Copyright © 2004-2010 Xylocopal All Rights Reserved
Top
2008年 09月 25日 とってもギャンブルな Canon EOS Kiss III


恒例の名古屋・丸栄スカイル中古カメラ市が今日から始まりました。
このカメラ市、ライカ、ローライ、ハッセルブラッドなどの高級カメラも売られていますが、私の頭の中では、「丸栄ジャンク市」として記憶されています。
つまり、これまでまともなものは一切買わず、いつまで経ってもジャンクしか買ってこない、ということですね。
今回ゲットしたのは、以下の品々です。
  • Kenko MC Protector Filter 62mm (600円)
  • 使用期限が2013年のリチウム電池 CR2×2 (300円×2)
  • Canon純正50mmレンズ用ポーチ LP-1014 (300円)
  • AF銀塩一眼レフ Canon EOS Kiss III (1000円)
何だかガラクタばかりです。

写真のデジタル化が加速した現在、中古市場における銀塩EOS、特にエントリー機~中級機のステータス凋落は目を覆わんばかりです。1990年代のけっこう綺麗なEOSが1000~2000円で売られています。1970年代の金属製MFメカニカルシャッター一眼レフが今なお3000~4000円台のジャンクとして売られていることを考えると、プラスチック製AF電子シャッター機の末路はあまりにも哀れです。

銀塩EOSが1000円とは安いじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、ジャンク箱の中の商品ですから、もちろん動くかどうかは無保証です。たいていの場合、バッテリーが入っていないので、売り場で動作確認をすることは困難です。したがって、これらジャンクEOSを買うことは限りなくギャンブルに近い行為となります。

20代の頃、民放競艇予想番組のディレクターを5年ほどやった私は、ギャンブルはそこそこ好きです。しかし、鉄板レースに100万円つぎ込むなんてことは怖くてやれませんでした。いつも、1000円券をせいぜい3点押さえるぐらい。狙うのは配当1000円~2000円の中穴です。

そんなノリで、今回も1000円のKiss IIIを買ってみました。勝てばちゃんと動いて写真が撮れるし、負ければ益体もないガラクタに1000円を払うと。まぁ、遊びとしては至極健全な方じゃないでしょうか。^^




これがくだんの"Canon EOS Kiss III"。1999年発売の銀塩AF一眼レフです。
レンズは手持ちのEF50mm/F1.4 USMを取り付けてあります。
このカメラ、Kissシリーズとしては三代目、それほど古くはないところが味噌です。
ブラックボディはシルバーボディより発売が遅く、実際には2000年9月以降の製品です。
後継機の"EOS Kiss III L"の発売が2001年11月ですから、ひょっとすると21世紀のカメラかもしれません。

全体のたたずまいは、デジタル一眼レフ、"Canon EOS Kiss X2"と似ています。特に前面から見た場合には違いが分かりにくいです。しかし、そこは銀塩カメラ、ひっくり返すと液晶はなく、裏蓋はのっぺりツルンとしています。


EFマウントの銀塩一眼レフとしては、"EOS 100QD"を持っているのですが、何といっても1991年発売のロートルですし、Kiss X2に慣れた最近は、もう少し軽くてコンパクトなものが欲しいと思うようになってきました。
EOS100QDのグリップって馬鹿でかくて、まるでジャガイモを握りしめているような気分になるんです。
そんなわけで、最初からEOS Kiss III狙いでジャンク市に来た確信犯だったわけです。

勝負にあたり、外観が綺麗で、シャッターがジャムっておらず、妙な付着物がないものを選びました。
落下痕のあるものはペケです。内部機構が逝かれている可能性があります。
泥が付いているようなものも危険です。水没品の可能性があります。
もっとも、会場にはそこまでひどい状態のカメラは少なく、せいぜい塗装が剥げているぐらいのものが多かったです。

いくつかの候補から選び出したこのカメラ、なかなかどうして綺麗です。
ほとんど使用形跡がありません。これが1000円とは信じられません。
会場で入手した300円のCR2バッテリーを突っ込んでみたところ、ちゃんとシャッターが切れます。
なかなか有望です。
さっそく、使用期限が切れたセンチュリアスーパーを詰めて、試写してみました。
使用期限が残っているフィルムを使わないあたりが小心者です。
だって、センチュリアスーパー、あと2本しか残っていないんだもの。







いいんじゃないでしょうか。
露出OK、AFバッチリ、フィルム給装無問題、妙な光線漏れもありません。
賞味期限を3ヶ月過ぎたフィルムなのに、カラーバランスもまともですね。
どうやら、勝負に勝ったようです。
こういうことが嬉しくて、ジャンクを買いあさっているわけです。
ホント、馬鹿は死ななきゃ治りません。^^


 Canon EOS Kiss III 仕様一覧
 ------------------------------------------------
  フォーマット: 135判 24×36mm
  マウント: EFマウント
  シャッター: 電子制御式縦走りメタルフォーカルプレーン
  シャッタースピード: B, 30sec.-1/2000sec. X=1/90sec.
  ファインダー: ダハミラー式アイレベル固定
  ファインダー視野率: 90%、倍率=×0.7
  露出モード: Program AE、Av、Tv、Manual、Depth etc.  
  バッテリー: CR2×2
  外形寸法: 140×90×58.5mm
  重量: 355g
 ------------------------------------------------


それにしても、このカメラ、本当に軽いです。
重量355gというのは、580gのEOS 100QDに比べると、もう段違いにスカスカ、中身が入っているのかどうか不安になる軽さです。
ボディも非常にコンパクトです。
EF50mm/F1.4 USMあたりを付けると、レンズが異様に大きく見えます。
ただのEF50mm/F1.4がノクチルックスクラスの高級品に見え、何だか嬉しいです。^^
レンズを外してボディだけを持つと、重量感はコンパクトカメラそのもの。
質感もプラスチッキーでコンパクトカメラと大差ありません。
どうも、この手のチープなものに弱くて困ります。




