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2008年 02月 09日 Canon EF50mm F1.4 USM AF調整


"Canon EF50mm F1.4 USM"のAF調整をしました。
このレンズ、一応現行モデルですが、設計は古いレンズです。
発売されたのは15年前の1993年。
EFマウントレンズとしては第2世代ぐらいのレンズですが、描写傾向はMF時代の"New FD 50mm F1.4"にそっくりです。

私は、New FD 50mm F1.4を10年ぐらい使ったので、EF 50mm F1.4を初めて使ったときには大いに既視感がありました。
ボケの傾向、口径食の傾向、ハロの傾向、すべてが見たことがあるものでした。
両者のスペックは、外寸と重量以外は、6群7枚のエレメント構成、絞り枚数、最短撮影距離、最大撮影倍率など、すべて同じです。
おそらく、基本設計は1979年から変わっていないのでは?と思います。
絞り開放からカリカリにシャープという現代的な写りではなく、開放付近では収差が補正しきれずに残る、今となっては古典的な描写をするレンズだと思います。
そうしたEF50mm/F1.4USMの描写、私はけっこう好きなんですが。

このレンズ、APS-Cデジタル一眼レフで使うと、80mm相当の画角となるため、明るいポートレートレンズとして重宝します。
特に暗所で人間を撮る際には絶大な威力を発揮します。
開放はさすがにアマアマですが、F2あたりから実用になります。
F2の実写例は下にあります。

 Xylocopal's Photolog : 大野えり Jazz Vocal Live
  http://xylocopal2.exblog.jp/3928773/


EF50mm/F1.4 USMは、どちらかといえばソフトな描写が身上のレンズですから、80mmポートレートレンズとして使うのは理にかなった使い方だと思います。
135判85mmレンズの最短撮影距離は90cm前後のものが多いですが、このレンズは最短撮影距離45cmですから、80mm相当のレンズとしては近接できることになります。
つまり、猫を撮るには向いているということですね。
特に、室内で猫を撮るときは、開放F1.4の明るさはファインダーが見やすく、AF合焦率も上がり、非常に使いやすいです。
APS-Cデジタル一眼レフによる室内猫撮りには、F1.4~2.0あたりの50mmレンズが一番向いているんじゃないでしょうか。

ただ、こうした大口径レンズを近接状態で使うと色々問題も出てきます。
特に問題となるのは"球面収差"に起因する焦点移動です。
マクロレンズとして設計されていないレンズでは、近接時に球面収差が増大します。
球面収差が増えると、絞り変化による焦点移動が目立ってきます。
こうしたレンズでは、絞り開放でピントを合わせるのではなく、実絞りで合わせる必要があります。
常に絞り込んでフォーカシングを行えば、この問題は解決できますが、動き回る猫などを相手にする際にはなかなか面倒で現実的な方法ではありません。

この現象、AFレンズの場合、絞り開放ではジャストフォーカスなのに、絞っていくと後ピンになるという形で現れます。
"Canon EF50mm F1.2L USM"が発売されたとき、ネット上でこの問題をよく見かけました。
EF50mm/F1.4 USMも一応大口径レンズの仲間ですし、非球面レンズやフローティング機構を使ったレンズではないため、同様な現象が発生します。




上は、調整前のEF50mm/F1.4 USMの絞り開放で巻尺を斜めから撮影したもの。左は白枠で囲んだ中央部分の拡大です。設計の古い大口径レンズの絞り開放というのは、コントラストが低く眠い、大甘のボケボケ描写で、お世辞にも「絞り開放から問題なく使える」とはいえません。
撮影距離は50cmぐらい。最短撮影距離の45cmまであとわずかという距離からの撮影です。猫を撮るときには、これぐらい近接することが多いです。

この写真は、ワンショットAFで、30cm直下の目盛にAFロックして撮影しています。ボヤボヤ大ボケであっても、一応ピントはジャストです。絞り開放を常用するカメラマンにとっては、この個体は完璧なAF特性を持っていることになります。
同一条件で、F2.8に絞って撮った写真です。ピントの山は31cmあたりにあります。焦点移動ですね。

被写界深度は手前に浅く、奥に深い、ということになっていますが、AFロックした30.0cmはギリギリ被写界深度に入っているかどうか微妙で、はなはだ心もとありません。

私がこのレンズを使うのは、猫撮り近接撮影の場合が多く、よく使う絞り値は、F2.0、2.8、4.0あたりです。結果として後ピン写真を量産することになります。
近接時に絞ると後ピンになることは分かっていたので、今までは運用で回避していました。といっても、常に実絞りでフォーカシングしていたわけではありません。もっと低レベルな手段をとっていました。

それは、ピントがほしい部分より若干手前にAFロックする、という方法です。左の写真のように目にフォーカスがほしいときは、矢印の部分、白黒模様の境目付近にAFロックすると、ちょうど目にピントが来るわけです。でも、とっさの時には対応しきれないんです。よく忘れてしまうんですね。人間ってそんなものです。^^

仕方がないので、キヤノンQRセンターにこのレンズを持ち込み、AF調整をしてもらうことにしました。近接時、よく使うF2.8付近でジャストフォーカスになるよう頼みました。どうやら、こうしたリクエストは多いらしく、担当者はひどく手慣れた調子でAF調整を受け付けてくれました。

調整に要した期間は1週間。費用は保証期間内のため無料でした。購入日未記入&店舗印入りの保証書を持っているとこういうときに役立ちます。
調整完了後の試写写真です。F2.8まで絞っていますが、フォーカスロックをした30.0cmにピントが来ています。これでもやや後ピンですが、被写界深度に入るかどうかギリギリということはありません。被写界深度は手前に1/3、奥に2/3といいますから、おそらくこれでジャストフォーカスなのでしょう。

AF調整を自分の使い方に合わせたおかげで、ずいぶん使いやすくなりました。やはり、「運用で回避する」などという姑息な方法をとるより楽です。ピンボケ発生率は確実に減りました。もっと早く調整に出しておけば良かったと思います。

調整後、開放でピントが来なくなったとか、1m以遠のピントが怪しくなったとか、そういうことはありません。
近接時に、今までより若干フォーカスの山を手前に寄せただけですから。
万人向けの調整とはいえませんが、室内猫撮りをする方にとっては参考になるかもしれません。
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by xylocopal2 | 2008-02-09 11:20 | Hardware
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