Copyright © 2004-2010 Xylocopal All Rights Reserved
Top
2006年 01月 13日 黄色い壁



Canon EOS 10D / TAMRON SP AF28-75mm F2.8 XR Di
ISO200, F4.0, 1/750sec., WB:Auto


冬枯れのハナミズキの後ろは、名古屋市昭和区御器所にある中部楽器技術専門学校の壁です。
この学校はピアノの調律師や管弦楽器のリペアマンなどを養成する学校で、なかなか人気があるらしく、入るのが難しいと聞きます。
今の時代、手に職を付けるという意味では、楽器職人というのは魅力的な選択だと思います。
絶対数は少ないものの、ワンアンドオンリーに近く、需要がなくなることはなさそうです。
私も30歳若かったら、おおいにそそられるでしょうね。

純粋な電子楽器を除き、楽器というのは高度に人間の技術が関与する道具です。
楽器経験者なら分かると思いますが、良い楽器になればなるほどデリケートで、工業製品と工芸品の境界が曖昧になります。
私が主に弾いていたのはウッドベース、クラシックではコントラバス、ダブルベースと呼ばれる巨大木製弦楽器でしたが、楽器としては非常に原始的なものでした。
ピックアップこそ付けていましたが、楽器本体は、ここ300年ぐらい進歩していないんじゃないかと思います。

ウッドベースの場合、材料の良し悪しがほとんどサウンドを決定します。
安価な合板製のものは、見た目は立派でも、音が細く、音に伸びがありません。
国産でも針葉樹単板を使ったクラスになると、音は太く、よく伸びて、グルーヴを表現しやすくなります。
Jazzのグルーヴ、ノリ、ビート感というものは、よく伸びたテヌート充分のベースサウンドが作っているといっても過言ではなく、伸びないベースサウンドはノリが悪く聞こえます。

ドイツ製の50年ぐらい生きてきたベースの場合は、もう弦に触れただけで、悶絶卒倒しかねない良い音がします。
バイオリンのストラディバリウス、ガルネリウスなどのビンテージモデルが演奏家に人気がある理由はよく分かります。
音が全然違うんです。
まず、音がでかい。
でかいだけでなく、ピアニシモからフォルティシモまで、すべての帯域の音がよ~く伸びてとおりがいい。
バンドやオケの中でも埋没しないんです。

音伸びこそは楽器の命です。
伸びの悪い楽器では、人間のエモーションを伝え切れません。
音伸びは、その楽器が生まれたときに決まっているもので、悪い楽器が調整によって良い楽器に化けるということはありません。
エレキギター、エレキベースでも、ボディ素材とネック素材の良し悪しで音伸びが変わります。
音伸びの悪さは、ピックアップではフォローしきれないですね。

そこそこの値段のものでも鳴らないものはあります。
たいした値段ではないのに、猛烈に鳴るものもあります。
とはいえ、良い材料を使って、技量抜群の職人が作った楽器の中には、当然ながら良く鳴る楽器が多いです。
弦楽器は世紀を超えて生き続けますから、修理技術が受け継がれていくことは音楽文化継承を考える上で欠かせません。
この学校で学ぶ若者たちには、ぜひとも頑張ってほしいです。
[PR]
by xylocopal2 | 2006-01-13 20:32 | Seasons
<< 板塀 一陽来復 こぶしのつぼみ >>


Copyright © 2004-2010 Xylocopal All Rights Reserved