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2007年 02月 20日 50mmレンズ 近接描写F4勝負 Part.1




手持ちの50mm/55mmレンズです。
EFマウントが2本、M42マウントが12本あります。
50mm/55mmというのは、135判フォーマットの標準レンズですが、個人的には非常に愛着のある使いやすい焦点距離で、その上、M42マウントの50mm/55mmレンズは安価なため、あっという間に増殖しました。
これら14本のレンズを同一カメラに付け、同一被写体を撮影し、描写傾向を調べてみることにしました。
エントリーしたレンズは下記のとおりです。


Canon EF 50mm F1.4 USM

現行モデルですが、設計は古いレンズです。
発売されたのは14年前の1993年。EFマウントレンズとしては第2世代ぐらいのレンズですが、描写傾向はMF時代のNew FD 50mm F1.4にそっくりです。私は、New FD 50mm F1.4を長い間使ったので、EF 50mm F1.4を初めて使ったときには大いに既視感がありました。
両者のスペックは、外寸と重量以外は、6群7枚のエレメント構成、絞り枚数、最短撮影距離、最大撮影倍率など、すべて同じです。おそらく、基本設計は1979年から変わっていないだろうと思います。

APS-C機で使うと、明るいポートレートレンズとして有用です。暗所で人間を撮る際には絶大な威力を発揮します。開放はさすがにアマアマですが、F2あたりから実用になります。F2の実写例は下にあります。

 Xylocopal's Photolog : 大野えり Jazz Vocal Live
  http://xylocopal2.exblog.jp/3928773/


SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG

このレンズも、基本設計はそれほど新しくないと思われます。
EX DGの発売が2004年、デジタル未対応のEXの発売が1998年、EXになる前のものは1990年代初頭から存在したような記憶があります。
エレメント構成は、9群10枚。
今回テストしたレンズの中では群を抜く枚数の多さです。
このレンズとテッサー以外は、4群6枚、5群6枚、6群7枚などのダブルガウス系レンズばかりです。

試用レポート
 Xylocopal's Photolog : SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG Report
  http://xylocopal2.exblog.jp/4093480/


CHINON AUTO CHINON 50mm F1.9

ここから下は、すべてM42スクリューマウントレンズです。
このレンズは、長野県茅野市に本拠を置いたチノンのもの。チノンレンズの多くが富岡光学製であったことを考えると、このレンズも富岡光学製の可能性が高いです。富岡光学は特にヤシカと関係が深く、二眼レフ時代のトリローザから、コンタックス時代のCarl Zeiss銘レンズにいたるまで、富岡光学製レンズは、いずれも優秀なレンズとして知られています。

このレンズには、絞りのAUTO/MANUAL切換スイッチは付いていないので、マウントアダプタを介して利用する際には、必ずツバ付きのもの、つまり、常時絞り押しピンを押す構造のアダプタを使う必要があります。


REVUE AUTO REVUENON 50mm F1.9

上のAUTO CHINON 50/1.9と同じレンズです。多少デザインが異なりますが、光学系はおそらく同一です。解像力もコントラストもローコストなりですが、なかなか端正な描写で、不思議と印象に残る、味わい深いレンズです。

インプレッション
 Xylocopal's Photolog : 秋の色
  http://xylocopal2.exblog.jp/4897459/


Asahi Opt. Co., Super-Takumar 50mm F1.4 Model 1

ずっしりと持ち重りがする、通称「8枚玉」スーパータクマーです。
スーパータクマー50mm/F1.4には、前期型と後期型がありますが、これは前期型Model1です。後期型Model2のエレメント構成が6群7枚であるのに対し、Model1では6群8枚となっています。
また、Model2には放射性物質であるトリウムが硝材として使われているのに対し、Model1にはトリウムが使われていません。そのため、Model1には放射線による黄変がほとんど見られません。
この個体は、中古カメラ市のジャンク箱から救出してきたレンズですが、非常に写りが良く、なぜジャンク箱に入っていたのかよく分からない謎のレンズです。

試用レポート
 Xylocopal's Photolog : 8枚玉のスーパータクマー
   http://xylocopal2.exblog.jp/4746741/


