですが先端が尖っています。HCL扱いのものがカメラ量販店などで売られています。

先細綿棒の先端に、ごく少量の無水エタノールを付け、LPF上のゴミを狙いすまし、軽く接触させてすくい取ります。普通の綿棒では接触面積が大きいため、揮発痕が残り、堂々めぐりに陥りやすいのですが、先細綿棒ではほとんど揮発痕が残りません。

そんな小さなゴミが見えるのか?と思われるでしょうが、けっこう目視でも分かります。老眼&近視の私でも見えるのだから、まぁ、誰でも見えるのではないでしょうか。
ただし、レンズを通った光は、イメージセンサーには左右反転倒立画像として写ることに注意してください。
撮影画像の左下にあるゴミは、LPFの右上にあるわけです。


[まとめ]
今回行った自前LPFクリーニングの方法をまとめると、以下のようになります。
  1. 事前準備(無塵操作の徹底)
    作業台のまわりを固く絞った雑巾などで拭く。
    ホコリが出そうなものを遠ざける。風呂場で作業を行うのもOK。
    手を石鹸でよく洗う。

  2. 比較用に掃除前の画像を撮っておく
    被写体は晴天青空、一面の曇天、白紙など無地のもの。
    絞りはできるだけ絞っておく。F22~32あたりが望ましい。
    ISO感度は何でもOK。極端にいえば手ブレ写真でもOK。
    フォーカスはできるだけピンボケ状態にしておく。空の場合は最短撮影距離に設定。
    AFを切って、MFでぼかした方が簡単。
    望遠レンズなど狭画角レンズの方が無地被写体を得やすい。
    私はF32まで絞れるタムロン90mm F2.8 Macroを愛用。

  3. 清掃実施
    1. 完充電したバッテリーをカメラに入れる。

    2. イメージセンサー清掃モードにし、ミラーアップする。

    3. 特大綿棒に無水エタノールを少量付ける。
      揮発痕が残る恐れがあるので、無水エタノールを付けすぎないように注意。
      綿棒の動かし方などについては本文参照のこと。

    4. 細心丁寧にイメージセンサーを掃除する。
      ねちこく掃除しても良いことは何もないから、できるだけアッサリ淡泊に行うことが肝要。
      手早く行った方がいいに決まっているが、慌てず慎重に行うこと。
      綿棒は絶対に往復させてはならず、必ず一方向に動かすこと。

  4. 清掃後の写真を撮る。
    カメラにレンズを付け、事前撮影と同一条件で撮影。
    必ず、F22~F32程度に絞ること。
    目立つゴミがなければ、メデタシメデタシでおしまい。
    目立つゴミ、拭きムラなどが見つかれば、3.[清掃実施]に戻る。



[お約束]

自分もやってみようという方、くれぐれも自己責任でお願いします。
ヘタをすると、ゴミが増えたり、拭きムラが出たりします。
拭きムラはしっかり写ります。
私はクラシックカメラのレンズ拭きで修行を積みましたが、レンズを拭いたことがない方は、あらかじめ、ジャンクレンズやフィルターなどで練習した方が安全です。

クラシックカメラには、左の写真のように、拭きキズが付いたレンズが本当に多かったです。
グルグルと同心円状に見えるものが拭きキズです。
綺麗にするつもりが、逆にキズを付けてしまうのですね。
ホコリが多い環境でレンズ掃除をすると、クリーニング液にホコリが混じり、一発で拭きキズが付くようです。
慣れない方が、いきなり、イメージセンサーを掃除すると、拭きキズを付けるかもしれません。
くれぐれも慎重にお考えください。


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by xylocopal2 | 2007-12-20 19:37 | Hardware
2007年 09月 18日 猫撮りストロボ SUNPAK PZ42X