ボディ側マウントフランジは樹脂製です。
レンズ側マウントがプラスチックのものはよく知られていますが、ボディ側までプラスチックのものがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
レンズとボディの結合部分であるフランジ面に金属を使わなくても大丈夫なのか?と思えますが、あまり頻繁にレンズ交換をしなければ、これでいいのでしょう。
そもそも、頻繁にレンズ交換をすることを想定していない作りですね。
思い切った省コスト化です。
このカメラ、外観がチープなだけでなく、中身までもしっかりチープです。




軍艦部は平均的AFカメラのそれ。デジタル一眼レフとも大差はありません。
Kiss Digitalに比べて、モード表示LCDが付いているので使いやすいです。
露出モードは、ポートレート、スポーツなどの他、P(プログラムAE)、Tv(シャッタースピード優先AE)、Av(絞り優先AE)、マニュアルなど一通り揃っているので、私程度の使い方では何も不満がありません。
AEロックボタンは左手親指で押す常識的な位置に付いています。
その右隣に露出補正ボタン。
これも特に問題のない位置です。




裏蓋を開けると、フィルムゲートが見えます。
フィルムガイドレールはエンジニアリングプラスチック製。
EOS 100QDの頃から樹脂製なので、今さら何も驚きません。
どこまでいっても、コンパクトカメラの風情です。

このカメラ、フィルム給装はプリワインド方式です。
フィルムを装填し、電源を入れるといきなり全てを巻き上げてしまいます。
そして、撮影が済んだものから順番にパトローネに巻き戻していきます。
不用意に裏蓋を開けてしまっても、撮影済み分は助かる、面白い仕組みです。
もちろん、ネガスリーブは普通のものと逆順になっていますから、頭は混乱します。

この時代のEOSには、よくパノラマ機能というものが付いていますが、思いっきり「なんちゃってパノラマ」です。パノラマスイッチをスライドさせると、フィルムゲートの上下からプラスチック板がしゃしゃり出てきて遮光するだけ。ちゃんとファインダーフレームも天地が切れるようになっており、なかなか芸は細かいです。とはいえ、画角がワイドになるわけなどなく、むしろ画角は狭くなります。こういうものを「パノラマ」と称して売ったのは詐欺ではないのかと小一時間‥‥。^^

シャッター幕は綺麗です。銀塩EOS宿命の「ダンパー溶解~幕ドロドロ現象」の呪縛から逃れています。
この現象は、1996年以前に製造された銀塩EOSの特定機種に発生するといわれる持病です。古いEOSでは、シャッター幕を受け止めるダンパーという部品が、経年劣化のため加水分解をおこし、ネバネバのドロドロとなって溶け出し、シャッター幕に付着する、という厄介な現象が発生します。

義父の"EOS 650"のシャッター幕。「ダンパー溶解~幕ドロドロ現象」の典型例です。EOS650というのは、EOS初号機で発売開始は1987年。20年あまりの歳月を経て、見事どろどろネッバネバになっています。こうなると、シャッター幕が走行途中に貼り付いて止まるため、未露光や過露光が起こり、画面半分が黒かったり白かったりする不思議な写真が撮れます。古い銀塩EOSを買おうという人は、この点は要チェックですよ。

しゃらくさいことに、AFポイントは7点あります。横5点、縦3点。真ん中一発のEOS 100QDに比べると圧倒的な使いやすさです。
この表示はデフォルトの測距点自動選択モード。7点のうち、もっとも近いポイントにフォーカスするというズボラモードです。これは現代のKiss Digitalにも搭載されている機能です。

もちろん、測距点は自由に選択可能です。これは、中央にフォーカスを合わせたところ。左端、右端などの設定もできます。このあたりはさすがに進化しています。

電源は、3Vリチウム電池CR2×2本です。リチウム電池といっても、デジカメなどで使われるリチウムイオンバッテリーではなく、充電不可能な一次電池です。
なんだ、充電不可能なのか、と馬鹿にすることなかれ。使ってみると分かりますが、なかなかなくならない魔法の電池です。パワーがあることもさることながら、自己放電が非常に少ないため、いつの間にか無くなっていたということが少ないのですね。新品のリチウム電池を買うと、10年後の使用期限が記されており、びっくりします。ジャンクなリチウム電池を買うと使用期限が3年後になっていてびっくりします。^^


Canon EOS Kiss IIIは、製品セグメントとしては、明らかにパパママユース、小さな子供がいる家庭用です。
しかし、よほど面倒な被写体でない限り、過不足なく使える実力派でもあります。
EOS100QDでは、AFポイント1点だったのが7点に変更されていますし、AF精度も高いように思えます。
EOS100QDは絞り込みプレビューボタンがなく、リモートレリーズも使えないカメラでしたが、Kiss IIIは絞り込めますし、レリーズも使えます。
総合力では、意外なことに、Kiss IIIの方が本格的一眼レフといえます。
日常的な写真を撮るにおいてはまったく機能不足を感じません。
デジタル一眼レフから写真を始めた人で、銀塩もやってみたい人、しかもあまりお金をかけたくない人、1000円EOSの勝負に出てみてはいかがですか?^^
[PR]
by xylocopal2 | 2008-09-25 20:26 | Hardware
<< 光の回廊 Portraits of Xi... >>


Copyright © 2004-2010 Xylocopal All Rights Reserved