Asahi Opt. Co., Super-Takumar 50mm F1.4 Model 2

後期型のスーパータクマー50/1.4です。
中古市場で見かけるスーパータクマー50/1.4は、ほとんどがこの後期型Model2です。Model1が8枚玉構成であるのに対し、こちらはコンベンショナルな7枚玉構成です。
スーパータクマー50/1.4 Model2は、硝材にトリウムが使われていることで知られています。その放射線量はおそらく全レンズ中トップクラスで、自然界放射線量の約100倍。ほとんどの個体が高速中性子によるガラスのブラウニング現象のため濃い黄褐色に変色しています。このレンズを付けてファインダーを覗くと、思わず「うっ!」と唸るほど黄色い視界が広がります。

放射線量実測レポート
 Xylocopal's Photolog : 放射能レンズ ガンマ線量実測
  http://xylocopal2.exblog.jp/4803677/


YASHICA AUTO YASHINON DX 50mm F1.7

このレンズも、中古カメラ市のジャンク箱から拾ってきたもの。
1960年代のヤシカ製レンズで、おそらくは富岡光学製と思われます。
非常に外観が美しいレンズで、クロームメッキに輝く前枠が何とも粋です。このかっこよさにしびれて拾ってきたようなものです。現代のレンズであれば、不要反射を防ぐ意味から、このあたりをクロームメッキにすることはほとんどないでしょう。

このレンズ、後玉の突出ぶりも素晴らしく、無限遠にすると、絞り押しピンより後ろに後玉が出っ張ります。いかにもミラーと干渉しそうですが、実際、Bessaflex TMでは、無限遠だとミラーが当たります。かなり、ボディを選ぶレンズです。

インプレッション
 Xylocopal's Photolog : とってもジャンクなオートヤシノンDX 50mm F1.7
  http://xylocopal2.exblog.jp/4640136/


YASHICA AUTO YASHINON DS-M 50mm F1.4

上のDXより少しだけ新しいヤシカ製レンズです。
大柄なレンズで、持ってみると、ずっしりとした重さが伝わってきます。
確証はありませんが、富岡光学製レンズだと思います。お前は、ヤシカ系レンズは何が何でも富岡光学製にしたいのか?というわけではないのですが、右インフ(無限遠)右開放の鏡胴デザインは富岡光学製レンズの典型的特徴なのです。
富岡光学は、京セラの子会社、京セラオプテックの前身で、ヤシカ製CONTAXのツァイスレンズを作っていたことで知られています。

このレンズ、トリウム含有の放射能レンズと思われます。ガンマ線量実測の結果、スーパータクマー50mm/F1.4 Model2に次ぐ高い線量を確認しました。自然界放射線量のざっと40~50倍。SMC Takumar 55mm/F1.8より多い数値でした。


Voigtländer Color-Ultron 50mm F1.8

1970年代に作られた、シンガポールローライ製レンズです。
Carl Zeiss Planar 50mm F1.8Flash Ifbagon 50mm F1.8と同一光学系を持つ三兄弟のひとつです。
ローライ、フォクトレンダー、カール・ツァイスの血脈が複雑に混じり合ったレンズで、中身はプラナーなのかウルトロンなのか判然としません。
しかし、混血の子供は美しい、という古諺のとおり、非常にみずみずしく、生命感あふれる鮮やかな描写をします。今回エントリーしたレンズの中では、実写の印象がずば抜けて素晴らしいレンズです。

紹介&インプレッション
 Xylocopal's Photolog : 腐っても鯛なカラーウルトロン
  http://xylocopal2.exblog.jp/4797347/


Carl Zeiss Jena MC Pancolar 50mm F1.8

東ドイツ・イエナ市原産のレンズです。
ツァイスのダブルガウスタイプ標準レンズには、Biotar 58mm F2があったのですが、それと入れ替わりに登場したのがパンコラーです。大雑把に分けると、クローム鏡胴の第一世代、縞々ゼブラの第二世代、黒鏡胴の第三世代となります。光学的には新しくなるほど良いわけですが、私は断然縞々ゼブラの第二世代を偏愛するものであります。
1960年代を象徴するようなシャープでイカス、美しい縞模様です。バウハウスデザイン直系の機能美でしょうか。この時代は各社ともゼブラレンズを作ったのですが、イエナ製が一番かっこよく見えます。私は、こうしたデザインを見ると、脳内に"The Fifth Dimension"が歌う"Aquarius - Let the Sunshine In"が鳴り響き、判断停止状態になってしまうのです。

試用レポート
 Xylocopal's Photolog : 縞々ゼブラなパンコラー
  http://xylocopal2.exblog.jp/4672457/


Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8

テッサーというレンズは、1902年に発明されて以来100年をすぎた今なお第一線にある非常に長命なレンズです。使ってみると分かりますが、とにかく破綻しない、安心のレンズですね。これが付いていれば、最低限まともな写真が撮れるという。