先月購入したTTLオートストロボ、SUNPAK PZ42X"です。
写真では、銀塩一眼レフ・EOS100QDに付けてありますが、もっぱらデジタル一眼レフ・EOS30Dで使っています。
"サンパック"というのは、サードパーティストロボベンダーとしては古参のひとつです。
私の高校時代、1970年代初頭から、実質主義ユーザの中では人気がありました。
同社の製品はコストパフォーマンス抜群なものが多く、私もストロボといえばサンパックばかり使ってきました。
サンパックの「安い」という伝統は現代にも受け継がれているようで、このPZ42Xも同クラスのTTLオートストロボの中ではかなり安いです。
2007年9月現在、15000円あたりが実売価格のようで、メーカー製純正ストロボに比べると競争力は非常に高いです。




Canon EOS 30D / Tamron SP AF28-75mm F2.8 XR Di / SUNPAK PZ42X
ISO200, Manual, F4.0, 1/250sec., WB:4500K


このストロボを買った理由は、7月末にうちにやってきたチビ猫を撮るためです。
猫撮り用に、"National PE-320S"という外部調光式オートストロボを持っていたのですが、何しろ製造後30年近くが経過したポンコツで、コンデンサーが完全に抜けていました。
チャージに30秒ほどかかるため、1回発光させると次発光までかなり待たされ、シャッターチャンスを逃すこともしばしばありました。
仕方がないので、SUNPAK PZ42Xを買ってきたわけです。
子猫はすぐに大きくなってしまいますからね。^^

SUNPAK PZ42X、その他の作例
 "Xylocopal's Photolog 2007/08/31 秋色ノリマキ"
  http://xylocopal2.exblog.jp/6844480/

 "Xylocopal's Photolog 2007/09/20 阿波踊り猫"
  http://xylocopal2.exblog.jp/7006029/

 "Xylocopal's Photolog 2007/10/30 箱入り猫"
  http://xylocopal2.exblog.jp/7288742/


1ヶ月ほど使ってみた印象は、「安いわりには使い物になる」でした。
あいかわらず、「安い」「早い」「美味い」という吉野家的サンパックの伝統は生きています。
TTLオートストロボを使うのは初めてだったのですが、外部調光式オートストロボと変わらない手軽さで使えますし、調光精度も優秀で、露出を外して失敗写真になったことはまずありません。
デフォルトでは、ややアンダー気味に調光されますから、ダイナミックレンジの狭いデジタルカメラでも安心して使えます。
ガイドナンバー42という出力も、日本家屋程度の天井高であれば、何とか使える範囲内です。
多灯調光などせず、シンプルに猫撮りストロボとして使う分には充分合格だと思います。

GN42ストロボとしては小型軽量なところも良いです。
300g以上の製品が多い中、PZ42Xは260gしかありません。
小型軽量大光量というのはサンパックの伝統です。
同社には、auto25SRというコンパクトサイズ大光量ストロボがあり、1980年代には人権侵害ストロボとして報道カメラマン御用達のベストセラーとなっていました。
欲を言えば、高速シャッター用のFP発光ができれば、ということになるのですが、さすがにこの価格ではちょっと無理のようです。





Canon EOS 30D / Tamron SP AF28-75mm F2.8 XR Di / SUNPAK PZ42X
ISO200, Manual, F4.0, 1/250sec., WB:4500K


ところで、室内で猫を撮るのはなかなか大変です。
あまり明るくない上、猫はじっとしていてくれませんから。
アヴェイラブルライト(その場にある明かり=環境光)の中、ISO感度を上げ、開放F値の明るい単焦点レンズで、絞りを開いて撮る、というのもひとつの方法です。
しかし、被写界深度が浅く、なかなかフォーカスが合わなかったりします。
どう頑張ってもシャッター速度は上がらず、手ブレ&被写体ブレオンパレードになったりします。

かといって、窓際の日当たりの良い場所で撮ると、猫の瞳が針のように細くなり、鋭い表情で写ってしまいます。
その点、バウンス光なら瞬間光なので「猫のつぶらな瞳」を丸いまま写し取ることができます。
楽をしながら、もっとも結果が良いのは、「オートストロボをバウンス光で使う方法」だと思います。

