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2008年 03月 06日 とってもテキトーな体感露出入門
「体感露出」という言葉があります。
露出計を使わずに、「だいたいこんなもんだな~」と露出を決めることですね。
私がネガフィルム写真を撮るとき、屋外であれば、ほとんどの場合、体感露出優先モードで撮っています。
そもそも露出計を見るのが面倒くさいということがありますし、私が使う銀塩カメラは古いものが多く、露出計が付いてなかったり、付いていても劣化のため信頼できないものが多いということもあります。
体感露出とは、

 「五感以外の第六感プラス体内の特殊器官を鍛えて会得する一子相伝の秘術である」

ということはまったくなく、ネガフィルムのラチチュードの広さに深く寄りかかった単に大雑把な露出のことをいいます。
特に難しいものではなく、普通の暗記能力を持った人であれば誰でも身につけることができます。
体感露出会得法については、私がゴチャゴチャ書くより、私の師匠である中村陸雄氏が書かれた素晴らしいテキストがありますので、ぜひ読んでみてください。

 "とても適当なスナップショット講座 <露出編>"
  http://fantastic-camera.com/snap_01.htm

真面目に読むのが阿呆らしくなるほどふざけたテキストですが、書いてあることは至極まっとうです。
このとおりに実践すれば、露出計なしでスナップショットが撮れることを保証します。
弟子の私が言うのだから、本当だよ。

屋外のみとした場合、体感露出で覚えるべき露出はそう多くはありません。
ISO100の場合、最低限以下の5パターンでOKです。

 ------------------------------------------
  晴天順光: F5.6、1/500sec.
  晴天日陰: F5.6、1/125sec.
  日向日陰混在: F5.6、1/250sec.
  曇天: F5.6、1/125sec.
  少し暗い曇天: F4、1/125sec.
 ------------------------------------------

逆光の場合は、1~1.5段オーバーにします。
晴天時に、F5.6、1/250sec.ぐらいです。
ISO400の場合は2段アンダーで撮ればOKです。
晴天順光でF5.6、1/2000sec.ですね。
これで充分まともな階調の写真が撮れます。
入射光式露出計を操作した経験がある方なら分かると思いますが、同一条件下の露出というものは、そうそうブレるものではなく、大体一定なんですね。
反射光式露出計のように被写体の色や反射率による露出補正は不要です。

以下、実例を説明していくことにします。
作例はすべて、Kodak T-Max100というISO100モノクロフィルムで撮ったものです。
過去にUPしたものも何点か混じっています。


晴天順光の被写体です。
セオリーどおり、

 ISO100、F5.6、1/500sec.

で撮っています。
パンフォーカス狙いなら、

 ISO100、F8、1/250sec.
 ISO100、F11、1/125sec.

などの設定も可です。
もっと背景をぼかしたい、ということであれば、

 ISO100、F4、1/1000sec.

でもOKです。


晴天日陰の被写体です。
種も仕掛けもなく、

 ISO100、F5.6、1/125sec.

で撮っています。
もちろん、
 
 ISO100、F4、1/250sec.

でもOKです。


以下2つは応用例です。
左は、晴天やや逆光気味の板壁ですが、まずは順光と考えて、相場どおりこう設定します。

 ISO100、F5.6、1/500sec.

ただ、半逆光であるのとシャドウも少し出したかったため、シャッタースピードを1段遅くすることにしました。
つまり、以下のような設定です。

 ISO100、F5.6、1/250sec.

デジタルの場合は白飛び必至の露出ですが、銀塩ネガは露出オーバーに強く、1段ぐらいは屁のカッパです。むしろ、相場どおり、1/500sec.で撮るとシャドウが潰れます。銀塩ネガのシャドウというのは潰れてしまうと救済しようがないので、迷ったらオーバー気味で撮るのが鉄則です。

デジタルの場合は、オーバーに弱くアンダーに強いですから、少しアンダー目に撮るのが鉄則ですが、銀塩の場合はその反対になるわけです。


晴天下のサンルームです。天井付近には燦々と陽光が降り注ぎ、壁は白くかなり明るい室内です。しかし、主被写体は黒いセーターの女性。日向と日陰の混在ですから、セオリーどおり露出を設定するなら、以下のようになります。

 ISO100、F5.6、1/250sec.

ただ、この写真の場合、主被写体が黒っぽいのと、日向はディティールがしっかり分からなくてもいいということから、もう一段絞りを開けます。

 ISO100、F4、1/250sec.

このままで大丈夫だと思いますが、黒セーターと髪のディティールが欲しいこと、迷ったらオーバー目ということから、さらに1段オーバーのものも撮っておきました。

 ISO100、F4、1/125sec.