戦前のテッサー、戦後の東独製テッサー、西独製テッサーなど過去に様々なテッサーを使ったことがありますが、私が一番好きなのは、戦後東独時代のテッサーです。西独製テッサーはどうも極端に硬くて、被写体を選びます。それに対して、東独製テッサーは適度な柔らかさがあり、人物を撮っても違和感がありません。この縞々ゼブラのテッサーも東独製らしくバランスのとれた描写をします。

Tessar偏愛記
 Xylocopal's Photolog : Tessar on my mind
  http://xylocopal2.exblog.jp/4314500/


Pentacon auto 50mm F1.8

プラクチカの標準レンズであったペンタコンオートです。
オリジナルは、Meyer Görlitz Oreston 50mm F1.8
よく、「マイヤーのレンズは甘いやー」などと言われ、私が過去に使ったTrioplan 50mm F3.5あたりも、どうやってもピントが甘く、なるほどアメーヤーと思ったものですが、これは甘くはないです。ちゃんと写ります。

最大の特徴は、最短撮影距離が33cmと短いことです。こんなに寄れる標準レンズは珍しいです。ほとんどが45cm、1.5feetどまりですから。東独製50mmレンズはいずれも最短撮影距離が短く、パンコラー/テッサーも35cmまで寄れます。こうした寄れる50mmレンズを、APS-Cデジタル一眼レフに付けると、寄れるポートレートレンズになり、なかなか面白いです。


Asahi Opt. Co., SMC Takumar 55mm F1.8

高校時代に買ったレンズです。
Pentax SPFとともに、名古屋今池・松屋カメラで入手しました。SPF本体は売ってしまったのに、何故かレンズだけが残っています。

すでに評価の定まった名レンズですが、これも放射線を出すトリウムレンズです。スーパータクマー50mm/F1.4ほどではありませんが、その1/3程度、自然界放射線量の30倍という値を示します。大量に出回っているため、中古価格は非常に安く、3000円ほどからあります。放射能レンズに興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。値段からは信じられないほどの素晴らしい描写をします。M42マウントレンズ入門にも向いています。


FUJIFILM FUJINON 55mm F1.8

開放F値1.8のレンズとは思えない立派な鏡胴です。鏡胴デザインは、EBC FUJINON 55mm F1.8と同じながら、EBC銘がない謎のレンズです。EBCコーティングなしのモデルかもしれませんし、EBCコーティングが施されているにもかかわらず、無銘レンズなのかもしれません。

M42マウントといっても、FUJICA独自の開放測光に対応した絞り連動爪が付いているため、最後までねじ込めないボディがあります。マウントアダプタの場合は、ほぼ全滅でしょう。この場合、無限遠にピントが来ず、せいぜい3mあたりまでの中近距離専用レンズになります。また、絞りのAUTO<=>MANUAL切換レバーや強制絞り込みレバーがないので、常時絞りピンを押すマウントアダプタでないと、絞ることができません。

インプレッション
 Xylocopal's Photolog : 正体不明のFUJINON 55mm F1.8
  http://xylocopal2.exblog.jp/5297045/




紹介した14本のレンズを使って、同一被写体を撮ってみました。
撮影は右の写真のようなセットで行いました。
カメラは、Canon EOS 30D。
APS-Cサイズイメージセンサーデジタル一眼レフですから、50mmレンズの画角は1.6倍の80mm相当になります。
ポートレートレンズ近接撮影勝負です。
M42マウントレンズは、常時ピン押しタイプのマウントアダプタを介して取り付けています。

被写体は撮影条件を揃えやすい人工光源下の近接物体。
例によって、写真も撮れる骨董品、コダック・レチナを2台、色温度6500Kの蛍光灯の下に置きました。
左側の黒いものが、"Kodak Retina Type 117"、1934年製。
右のシルバーのものが、"Kodak Retina I Type 010"、1947年製。
被写体のフォーカスポイントまでの距離は55cmです。

撮影はマニュアル露出、マニュアルフォーカスで行いました。
ホワイトバランスは白紙ワンショット取込法。
白紙撮影レンズは、「カラーバランスはISO推奨値とほぼ一致」を謳う、Canon EF 50mm F1.4 USM。
以下の写真は、EF 50mm F1.4 USMを基準とした相対的色空間で見ていることになります。