バウンス光というのは平たくいえば間接光です。
ストロボの光を天井や壁に当てて、その反射光で撮るのがバウンス撮影です。
光が部屋全体に柔らかく回るので見た目に近い自然な感じで写るのが特徴です。

一方、カメラ内蔵ストロボは直接光です。
発光部から被写体にまともに光が当たるため、強い陰影ができ、報道写真や証明写真のようになることが多く、あまり情緒のある結果が得られません。
かわいい猫なのに怖く写ってしまう、という原因の大半はカメラ内蔵ストロボにあります。


カメラ内蔵ストロボで撮った典型例です。
なんだか怖いですね。^^
被写体には光が当たっていますが、背景は真っ暗です。
生きた猫の場合は、目の奥に反射層があるため、緑や青に光ってしまうことも多いです。"典型的失敗例"

何より、ストロボ直射光ですから、猫の眼に優しくありません。何回もこれをやると、カメラを見るたびに猫が逃げ出すようになるので御注意ください。
一方こちらは同一条件で、バウンス光で撮った結果です。
上に比べ、はるかに自然で、見た目に近い結果になります。



いかにしてバウンス光、つまり拡散光を得るか?ですが、普通はストロボの光を天井に照射することが多いです。一般に「天井バウンス」、「天バン」と呼ばれる方法で、左の写真のように、ストロボ発光部を真上に向けて、天井めがけて光を照射します。壁やタペストリーなどに当ててもいいのですが、天井バウンスの方がはるかに簡単です。

天井バウンスの考え方は、「天井に瞬間的な巨大電球を作る」ということです。
1/1000sec.~1/10000sec.ほどのごく短い瞬間に、非常に明るい照明器具を天井に設置する、と考えてください。既設の蛍光灯や白熱灯照明と同じ位置に光源ができるため、見た目が今までと同じ、つまり不自然になりません。

それに対して壁バウンスは、壁に「瞬間的巨大電球」を作ることになるため、陰影の予測が難しく、不自然になることがときどきあります。これを避けるため、大型ストロボやスタジオ用ストロボには"モデリングライト"と呼ばれる陰影確認専用の小光量光源が付いていることが多いです。クリップオンストロボでも高級品の中にはモデリングライト機能を持ったものがあります。このPZ42Xは価格が価格なので、もちろん付いていませんが。

一般にストロボ撮影の際のレンズフードは御法度ですが、バウンス光の場合はあってもかまいません。むしろ付けた方がよいでしょう。光源ははるか上方になりますから、フードでストロボ光が蹴られることもありませんし、余分な光はカットした方がいいです。
縦位置フレームの場合は、左のように発光部を回転させ、天井を向くようにするだけでOKです。この方向にヘッドが回らないストロボでは縦位置バウンス撮影ができません。廉価版オートストロボの中には、発光部の上下首振りだけで左右首振りができないものがありますから、購入の際には注意してください。

バウンス光による撮影では、蛍光灯照明、白熱灯照明などの環境光によるホワイトバランスの影響はほとんどありませんが、反射させる天井や壁の色は非常に影響します。赤っぽい色の天井であれば暖かい色味が付きますし、青っぽい色の天井であれば寒々とした色味に写ります。また、明るい色の天井であれば効果が大きくなり、黒っぽい天井であれば効果が少なくなります。



先に「SUNPAK PZ42Xは安い割にはそこそこ使える」と書きました。
たしかに、アクセサリーシューに取り付けて、発光部を真上に向けて撮れば、フルオートモードであろうが、絞り優先AEモードであろうが、一応のバウンス撮影が簡単にできます。
しかし、デジタル一眼レフ初心者が使いこなすにはなかなか敷居が高いです。
その理由は、取説があまり初心者向けではないからです。^^

