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2006年 10月 13日 小型軽量M42母艦 Revueflex SD1




また、カメラ買っちゃいましたよ。
必要もないカメラをせっせと買い込むのは、中古カメラウィルスの侵襲を受け、脳が修復しがたく損傷しているためと思われます。
幸い、財力がないため、1万円以下の安物専門ですが。
ここ5~6年の間、病気が出ずに済んでいたのですが、最近は135判蛇腹式フォールディングカメラを集めていた頃と同じぐらいのペースになってしまいました。
中古カメラウィルス感染症というのは、寛解することはあっても、完治はしないようで、油断するとすぐに再発してしまいます。
あ~、ホントに困ったもんだ。^^

今回のお題は、M42マウント非AE非AF機械式シャッターカメラ、Revueflex SD1。
1980年代前半に製造されたプラスチックボディカメラです。
M42マウントカメラとしては最終世代に属するカメラ、いや、最終モデルそのものかもしれません。
基本仕様は下記のとおり。

 Revueflex SD1 仕様一覧
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  フォーマット: 135判 24×36mm
  マウント: M42 (プラクチカスクリューマウント)
  シャッター: SEIKO MFC 純機械式縦走りメタルフォーカルプレーン
  シャッタースピード: B, 1-1/1000sec.
  ファインダー: ペンタプリズム式アイレベル固定、スプリットマイクロプリズムフォーカシングスクリーン
  ファインダー倍率: 0.87× (at 50mm)
  ファインダー視野率: 92%
  露出計: SPDセル TTL中央重点絞り込み測光、3LED表示
  測光レンジ: EV+2(F1.9, 1sec.) - EV+18(F16, 1/1000 sec.) at ISO100
  シンクロ速度: 1/60sec.
  バッテリー: 1.5Vボタン電池×2 (LR44、AG13、SR44, S76 etc.)
  外形寸法: 135×86×50.5mm
  重量: 455g
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要するに、Voigtländer Bessaflex TMとほとんど同じ仕様のカメラです。
Bessaflex TMとRevueflex SD1の間には、20年ほどの隔たりがありますが、スペックに関してはあまり変わりはありません。
Bessaflex TMより最高シャッター速度が一段遅く、ファインダー視野率が劣るぐらいでしょうか。
レンズマウント基部のレバーを押し上げて絞り込み測光するスタイルはBessaflex TMと同じです。
というよりは、Pentax SP/SPIIと同じです。
測光レバーがロック機能付で使いにくいところまで同じです。

このカメラ、知っている人はあまりいないと思います。
なぜかといえば、日本で売られたことがありません。
中古カメラ店などでも、まず見かけたことがありません。
しかし、稀少品のため高価、というようなことは全然ありません。
日本ではレアカメラであることは間違いありませんが、ヨーロッパではありふれた安カメラなのです。
"ドイツ ebay"では比較的よく目にします。
ちなみに、Made in Japanです。
1980年代の日本製カメラですから、作りは非常にいいです。






このカメラ、長野県茅野市の光学メーカー・チノンのOEM生産によるものです。
外観デザイン、機能は、Xylocopal's Photolog 2006/08/27 輸出専用MF一眼レフ CHINON CM-5で紹介したチノンCM-5によく似ています。
CM-5はペンタックスKマウントですが、これはM42マウント。マウント以外はCM-5とほとんど同じといっていいぐらいです。

OEMカメラのセオリーどおり、Revueflex SD1の元になったカメラがあります。
その名は、CHINON CS-4
M42マウントの非AE非AFカメラです。
CHINON CS-4も見かけることが少ないカメラで、日本では売られなかったと思われます。
高級機志向が強い日本市場では、1980年代に、プラスチックボディのスクリューマウントカメラなど売れるわけがないと判断されたのでしょう。

CHINON CM-5の作りの良さは知っていたので、CS-4はかなり欲しいと思いました。
Kマウントレンズの収集をやめ、M42マウントレンズに転向しようと思っていたので、その母艦となるカメラが欲しいと思っていたのです。
小型軽量ボディ、縦走りメタルフォーカルプレーン機械式シャッター、非AE、SPD測光素子。
こんなカメラがあるといいなぁと考えていました。
王道はVoigtländer Bessaflex TMに決まっていますが、当たり前すぎてどうも面白くない。Pentax SP/SPFは高校時代に使っていて新鮮みがない。プラクチカはヤグいから問題外。
そんなわけで、M42母艦として、CHINON CS-4に白羽の矢を立てたわけです。

ところが、CS-4は稀少品のため、なかなかオークションに出てこないんですね。
国際オークションサイトのeBayでさえ、1ヶ月に1台ぐらい出てくればいい方。
しかも、状態が悪かったり、不当に高価だったり。
CHINON CS-4の適正価格は、ボディだけなら$30、ボディ+標準レンズで$50~$60ってところです。
待ちきれなくて、Voigtländer Bessaflex TM Silverを買ってしまいました。