撮影データは下記のとおりです。
 ISO:100、F:4.0、SS:1/13sec.、WB:Manual

絞りをF4に固定したのは、自分が一番よく使う絞り値だからというだけの理由です。
マニュアル露出のため、露出補正という概念はありません。
どのレンズも、F4に絞り、機械的に1/13sec.でシャッターを切っているだけです。
アンダー/オーバーがあるとすれば、純粋にレンズ側の光学的要因によるものと思われます。
下の方に、それぞれの写真のヒストグラムも併せて掲載してあります。

MFのレンズが多いので、AFのレンズもそれに合わせ、MFで撮っています。
フォーカスは右のカメラのシャッタースピードリング、"250"の文字に合わせてあります。
合わせたつもりですが、EOS30Dのスヌケに近いマット面、寄る年波、老眼のため、微妙に前ピンだったり後ピンだったりしています。
正確な撮影にならなくて残念ですが、すでにセットを片付けてしまい、再現性がなく、どうしようもありません。
どうか、勘案しながら見てください。

掲載写真は、ノーレタッチ、ノートリミング。
縮小~文字入れのみ。
アンシャープマスクさえかけていないので、エッジが弱い画像になっています。
普段であれば、半径1pixel、25%ほどのアンシャープマスクをかけますので、もっとエッジが立った写真になるはずです。





















下に並べたのが上の写真のヒストグラムです。
シャドウが締まっているか?中間調が豊富か?などが分かります。
Auto Yashinon DX 50mm/F1.7のように、シャドウの左側が大きく空いているものは、明らかに黒が浮いた眠い画像になります。
Pentacon auto 50/1.8は、-0.5EV程度の露出補正が必要なトーンです。F4に合わせたものの、実際にはF3.5程度にしか絞れていないような気がします。
逆に、Tessar 50/2.8は、+0.5EV程度の露出補正が必要なトーンです。F4.5程度まで絞っているように見えます。
55mmの2本は、シャドウの締まりが良さそうに見えますが、明らかに画角が違うので、一律に比較できません。





以下は、あくまでも参考数値です。
上記JPEG画像のファイルサイズを大きい順に並べてみました。
----------------------------------------------------
107,364KB Canon EF 50mm F1.4 USM
106,817KB Auto Yashinon DS-M 50mm F1.4
104,675KB Voigtländer Color-Ultron 50mm F1.8
103,774KB Super-Takumar 50mm F1.4 7el
103,748KB SIGMA Macro 50mm F2.8 EX DG
102,851KB Super-Takumar 50mm F1.4 8el
102,327KB Carl Zeiss Jena MC Pancolar 50mm F1.8
100,440KB Pentacon auto 50mm F1.8
99,150KB Fujinon 55mm F1.8
98,140KB Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8
97,389KB Auto Yashinon DX 50mm F1.7
97,194KB Auto Revuenon 50mm F1.9
97,006KB Auto Chinon 50mm F1.9
93,983KB SMC Takumar 55mm F1.8
----------------------------------------------------

JPEG画像では、同一圧縮率/同一圧縮アルゴリズムであれば、空間周波数が高い、すなわち情報量の多い画像ほど、ファイルサイズが大きくなるという特徴があります。
誤解を恐れず、思いっきり簡単に言えば、レンズのシャープネスが高く、細かい部分まで解像しており、周辺部分も流れていない、輪郭成分が多い画像ほど、ファイルサイズが大きくなるということです。
ファイルサイズは上記画像の文字入れ前のもの、つまりオリジナル画像を単純縮小しただけのものを、Adobe Photoshop CSの70画質でJPEG化した際の数値です。
文字数が多い方がファイルサイズが大きくなることを回避しています。

ただし、同じ50mmレンズといっても、画角が微妙に異なる上、フォーカスも前ピン後ピンがあるので、厳密な比較にはなりません。
ピント位置いかんによって、情報量が上下し、順位が逆転する可能性は充分あります。
また、50mmレンズと55mmレンズでは、同列に比較できません。
やや焦点距離が長い、55mmの方がファイルサイズは小さくなるのは当たり前ですから。


 "50mmレンズ 近接描写F4勝負 Part.2"に続く


なお、それぞれのレンズで撮影した原寸大写真は下記にあります。
ディティールまで、しっかりと見てみたい、という方は御利用ください。

 原寸大(3504×2336pixels)サンプル写真
  http://www.imagegateway.net/a?i=41wibZxnTo
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by xylocopal2 | 2007-02-20 00:23 | Hardware
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