取説自体はそこそこの分厚さがあるのですが、これは8ヶ国語対応のためで、各国語あてには7~8ページほどの分量しか説明が記されていません。
その説明も機能紹介がほとんどで、どのような設定にしたら、うまく撮れるかが書かれていないのです。
外部調光式オートストロボの経験者を前提としたマニュアルですね、これは。

普段、絞り優先AEやシャッタースピード優先AEで撮影している中級者の方でも、クリップオンオートストロボを初めて使う方にとっては、どのモードでどのような設定で撮るのがベターなのかは、このマニュアルだけでは雲をつかむような感触かと思います。
そこで、以下に、一番シンプル確実な使い方を書いておくことにします。
これは、窓際逆光デイライトシンクロなどの高級ワザではなく、家の中にいる猫を自然に撮るためだけの簡単設定です。
とはいえ、ある程度外光が入っている場所でも使える応用範囲の広い方法です。



SUNPAK PZ42Xの一番簡単な使い方

カメラを、Canon EOS 30Dと仮定した場合、まず以下のような設定にします。

---------------------------------------------------
カメラ側設定
 モード:マニュアル
 感度:ISO400
 ホワイトバランス:5200K(色温度直接指定) or 太陽光 ※部屋の色に合わせること
 絞り:F2.8
 シャッタースピード:1/250sec. (Kiss X2などでは1/200sec.)

ストロボ側設定
 焦点距離表示モード:DIGITAL 
 調光モード:TTL
 ズームモード:マニュアル16mm
 EV+/EV-:必要に応じて
---------------------------------------------------

カメラの動作モードはマニュアルにします。
フルオート、プログラムAE、シャッター速度優先AE、絞り優先AEなどは使いません。
「一番簡単な使い方」と書きながら、AEを使わないなんて、お前は馬鹿じゃないのか?と思われるかもしれません。しかし、調光はカメラかストロボかどちらか一方にまかせた方がコントロールが簡単なんです。それに、マニュアルは外部調光式オートストロボでは一番当たり前のモードです。外光式オートストロボ経験者であれば違和感がないと思います。

これは、露出をストロボまかせにして、カメラ側では一切の調光を行わないモードです。
カメラはレリーズボタンが押されたら、問答無用でF2.8に絞り、1/250sec.でシャッターを切ります。同時にストロボは発光を開始し、カメラから「今これぐらいの明るさだよ」という情報をもらいます。充分な光量に達したとストロボが判断すれば、発光を停止します。すべての判断はストロボ任せです。カメラは測光情報をストロボに送りますが、自分からは露出を制御しません。ストロボのチャージが間に合わなかった場合には、当然ながら真っ暗の写真が写ります。室内でストロボ光なし、ISO400、F2.8、1/250sec.で撮るのは暗すぎますから。

調光はストロボ側で管理しますから、操作は非常にシンプルになります。
調光補正、つまり露出補正はすべてストロボ側で行い、カメラ側で補正する必要はありません。
撮影結果が暗かったらストロボ側補正ボタンをプラスします。
撮影結果がオーバー気味だったらストロボ側補正ボタンをマイナスにします。
カメラ側の露出補正ボタンや調光補正ボタンを操作する必要がなく、ストロボ側操作だけで調光が完結するため、ストロボ初心者の方にも理解しやすい方法だと思います。

ISO感度設定は、ぶっちゃけ何でもいいです。
こう書くと、お前はまた嘘ばかり書いて、とんでもない野郎だ、と思われるかもしれませんが、まぁ、深く追求しないように。^^
ISO100であろうがISO1600であろうが、ストロボはカメラから感度情報や絞り値情報をもらい、それに合わせて発光量を調整します。
だから、調光可能範囲内であれば、一応ちゃんと写るはずです。

