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2008年 03月 21日 近接撮影用ブースター Canon Extention Tube EF12 II
Canon EFマウント用のエクステンションチューブ、"Extention Tube EF12 II"を買いました。エクステンションチューブとは、中間リング、接写リングなどとも呼ばれるもので、ボディとレンズの間に挟んで使うリングです。

これは、レンズのヘリコイドを無理矢理繰り出した状態にするもので、レンズなどは入っていない単なるドンガラの筒です。これをかますことにより、遠方へのピントは出なくなりますが最短撮影距離は短くなります。結果として、被写体により近寄れ、被写体がより大きく写ります。

用途としてはマクロレンズ、クローズアップレンズなどとよく似ていますが、望遠レンズなどあらゆるレンズに取り付けて最短撮影距離を短くすることもできるあたりが多少異なります。

EF12IIは、以前紹介した"M42マウント用接写リング"のEFマウント版のようなものです。8つの電子接点が付いており、自動絞りはもちろん、AEは全モード対応、AFも精度的な保証はないものの使えるレンズが多いようです。
EF-SレンズをはじめCanon製純正レンズの多くに対応しており、サードパーティ製レンズでも使える場合が多いと思います。
より近接倍率の大きなEF25IIというエクステンションチューブもありますが、こちらは鏡胴が25mmと長いため、使えるレンズに制限が多いようです。

"TAMRON SP AF90mm F2.8 MACRO"という等倍マクロレンズを持っているにもかかわらず、エクステンションチューブを買ったのは、ひとえに面倒くさがりの不精者ゆえです。
たとえば、サクラの撮影に行くとしましょう。
私の場合、サクラ撮影のメインレンズは"Canon EF70-200mm F4L USM"になります。
これで、全体の80%を撮ります。
残りの20%を撮るのが、Tamron SP AF17-50mm F2.8 XR DiIIあたりになるでしょうか。

ただ、低い場所に咲いているサクラが運良く見つかればマクロも撮っておきたい。
マクロ撮影の比率が20%以上あるのなら、迷わず90mmマクロも持ち出しますが、数カット撮るために、わざわざマクロレンズを持ち出すのもなんだかな~と思います。
こうしたときに、エクステンションチューブは便利です。
何しろ、重量わずか66g。
90mmマクロが400g少々あるのに比べれば圧倒的な軽さです。
サイズ的にも小さいのでカメラバッグに転がしておけます。

おのれは400gのレンズも持てない虚弱体質なのか?などと言う輩は月のない夜は背後に気をつけた方が良いです。
私は、撮影時はできるだけ身軽でいたい、重いカメラバッグなど持ちたくない、というタイプの撮影者なんですね。
カメラに付けたレンズの他に携行レンズは常に1本だけ、というのが昔からの撮影スタイルです。
その2本の組合せは、10-22mm+28-75mm、17-50mm+90mmなど千変万化ですが、基本的に携行レンズは2本で済ませたいと考えており、やむを得ないときだけ3本以上のレンズを持ち出すという超面倒くさがりなのですね。
良い写真を撮るには手間を惜しんではいけない、必要とあれば三脚でも脚立でも持っていけ、と書く一方で、本人の実態は実にイイカゲンなのです。^^

とまれ、ここ一番グイッと寄りたいというときに、エクステンションチューブは心強いです。
いかなるレンズを持っていても必ず寄れる、というのはいいですね。
クローズアップレンズのように、フィルター径の違うものを何枚も持つ必要はないですし、交換作業も実に簡単です。
交換のたびにミラーボックスにホコリがはいるじゃないか、という神経質な人には向いていませんが、エクステンションチューブってのはけっこう使い物になるんです。

とはいえ、エクステンションチューブにも欠点はあります。
エクステンションチューブは、装着レンズの設計時に想定された最短撮影距離より短い距離で撮影を行うため、球面収差、像面湾曲など諸収差は増大すると思われます。
そうした収差を気にする場合は、素直にマクロレンズを使った方がよいと思います。
これらの収差は画像四隅で顕著に現れますが、画像中心部分だけならあまり分からないことが多いです。
F22~45まで絞って撮る微少部品のクローズアップ撮影などでは問題となっても、花などのマクロ撮影では、中心部さえ綺麗に結像していればあまり問題にならないような気がします。

また、エクステンションチューブには露出倍数の問題もあります。
一般に、レンズには近距離を撮るためにヘリコイドを繰り出していくと、次第に実効F値が暗くなっていくという性質があります。
全群繰り出しのレンズでは、撮影倍率1/2倍で2倍、等倍撮影で4倍の露出倍数がかかるといわれています。
つまり、近接撮影では露出補正が必要となるわけですが、現代のTTL露出計を備えた一眼レフであれば無問題です。
マクロレンズを使うときに、露出倍数を計算したことがある人は現代ではほとんどいないでしょう。
露出倍数を計算しなければならないのは、TTL露出計を持たない、4x5など大判カメラなどの場合です。

実際にどれぐらい拡大できるのか、見ていくことにしましょう。
一般に、エクステンションチューブは焦点距離が短いほど、つまり広角レンズほど倍率アップの度合いが大きく、望遠レンズでは小さくなります。
標準ズームの場合と望遠ズームのそれぞれTELE端で調べてみました。


タムロン17-50mm/F2.8でボケの花を撮ってみました。

ボケの花はサクラやウメとほぼ同サイズです。これを最短撮影距離の27cmから撮ったのがこの写真です。

タムロン17-50mm/F2.8は最大撮影倍率0.22倍とそれほどクローズアップが得意なレンズではありませんが、ノンアクセサリーでこの大きさまで撮れれば、一般的な用途ではあまり不満はないと思います。

エクステンションチューブEF12IIをかませて撮ってみました。実際には、もう一回りほど近接できますが、前玉前10mm程度とワーキングディスタンスが極端に小さくなり、照明が入らないので、このあたりで止めています。もちろん、フードを外さないとここまで寄れません。

倍率としては0.5倍ぐらいでしょうか、ハーフマクロ程度にはなっています。若干甘くなった印象ですが、被写界深度の浅さのためで、シャープネスは変わりません。周辺の収差も分かるほどには出ていません。

標準ズームで、いざとなればここまで寄れる、というのはありがたいです。ただし、被写界深度は極端に浅くなっているので、フォーカシングは非常に微妙になります。


望遠ズームのEF70-200mm/F4Lで最短距離の1.2mから撮ってみました。

このレンズ、70-200mmとしては寄れる方なのですが、もう一回り寄りたいと思うことはけっこうあります。そうしたときに、エクステンションチューブは有効です。

エクステンションチューブを挟んでみました。望遠レンズですから、拡大率はたいしたことはありませんが、250~300mmで撮ったぐらいにはなります。

気をつけて欲しいのは、エクステンションチューブでは最短撮影距離が短くなるだけで、焦点距離や画角が変わるわけではない、ということです。接近できない場所にある被写体に対してはまったく無力です。


エクステンションチューブを取り付けると、無限遠が出なくなり、レンズによっては1m先の被写体にもピントが来なくなったりします。
決して常時付けておけるアイテムではありません。
しかし、ここ一番、お手軽近接ブースターとして使うには非常に便利です。
マクロレンズを持っていても、利用価値はありますよ。
お値段も安いですし、おひとついかがですか?
by xylocopal2 | 2008-03-21 19:09 | Hardware
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