Bessaflexを手に入れれば、CHINON CS-4のことなど忘れるのが、社会人のあるべき姿でしょう。
実用になるカメラが1台あれば、それ以上は要らないですから。
しかし、そこは中古カメラウィルスに冒された哀しい脳です。
そういう理屈は全然通用しません。
CHINON CS-4のことは忘れませんでした。

忘れないどころか、ますます欲しくなってきました。
CHINON CS-4が出てこないなら、同等モデルを探せ、どうせチノンのことだ、OEMモデルがあるに決まっている、どこかに兄弟モデルがあるはずだ、と探してみたら、やはりちゃんとありました。
それが、Revueflex SD1です。

Revueflex SD1なら潤沢にあるかというと、そんなことはありません。
SD1の方がさらに稀少品なぐらい。ネット上でも滅多に見かけません。
ただ、ターゲットが分散しただけでした。
Revueflex SD1は、米国ebayよりも、ヨーロッパ方面のebayで多く見かけます。
Googleで検索してみると、ポーランドやドイツあたりの情報ばかりがヒットします。
どうやら、Revueflex SD1の主要マーケットは中部ヨーロッパ付近のようでした。

そんな中、ようやく落とすことができたのが、このSD1。オーストラリアからの渡来物です。
日本で生産され、ヨーロッパで売られ、オーストラリアに渡り、数奇な運命を経て日本に戻ってきたというところでしょうか。
こういう来歴のカメラというのは面白いですね。

このカメラの発売元"Revue"とは、ドイツのカタログ通販会社"Quelle"のカメラ部門のブランドです。
Revue=Quelle Kamera、ということですね。
クエレは1970年代には松坂屋と提携し、日本国内でもカタログ通販をしていましたから御存知の方もおいでかもしれません。
私の実家にも、電話帳ほどもある分厚いクエレのカタログが年に数回届けられました。
私の母はカタログ通販というものにいたって弱く、クエレのカタログを見ては、さすがはドイツの家庭用品、色が違う、形が美しい、機能が良さそう、日本で買うより安い、もうドイツ製ならなんでもいい、とあれこれ注文していました。
母のこうしたDNAはしっかりと私に遺伝していますね。
中古カメラウィルス云々以前に、病前体質が親譲りの国際浪費中毒なわけです。

クエレのカタログはドイツ語でした。
高校生だった私に読めるはずもありませんが、写真が多かったので、けっこう楽しめました。
ドイツで頒布されているバージョンがそのまま送られてくるので、情報鮮度が高く、面白かったのですね。
国が違えば文化が違うということを、通販カタログを通じて知ったのです。

ナマの海外文化に接することは、高校生ぐらいの年齢の者にとっては必要なことだと思います。
異文化というものがある、ということを知ることは大事ですよ。
それに、ある言語が成立した文化というバックボーンを知っていた方が、語学習得は容易です。
外国語リテラシーというものは、異文化を理解するための能力ですから。
そうした意味では、文法や構文を覚えるよりは、海外通販カタログを読んだ方がよほどためになる場合があります。
海外旅行でも有名観光地に行くより、スーパーマーケットや市場に行った方が、その国を理解しやすいと思います。

クエレのカタログは様々な面で勉強になりました。
ドイツ語のアルファベットには英語にはない文字があることを知りました。
ウムラウトやエスツェットですね。
ドイツ語表記では、小数点と桁区切り記号が日本と逆であることも知りました。
ドイツでは円周率を3,14159と記します。
ドットではなくカンマで小数点を記すのです。
ドイツ製レンズに、50mm F1,8、F2,8などと書かれているのはこのためです。
一方、価格などは、DM1.000、€1.000などと書きます。
カンマではなくドットで桁を区切るのですね。
こうした知識は、後年、ebayでドイツ人セラーからカメラを買うとき、おおいに役立ちました。


何の話をしてたんだっけ?
あ、REVUE=QUELLEの話でしたね。すぐに脱線するのは悪いクセです。^^
ネット上で検索してみると、Revueブランドのカメラってのはけっこう多いです。
自社工場は持っていないと聞いていますから、100%OEMと思っていいようです。
OEM製造先は実に多岐にわたっており、Revueflexという名前のものだけでも、日本はおろか、旧東ドイツ製、旧ソ連製まであります。
たとえば、

 REVUEFLEX = KMZ ZENIT 3M
 REVUEFLEX-E = KMZ ZENIT B
 REVUEFLEX BL = Pentacon Praktica LB
 REVUEFLEX TL25 = Pentacon Praktica MTL5
 REVUEFLEX SLR = Chinon SLR
 REVUEFLEX 4000EE = Chinon CE II Memotron
 REVUE AUTO REFLEX = Konica Autoreflex

これは一例です。
現在は、中国製、台湾製、韓国製などが増えていると思います。
また、一眼レフだけでなく、コンパクトカメラも非常に多く、最近ではデジタルカメラもあります。
Quelle Digital-Kamerasというサイトを開くと、見たことのあるデジカメがいくつも"REVUE"ブランドで売られています。
こうしたラインナップを見ると、高級品はなく、もっぱらベーシックモデルばかりというのがREVUEブランドの特徴であることが分かります。