段階露出とかブラケット露出とかいうやつですね。結果的には、この一番明るい組合せが良い雰囲気で写っていました。迷ったら段階露出、これは結果がすぐに見られない銀塩写真では役に立つ技術です。


体感露出一覧は理屈なしの丸暗記でいいです。
暗記に自信がない方には、露出表の持参をお勧めします。
フィルムの箱に記されている程度のもので充分です。

もう少し、高級な露出表が欲しい、という方には"セノガイドC"というものがあります。
セノガイドCは、そもそもは計算尺のようなものでしたが、現在は携帯電話用シミュレーターがあります。

 "セノガイドCの模擬"
  http://www.geocities.jp/leitz_house/hosei/senoguide-c.html


携帯電話に"セノガイドCシミュレーター"を仕込んでみたところです。
セノガイドCの実物は、"こんな形"をしています。下がオリジナル、上が再現版です。3層構造になったダイヤルをくるくる回すことで適正露出を求めるようになっています。

左の写真では、F5.6+1/500sec.、F8+1/250sec.などの露出を示しています。
もちろん、正午頃の晴天、ISO100フィルムの適正露出ですね。
体感露出というのはセノガイドCのごく一部を丸暗記しているにすぎません。

セノガイドCを操作していると、夏至と冬至の正午頃でさえ、1EVほどの違いしかないなど、いろいろ面白いことが分かります。このシミュレーターを作った作者の方には深く感謝する次第です。


セノガイドCの使い方は原理的には簡単です。
以下のパラメータを設定すると、自動的に絞りとシャッタースピードの組合せが表示されます。

 -------------------------------------------------------
  1.フィルムISO感度設定
  2.天気設定(快晴、晴、薄日、薄曇、暗曇、夜景&人工照明etc.)
  3.シーズン設定(春夏秋冬、1月~12月etc.)
  4.時刻設定&被写体(雪原、海辺、ポートレート、ピクニック、室内、夜景etc.)設定
 -------------------------------------------------------

携帯電話用シミュレーターは画面が小さく操作しにくいため、慣れないうちは"PC用シミュレーター"を使った方が理解が早いと思います。
ユーザーインターフェースは一部携帯電話版と異なりますが、だいたい似ています。
PC版はマウスクリックでくるくるダイヤルを回すことができるので、かなり実物に近い操作感です。
携帯用は、いちいち"2"を押さないと、ISO、シーズン、シーンの切換ができないので若干操作が煩雑になります。
操作方法はオリジナル版セノガイドとほぼ同じ。
オリジナル版操作マニュアルは、"ここ"にあります。
PC用は左上の"ISO"を押すと、携帯用は十字キー上でヘルプが出ます。
基本的にはヘルプを見れば操作方法が分かるようになっています。
以下、操作の実例です。


3月の晴天午後2時、ISO100フィルムを使って、人物入り近景を撮る場合の設定です。
まず、フィルム感度をISO100に合わせます。
携帯版、PC版ともにデフォルトはISO100/晴天です。
セノガイドCシミュレーターを起動すれば自動的にISO100/晴天に設定されます。

次に、時刻を被写体アイコンに合わせます。
非常に大時代的なアイコンのため、現代人から見ると判じ物のようですが、見慣れると結構分かりやすいアイコンです。各アイコンの"対照表""ここ"にあります。

左は午前10時or午後2時に戸外近景を撮る場合です。
赤矢印の位置にダイヤルを合わせます。
設定後、左側の露出表示部を見ると、F8、1/250sec.、あるいはF5.6、1/500sec.などと露出の組合せが表示されます。
これが、ISO100フィルムの3月午後2時晴天の露出です。

実際に、今日(3/6)の14時に入射光式露出計で測定した結果です。
影を見れば分かるとおり、天候は晴れ。
ISO100、F5.6半、1/500sec.となっています。
F5.6とデジタル表示されていますが、サブスケールが半分振っていますので、半絞りプラスでF6.8ぐらいです。

セノガイドが出した露出値は0.5EVオーバーですが、まぁ許容範囲内でしょう。
この0.5EVが気になる人は体感露出に向いていません。^^
セノガイドCを正午に設定すると、ぴったりこの値になります。
30年ほど前の腐ったようなCdSセル露出計よりは、セノガイドCの方がよほど正しい値を出します。


室内など人工照明の場合は、ISO感度を晴マークの上の"N"指標に合わせます。
また、時刻ではなく"N"指標を被写体アイコンに合わせます。
左は比較的明るいデパートの売場などの例です。
結果は、ISO100、F2.8、1/30sec.などとなっています。

人工照明については、多少精度が怪しくなります。
セノガイドCがよく使われた昭和20~30年代と現代では、室内照明や街の明るさの基準が違いますから、どうしても誤差は出ます。参考程度と思っておいた方が無難です。


体感露出とは、ネガフィルムの広いラチチュードに深く依存した露出設定方法だと書きました。
では、ダイナミックレンジの狭いデジタル一眼レフと体感露出の相性はどうか?というと、実はこれが結構使い物になります。
特に、カメラの露出計が測光ミスをするような高コントラストの被写体が混じったフレーミングの場合、体感露出の方が好結果をもたらすことが時としてあります。

左の写真は、"Xylocopal's Photolog 2008/01/06 川のほとりで"ですが、デジタル一眼レフEOS30Dを体感露出優先モードで撮っています。

暗い川面と白く光る橋のコントラストが強すぎて、中央部重点平均測光でも露出がバラツキ気味だったので、「えーい面倒じゃ!」とISO100、F8、1/250sec.で撮ったところ、ばっちり露出がはまりました。
EOS30Dは実効感度がISO100に極めて近いためか、ほどよい程度に白飛びを許した至極まっとうな露出が得られています。

現代のデジタル一眼レフは優秀なTTL露出計を備えているため、体感露出の出番などほとんどなさそうに思えます。体感露出などという前時代の遺物を使わなくても、瞬時に測光できるシステムになっていますから。

しかし、それでも、露出の相場を知っていることは悪いことではありません。
露出計なんぞなくても写真は撮れる、これを理解すると写真に対する考え方が変わってきます。
たまには、露出計なしで写真を撮ってみるのも楽しいものですよ。^^


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by xylocopal2 | 2008-03-06 16:55 | Software
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