ISO感度の高低で変わるのは、ストロボ発光量です。
ISO100などの場合は「ドカーン」と大光量を焚き、ISO1600の場合は「ピコッ」と小光量を焚くわけですね。
ISO100設定はノイズ面で有利になる代わりに、天井が高かったり、広いエリアを撮った場合には、絶対光量が不足する場合があります。
チャージ時間も長くなります。
一方、ISO1600設定はノイズバリバリですが、光量不足にはなりづらくチャージ時間も短くなります。
というわけで、何でもいいとはいっても、ISO200~800あたりが一番使いやすいと思います。


ホワイトバランスは決まるまでがなかなか難しいです。
RAWで撮るのでない限り、ぶっちゃけ何でもいいというわけにはいきません。
直接照射の場合は、ホワイトバランスをストロボモードにすれば大体合いますが、バウンス光の場合は、天井色、壁色、家具調度色などに左右されるため、一筋縄ではいきません。
オートホワイトバランスがまともに使える部屋というのは少なく、むしろ、固定ホワイトバランスを使った方が好結果が得られることが多いと思います。

色温度指定できるカメラの場合は、色温度をメモしたコピー紙を何枚か試し撮りし、一番ナチュラルな色になるものを選べばOKです。
バウンス光で白紙マニュアルホワイトバランスをとるのも良いと思います。
我が家の場合、LDKでは4000K、寝室では5200Kがベストということになりました。
4000Kというのは蛍光灯マーク付近、5200Kというのは太陽光マーク付近の色温度です。

いったん決まってしまえば、後は楽です。
この部屋ならこのホワイトバランスを使う、と決めておけばいいわけですから。
色温度直接指定ができないカメラの場合は、太陽マーク、曇マーク、蛍光灯マーク、白熱球マークなどになるわけですが、微調整可能な場合もあります。
EOS Kiss X2の場合は、"ホワイトバランス補正(WB+/-)"で色温度の微調整を行います。

なお、この場合のホワイトバランスは、天井や壁の色に左右される光の話であって、照明器具の話ではないので注意してください。
この部屋の照明器具は蛍光灯だから蛍光灯モード、白熱球だから白熱球モード、というわけではありません。
暖色系の部屋なら白熱球マーク、寒色系の部屋なら晴天~曇天マークといったところでしょうか。


絞りは好きな値を使ってください。
とはいえ、あまり絞り込むと、発光間隔が長くなりますし、場合によっては調光可能範囲を外れたアンダー写真になります。
間接光ではあっても、猫はストロボ光に驚きますから、発光量を抑えるため、絞りは開いた方が猫に嫌われません。
F5.6時の発光量はF4時の2倍、F2.8時の4倍になります。
やはり、F2.8~4というあたりが使いやすいのではないでしょうか。
もちろん、レンズが明るければ、F1.4 or F2.0などでもOKです。
F2.0あたりで撮れば発光量も少なく、猫に嫌われることも少ないと思います。

シャッタースピードは、そのカメラがストロボシンクロできる最高速度を使います。
EOS30Dの場合、1/250sec.です。
最高速度を使うのは、できるだけ手ブレ、被写体ブレを防ぐためです。

オートストロボの発光時間は1/500sec.~1/30000sec.といわれています。
シャッターが全開になっている間に、点灯~消灯を完了できれば良いわけですから、ストロボに同期できるシャッター速度であれば、ぶっちゃけ何でもいいわけです。
1/250sec.であろうが、1/30sec.であろうが、結果はあまり変わりません。
1/250sec.と1/30sec.では、背景の明るさが変わりますが、夜間室内であれば、ほとんど同じような結果になります。
ただ、動体の場合は、低速シャッターだと被写体ブレしますから、できるだけ高速シャッターを使った方が良いでしょう。


次にストロボ側設定です。
まず、左上に35mmとDGITALの設定切換があります。これは、右下のズーム焦点距離を135判にするか、APS-Cの1.5~1.6倍にするかだけの表示切換です。DIGITALと書いてありますが、フルサイズイメージセンサーカメラでは35mm側で使うことになります。ぶっちゃけ、どっちで撮っても大丈夫です。^^