Revueflex SD1の軍艦部です。
シャッタースピードダイヤルの色が違う以外は、CHINON CM-5と瓜二つです。
トップカバーはもちろんプラスチック。
昨今主流のエンジニアリングプラスチックではなさそうですから、強度的には落ちると思われます。
レンズマウント横あたりのカバーは押すとベコベコします。
しかし、成形は綺麗で、EOS Kiss Digital Xあたりと比べても遜色はありません。

軍艦部は特に変わったところはありません。
露出計感度設定がISO表記ではなくASA表記なのは、製造時期を考えれば妥当なところでしょう。
特に変わったところがないのは、チノンのM42マウントカメラとしては実は久しぶりのことです。
これ以前のチノン製カメラ(OEMを含む)では、シャッターレリーズボタンが異様でした。
"CHINON CEII Memotron""Revueflex 4000EE"などを見れば分かるとおり、煙突のような形をした、背が高いシャッターレリーズボタンが付いています。
これは、瞬間絞込測光という方式を採用していたためです。

これら瞬間絞込測光のカメラでは、レリーズボタンを押すと、最初に絞りピンが押されて絞りが閉じ、その状態で測光した後、全押しでシャッターが切れるようになっていました。
そのため、ストロークの長いレリーズボタンが採用されていたのです。
絞込測光でAEを行うための苦肉の策と思われます。
このロングストロークレリーズボタンは、CHINON CS-4/Revueflex SD1の前モデル、CHINON CM-3まで使われていました。
瞬間絞込測光方式のカメラは、AEならともかく、マニュアル露出では、あまり使いやすそうに見えなかったので、存在は知っていましたが敬遠していました。
CHINON CS-4、Revueflex SD1が良さそうだな、と思ったのは、レリーズボタンが普通のものに戻ったという点が大きいです。






この時代のチノン製一眼レフの特徴でもある、アイピース脇の3点LED露出計です。
CHINON CM-5と全く同じです。
グリーンが適正、上の赤がオーバー、下の赤がアンダーを示します。

この露出計はなかなかのスグレモノです。
何しろ、ファインダーから目を離しても露出が計れます。
50mmレンズを付けているときは、受光角46度の反射式露出計として使えます。
こうした安カメラのファインダー内情報というのは実に貧弱で、絞り値もシャッタースピードも表示されません。
絞り値、シャッタースピードを確認するには、ファインダーから目を離す必要があるのですが、そうした際に、アイピース脇3点LEDは視認しやすいのです。
いちいちファインダーをのぞき込まなくてもいいというのは、こうした原始的なカメラではすこぶる便利です。






CHINON CM-5と何も変わらないシャッター&フィルム給装部です。
パトローネ室、ガイドレール、スプロケット軸まわりは金属製です。
EOS100QDのようなエンジニアリングプラスチック射出成形ではありません。
シャッターは、セイコーMFC縦走りメタルフォーカルプレーン。
1980年代の日本製カメラとしては、ごくごく当たり前のシャッターです。
バッテリーを必要としないフルメカニカルシャッターというのは心丈夫です。

シャッター音はなかなか気持ちがよいです。
CHINON CM-5と同じく、やや金属音を含んだ、カシンッ!というような甲高い音です。
いかにも、シャッターを切ったぞ!という達成感のある音がします。
Bessaflex TMほど静かではありませんが、プラクチカのようにガサツな大音響ではなく、充分空シャッターで遊べます。

Revueflex SD1は、必要充分な機能を過不足なく備えた使いやすいカメラです。
Bessaflex TMに比べると、視野率が若干低く、最高シャッタースピードが1/1000sec.止まりですが、それ以外はさして引けをとりません。
何よりもコンパクトで軽いのがいいです。
Pentax SP/SPIIは600gを超え、プラクチカLシリーズが500g台後半、Bessaflex TM Silverが520gであることを考えると、Revueflex SD1の455gは抜群に軽いです。

レアカメラといっても、元が安カメラですし、欲しがる人も少ないので、プレミアムが付いて高くなることもありません。
レンズ付でも1万円以下が相場です。
ボディだけなら、5000円以下で入手できる場合もあると思われます。
M42マウント母艦としては最良の一台ではないでしょうか。
問題は、日本国内では極端に流通量が少ないということだけです。


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Revueflex SD1実写例
 Xylocopal's Photolog : 名古屋市市政資料館 2006年秋
  http://xylocopal2.exblog.jp/4722508/

 Xylocopal's Photolog : 栗色の階段室
  http://xylocopal2.exblog.jp/9538122/

 Xylocopal's Photolog : An Antique Shop with ILFORD DELTA 100
  http://xylocopal2.exblog.jp/8847534/
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by xylocopal2 | 2006-10-13 20:34 | Hardware
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