調光モードはTTL固定でOKです。
TTLというのは、レンズを通ってきた光を測るという意味です。外部調光式オートストロボの場合は、ストロボ発光部の下にあるセンサーで光量を測ります。レンズを通ってきた光ではなく、外部センサーによる測光のため、かなりアバウトな画角の光になります。

これに対して、TTL調光では、ファインダーで見たとおりの部分そのもので調光決定するので、より正確な調光が期待できます。EOS30Dで200mmレンズを使うと320mm相当の望遠レンズになるのですが、まったく問題なく調光できました。TTLというものはたいしたものです。

調光補正はストロボ側で行います。
MODEボタンでEV+/-を選択し、SELボタンで補正量を決めます。
撮影後、LCDで確認した際に、暗いなと感じたときはプラス補正します。最初は0.5EV+から。+0.5EVでも足りなければ、+1.0EV、+1.5EVと補正量を増やしていきます。
逆に、明るすぎるな、と思った際には-0.5EV、-1.0EV、-1.5EVとマイナス補正します。この調光補正値は電源をON/OFFするたびにリセットされますから、御注意ください。
最大値に補正しても暗すぎたり明るすぎたりする場合は、カメラ側の調光補正が中央値になっていない、つまりプラス補正やマイナス補正にずれていることがありますから、一度確認してみてください。
アンダーな写真ばかりの時は、絶対光量不足ですから、絞りを開く、ISO感度を上げる、などしてみてください。

ストロボのズーム切換は、普段はマニュアルで最広角側にしておけばいいです。
ズーム切換というのは、直射光照射の場合の光束切換です。
ズームストロボと呼ばれるものは、ワイド時には広範囲に届くようワイドな光を発光し、望遠レンズ時には遠くに届くように収束した光を発光するようになっています。
オートズームというのは、カメラ側から焦点距離情報を受け取ることで、ストロボ発光部を前後させ、最適な照射角に設定する機能です。

焦点切換は直接照射時専用の機能であって、バウンス時には無関係のように思えますが、実はけっこう変わります。
これは最広角側で撮ったもの。
全体に光が回った柔らかいライティングになっています。

一方、こちらは最望遠側にして撮ったもの。
直射光に比べれば、はるかに柔らかい陰影ですが、上に比べると、より明暗がはっきりした立体的なライティングになっています。被写体や環境によっては、こちらの方がより雰囲気のある写真にすることができます。


ストロボ光を当てる位置、つまり瞬間的な巨大電球を作る位置は、左図のとおり、被写体とカメラの中間あたりです。カメラ側、つまり図の右の方に当てると、直接光に近いライティングとなります。被写体より奥、つまり図の左側に当てると、やや逆光気味の陰影が付いた立体的なライティングになり、質感表現に向きます。

上の図では、左写真の左側ぐらいのヘッドの傾きにして描かれていますが、猫を撮る場合は近接撮影が多いため、このままではうまくいかないことがあります。被写体より奥に瞬間巨大電球ができてしまい、手前暗がりになることがあるのです。何だか手前が暗いな、と思ったときには、写真右側のように、撮影者の真上バウンスしてみてください。"Xylocopal's Photolog : 外光式オートストロボ National PE-320S"で紹介している「名刺法」を使うのもひとつの手です。
縦位置撮影で猫が前方斜め下にいる場合のヘッドの向きは、こんな形になります。SUNPAK PZ42Xは120度右まで回転させることができるため、シャッターボタンを上にして縦位置撮影する人には使いやすいストロボです。
SUNPAK PZ42Xは左のように、発光部を後ろに向けることもできるため、後に明るい色の壁があれば大光量のフラットライトが得られます。
ただし、後ろの壁が被写体に近い場合には、直射光に近いダイレクトな陰影になりますので注意してください。



なんだか、「ぶっちゃけ何でもいいです」がやたらと多いエントリになってしまいました。^^
まぁ、オートストロボというのは、それぐらい気軽に使えるものです。
絞りやシャッター速度のことをあまり考えなくても、ストロボが露出を決めてくれるので、とてもお手軽、撮影に集中できます。
バウンス可能なストロボであれば、ストロボ特有の嫌な影ともおさらばです。
室内猫撮りで、うまく撮れなくて困っている方、ストロボバウンス撮影は楽ですよ。

下の写真はオマケです。
撮影パラメータは上の方にある写真と同じです。
色が赤っぽいのは撮影者の個人的趣味です。実際はもう少しナチュラルです。
モデルの猫は、2007年4月(推定)生まれの女の子、名前はノリマキです。
猫好きの方、お楽しみください。^^











 踊る猫ノリマキさんの公式ウェブサイト
  "Dancing Cat Norimaki's Website"
   http://www.dancing-norimaki.com/
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by xylocopal2 | 2007-09-18 00:11 | Hardware
2007年 07月 06日 カードリーダー新調 Owltech FA405M3




"Xylocopal's Photolog 2007/06/21 ニンジンの芽が出たよ"に書いたように、カードリーダ"I-O DATA CardDock USB2-8inRW/I"が壊れました。
とりあえず、退役していた"MITSUMI FA405B"をジャンク箱から引きずり出し、だましだまし使っていましたが、やっぱり遅いんですね。
今日、たまたま、PCショップを訪れる機会があったので、新しいカードリーダを買ってきました。
Owltechの"FA405M3"という、3.5inchベイ内蔵用カードリーダです。1480円なり。

1996年、初めてデジカメを買ったときから、カードリーダは内蔵型に限る、と決めてしまい、今までにパラレル接続を1台、SCSI接続を2台、USB接続を4台使ってきました。
安定度はSCSIが一番ですが、価格の安さと転送速度の速さはUSB2.0接続が一番です。
転送速度が速ければ、外付でも内蔵型でもどちらでもいいわけですが、内蔵型は片手でメディアを突っ込めるという横着が出来ます。
一回これに慣れてしまうと、両手を使わなければならない外付カードリーダは面倒くさくて選択肢に入りません。^^
そう、ナマカワ者ゆえに、内蔵型カードリーダを使っているわけです。

このカードリーダ、以前使っていた爆速リーダ、"Owltech FA405MX"に形と名前が似ています。
値段も値段だし、あまり速くは見えなかったのですが、とりあえず転送速度を測ってみました。
いつものベンチマークソフト"HDBENCH ver.3.30"を使って、100MBの書き込み/読み込みにかかる時間を調べてみました。
被験メディアは、サンディスクのCF、Ultra II 2GBです。





なかなかどうして速いです。
Readに関しては、今まで使ったことがあるカードリーダの中では最速。13MB/sec.出ています。
Writeも二番手です。
これまでのカードリーダの成績は下記のとおりです。
古いものから新しいものの順番になっています。

HDBENCH ver.3.30 with SanDisk Ultra II 2GB
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MELCO MCR-FSB (Ultra Wide SCSI)
 Read: 1300KB/sec.
 Write: 1273KB/sec.

MITSUMI FA405B (USB2.0)
 Read: 6073KB/sec.
 Write: 5605KB/sec.

Owltech FA405MX (USB2.0)
 Read: 11695KB/sec.
 Write: 8911KB/sec.

I-O DATA CardDock USB2-8inRW/I (USB2.0)
 Read: 9973KB/sec.
 Write: 7161KB/sec.

Owltech FA405M3 (USB2.0)
 Read: 13060KB/sec.
 Write: 8139KB/sec.
-----------------------------------------------------


今のカードリーダは、これぐらいの速度が出るのが当たり前なのかもしれません。
それにしても良い時代になったものです。
価格は1/10、速度は10倍なのですから。
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by xylocopal2 | 2007-07-06 18:50 | Hardware


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